遊んで学べる化学のゲーム
このゲームは化学の面白さを伝えたいと学校の先生たちが考案したゲームです。それだけに、カードも親しみやすくかわいらしい絵と簡単な解説で構成されています。
神経衰弱風のゲームだから小さいお子さんでも簡単
トランプの神経衰弱は同じ数字のカードを連続で開くと自分の持ち物となり、最後に一番多くのカードを持っていた人が勝ちというルールですよね?
今回は「イオンカードゲーム」の説明書に載っていた中で一番簡単な「神経衰弱風ビギナー編」というゲームで遊んでみました。神経衰弱は13種類の数字を覚えなければなりませんが、このゲームでは数字は「1・2・3」の3種類、記号は「プラス」か「マイナス」かを覚えるだけなので神経衰弱よりも覚えやすいかもしれません(1の場合は数字が省略されていて「プラスだけ」または「マイナスだけ」の表記になっています)。
同じ数字で片方がプラス・もう片方がマイナスのカードをペアにできたらそのカードは自分の持ち物になります。
【カードがゲットできる時】
・プラスとマイナスのカードの組み合わせで数字が同じ
【カードがゲットできないとき】
・プラス同士(写真左上)
・マイナス同士(写真右上)
・数字が違うとき(写真下)
とてもシンプルなルールです。
ちなみに、カードがゲットできる条件は化学的に見ると「2種類のイオンが結合して化合物になる」組み合わせなのです。
勝ち負けのどんでん返し「Au」カード
金を表す「Au」のカードが2枚入っています。1枚目を引いた人は、今まで取っていたカードをすべて没収されます。2枚目を引いた人もすべて没収されるのですが、加えてゲームはそこで終了となります。
まだ化学を習っていない娘でも楽しめました
わが家は両親とも理系。このゲームのことを知った時「これは面白そうだ!」とワクワクしました。でも、対象年齢は小学校高学年からと書かれていました。ですが、難しいことを抜きに、まずはカードゲームの一つとして遊んでみようと小学3年生の娘を含めた家族3人でやってみました。
カードに情報がコンパクトにまとめられています
ゲームに使うカードに書かれているのは数字と記号だけではありません。アルファベットと場合によっては小さな数字でできている「イオン式」、その記号が示す「イオンの名称」、ちょっとした豆知識が書かれた「暗唱句」がシンプルにまとめられています。
ちょっとだけ、化学に触れる
「やった!水ゲット!!」「塩、私も欲しい」などと中学校で習う範囲の知識で大人が盛り上がっているうちに、娘が少しずつ気になってきたようです。
ナトリウムイオンと塩化物イオンが結合すると塩化ナトリウム、つまり「塩」ができます。水素イオンと水酸化物イオンならば「水」ができます。身近なものも化学の世界というフィルターを通すと「化合物」なんですよね。
そして、ゲームが終わった後に簡単な化学のお約束を教えてみました。それは化合物の名前の付け方です。イオン名にある「イオン」または「物イオン」を取って、マイナスを先に、プラスを後に言うと化合物の名前になります。
(例)
「炭酸イオン」と「カルシウムイオン」→「炭酸カルシウム」
例外もあって、「〇〇酸イオン」と「水素イオン」の場合は「〇〇酸」(水素はつけないことが多い)となります。
(例)
「硝酸イオン」と「水素イオン」→「硝酸」 ※「硝酸水素」ではない
その他、前述の「塩」のように、上記ルールでは「塩化ナトリウム」ですが、別名があってそちらが一般的な名前の場合もあります。
一緒に入っているカードもわかりやすく書かれています。
セットの中には、少し難しいゲームで使用するものなのですが、2種類以上のイオンからできている「化合物」を書いた「化合物カード」があり、それぞれ暮らしの中でどのような役割をしているかも解説されています。
例えば「炭酸」は炭酸飲料の泡のこと。「塩化マグネシウム」は豆腐を作る時に使う「にがり」の成分、のようにです。このような知識を身につけると、身の回りのものが化合物によってできていることに気付くきっかけになります。
また、「イオンカード」自体の説明や「マイナスイオンとは?」「プラスイオンとは?」「イオン結合とは?」という基本的な知識、そしてこのゲームで学べることが書いてあるカードも入っています。
かわいいイラスト入りなので、抵抗なく内容に触れることができました。
もっと難しいゲームも!
「イオンカード」の遊び方は他にもあります。「神経衰弱風ステップアップ編」や「セブンブリッジ風」などトランプのゲーム風にした、独自の遊び方が紹介されています。
ローカルルールを作ってもいい
また、ご自宅でのローカルルールを作るのもいいかもしれません。我が家では娘が「Au」カードを出してしまうと持っているカードが没収されてしまったり、ゲームがその場で終わってしまうことが嫌だったようで、「Au」カードを抜いて遊んだり、「Auカードを2つ揃えたら勝ち」のようなルールにして楽しんでいます。
難しいことは徐々にステップアップ
「化学の勉強」と聞くと難しいとつい身構えてしまう保護者の方も多いかもしれません。でも、お子さんと共に、ゲームで遊びながら学ぶと考えるとなんだかワクワクしませんか?
イオンカードