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「公式」を覚えるときに、つまづきやすい
5年生の算数の学習のひとつに「速さ」の学習があります。子どもは、式を立てるときにつまづきます。
かけ算をするのか、わり算になるのか、距離を時間で割るのか、速さで割るのかなどで、混乱します。
「速さ」の問題は、公式を表した円形の図に当てはめて解く
問題を解くときに必要なのが「公式」です。線分図、面積図などにして解くこともできますが、「公式」に当てはめれば解けます。
まずは、子どもに「公式」を覚えさせてしまいましょう。
円の中に、「速さ」「時間」「距離」を書いた図を使うと覚えられます。
公式の図の書き方
①「はじき」と左はしから「反時計回り」に書かせる。
※「(お)はじき」と、ごろ合わせのようにすると覚えやすくなる
②図のように「×」「÷」の記号を書くと、公式が見えてくる。
③この図の書き方を覚えておけば、公式を覚えたことになる。
・速さ×時間=距離
・距離÷速さ=時間
・距離÷時間=速さ
と、なる。
「距離」の部分が「道のり」になっているときは「速さ×時間=道のり」のように、距離を「道のり」に変えるだけでいい。
※距離は、A点とB点を直線で結んだ長さ。道のりは、実際に移動した距離
できるようになることが大切
「公式を覚えさせよう」と言うと、「意味を理解させる」ほうが大切だと主張する方が出てきます。意味を学習させるのも悪いことではありません。ただ、世の中には「意味が分かる」よりも「できることが大切」ということも多くあります。
たとえば、パソコン。どんな仕組みになっているのか分からなくても使えます。パソコンの仕組みを理解してから使う人は、少ないでしょう。「速さ」の学習もゴールは、「問題が解ける」こと。とりあえずは、公式を覚えて、問題が解けるようになればいいのです。
公式を表した図を使って、例題を解いてみる
次の3問を「公式」を示している図に当てはめて解いてみましょう。
基礎編1
時速45㎞の自動車は、2時間で何㎞進みますか。
①何を求める問題か、とらえさせます(「距離」を求める)。
②「速さ」「距離」「時間」の単位がそろっているか確認させます。
③図の公式に当てはめます。 速さ×時間=距離
④式と答え
45×2=90
答え 90㎞ となります。
基本編2
自動車が時速80㎞で走っています。240㎞進むのに、何時間かかりますか。
①何を求める問題か捉えさせます(「時間」を求める)。
②「速さ」「距離」「時間」の単位がそろっているか確認させます。
③図の公式に当てはめます。
距離÷速さ=時間
④式と答え
240÷80=3
答え 3時間
応用編
Aの自動車は150㎞を2時間で、Bの自動車は240㎞を3時間で進みました。AとBの自動車では、どちらが速いですか。
①何を求める問題か捉えさせます(「速さ」を求める)。
AとB両方の「速さ」を求めないといけない問題ですが、解き方は変わりません。公式に当てはめて、計算します。
②「速さ」「距離」「時間」の単位がそろっているか確認させます。
③AとB、それぞれを図の公式に当てはめます。
距離÷時間=速さ
A
B
④式と答え
A →150÷2=75 1時間で75㎞走る
B→ 240÷3=80 1時間で80㎞走る
答え Bの自動車のほうが速い
お家の人から子どもへのアドバイスのポイント
私が「速さ」の授業をしていたときのことです。「ゲーム」を通して教えた時期がありました。教室にいくつかミニカーを持ち込み、どのミニカーが速いのか競走させ、授業をしました。
子どもは喜んでいました。授業後のアンケートにも多くの子が「楽しかった」と書いていました。当時は『「速さ」を出すにはどうすればいい?』などと考えさせていましたが、テストの結果はよくありませんでした。ミニカーの競争で楽しい授業になり盛り上がりましたが、問題が解けるようになるかどうかとは、別だったのです。
結局は、公式をしっかり覚えていないと解けないのです。
公式を覚え、単位がそろっているかどうかに気をつければ、解けるようになります。アドバイスのポイントは、公式を覚える円形の図(はじき)を教えることです。
あとは、今まで書いてきた手順で問題を解くことを教え、慣れていけばよいでしょう。
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文・構成/須貝 誠(すがいまこと)
塾国語科講師。教育・旅行ライター。現代ビジネス・マネー、コエテコサイト・ソクラテスのたまご、子ども学びラボに執筆あり。著者に「若手教師の働き方」(東洋館出版)がある。教育以外では年間100公演観劇したこともある劇団四季鑑賞マニア。斎藤一人の愛弟子でもある。