子どもの集中力は長く続かない!「リズム管理」「単一タスク」「今日のゴール」の3要素が効率的学習のコツ【RISU 監修】

『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』の著者で、タブレット教材 RISU Japan 代表・今木智隆さんによるシリーズ記事。今回は、集中力をアップさせて短時間で勉強を終わらせるコツについて解説してもらいます。

勉強はただ長い時間机に向かっていることが素晴らしいわけではありません。ボーっとしていたり、別のことを考えていたりして学習内容が頭に入っていなければ、勉強したことにはなりませんよね。

勉強はできることなら集中して短時間で終わらせ、残った時間は何か別の楽しいことに充てられるのが理想的ではありませんか?

今回は勉強を効率的に終わらせるために、集中力がアップするテクニックをご紹介します。

そもそも集中力は長く続くものではない

まず前提として、集中力はそんなに長く続くものではないことを知っておく必要があります。

ずっと何かに集中して取り組むのは大人でも疲れるものです。ご自身を振り返ってみて、23時間も集中力が続くでしょうか?  子どもであればなおさら、続かなくても当然です。

集中力の限界を超えた勉強時間を要求しても、後半はなかなか学習内容が頭に入らないのが現状です。効率良く学習するには子どもが集中できる時間を知り、集中と集中のあいだには上手くリフレッシュタイムを挟む方法がおすすめです。

YouTubeやゲームを全面禁止にしても集中力が上がるわけではない

YouTubeやゲームなどの娯楽について「子どもが勉強に集中できないから」という理由で全面禁止にしているご家庭もあると聞きます。しかし、子どもにとっての誘惑を1つずつ排除していけば、子どもは勉強のみに集中できるものでしょうか?

残念ながら、集中力は先ほどもお伝えした通り「誘惑を排除すればずっと続く」というものではありません。娯楽を禁止していても、疲れてくればどうしたって集中力は無くなるのです。

YouTubeやゲームなどの娯楽は、メリハリをつけて上手に付き合えば良いリフレッシュタイムになります。

RISUで難関中学に合格した受講生を対象に行ったアンケートにおいても、娯楽は禁止していない家庭が大半という結果でした。これらの家庭では、娯楽は受験勉強の妨げにならなかったということです。娯楽は禁止するよりも、視聴してもよいルールをしっかり決めておくことが大切です。

息抜きとしての娯楽は上手に活用

集中力アップのコツは「リズム」

では、「集中力はそんなに長く続かない」という前提で効率的に勉強に取り組むにはどうすればよいでしょうか。

そのコツは、子どもの集中力の長さに合わせて、うまくリズムを作ってあげることにあります。実際、私達のRISU塾でもまとまった長時間の学習はせず、休憩を挟みながら2コマに分けて学習しています。

RISU塾のカリキュラム例】

小学12年生:学習35休憩10学習35

小学3年生以上:学習45休憩10学習45

3年生までは算数と国語で1コマずつ。4年生以上は日により算国と理社、どちらかの教科を学ぶ。

また家庭で進めるタブレット学習のRISU算数はスモールステップで進む仕組みになっており、1問がすぐに終わることで集中しやすくしています。このようなスモールステップで問題を設定しておくと、隙間時間を使って効率的に学習を進めることができます。

ただ、あまりに細切れでは逆に集中力が高まる前に学習が終わってしまうこともあるので、小学生なら1回の学習で20分程度はまとまった時間を確保したいところです。学習時間と勉強効率に関するデータは以下の記事も参考にしてください。

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集中力を上げる勉強法!具体的な3つのテクニック

ここからは、集中力をアップさせる勉強方法の具体的なテクニックを3つ紹介します。

①「今日のゴール」を明確にする

ゴールを決めていない学習は、どこまで走ればいいか分からないマラソン大会のようなもの。ゴールがハッキリしないので学習後半は特に疲れやすく、集中力が続きません。最初に「学習の終わり」を決めておけば、「今日はこれだけやればいい」と気持ちにメリハリが生まれます。

このとき、例えば「30分だけやろう」「今から16時までね」というような時間で終わるゴール設定は、子どもは時間をただやり過ごすことを覚える場合があるので注意が必要です。ちゃんとやっているようなふりをして、実はボーっとしているというのでは、集中しているとは言えませんよね。

問題集を進めるなら「今日はこの1ページをやる」というように分かりやすいゴールを決めます。「昨日の続きから今日いけそうなところまで」というような曖昧な指示を避けるだけでも、集中力は上がります。

②「1学習1テーマ」にする

人は「範囲が狭く」「単一タスク」であるほうが集中力を発揮すると言われています。ちなみに女性がいちばん集中しているのは、白髪を探す時(範囲が狭くて単一タスクだから)というジョークもあるのです。

限られた時間内で複数の科目に手を出してしまうと、どれも中途半端な取り組み方になってしまい、集中力が上がりません。それでは大変もったいないので、11科目に絞って勉強することをおすすめします。

今日は1科目、例えば算数と決めた範囲でも、1回の学習では分数なら分数とさらにテーマを絞るほうが効率的です。いつ、どの科目と範囲を学習するかは、週間や月間単位で計画を立てると良いでしょう。

③タイマーを活用する

タイマー学習法は、小さい子から大人になっても使えるとても便利なテクニックです。勉強と休憩を1つのセットとし、これを短い間隔で何セットも繰り返すことで集中力を持続させる学習方法です。集中(全力ダッシュ)と息抜き(流して走る)を繰り返す、スポーツのインターバル練習のようなイメージですね。

子どもの年齢や性格を考慮して、(学習20+休憩5分)×2セット、(学習30+休憩10分)×2セット、のように設定します。休憩はあまり長すぎると集中力が切れてしまうので、10分以内に切り上げるようにするとよいでしょう。

タイマー学習法は、テクニック②で紹介した「1学習1テーマ」を実践しやすい方法でもあります。1学習を1セットと考えて、2セット行なう場合はそれぞれテーマを変えて取り組むなど、計画的に学習を進めることができます。

また時間を意識した学習を習慣化することで、ゆくゆくは自分で時間を意識して自主的に学習を進めたり、受験の際の時間配分がうまくなったりする効果も期待できます。

時間管理は学習に限らず、すべてのタスクの基本

あまりに集中できないときは朝学習も有効

色々と工夫をしていても、放課後から夜の時間帯はどうしても疲れていたり、眠かったりして集中できないこともあると思います。そのような場合は、いっそ早寝をしてしまって、学習時間を朝に確保する方法もおすすめです。

ただでさえ起きられないのに、早起きしたうえ勉強なんて……と思われるかもしれませんが、一度朝型の習慣が身に付けば、環境が静かだったり、スッキリした頭で机に向かえたりと、メリットが大きいのが朝学習です。将来さまざまな試験を受ける際も、朝型であることはメリットになります。

朝起きて勉強をした後、学校に行くまでに時間があれば自由にしてもよい、というようなルールであれば、子どももやる気が出るかもしれません。

集中して効率良く学習を終わらせ、自由時間を充実させよう

今回は勉強を効率的に終わらせるために、集中力をアップさせる具体的なテクニックをご紹介しました。

124時間、人は平等に時間を与えられていますが、学校や仕事、睡眠などの必要な時間を除くと自由になる時間は本当に限られていると感じます。貴重な時間をどのように使い、自分に活かすかはとても重要なテーマです。

子ども達がのびのびと興味のあることに打ち込める時間を確保するためにも、必要な学習は集中して、効率良く終わらせたいものですね。テクニックをぜひ実践してみてください。

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。

〈タブレット教材「RISU算数」とは〉

「RISU算数」はひとりひとりの学習データを分析し、最適な問題を出題するタブレット教材。タイミングの良い復習や、つまずいた際には動画での解説の配信を行うことにより、苦手を克服し得意を伸ばします。

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『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』

文響社より2023年7月6日刊行

構成/HugKum編集部 

 

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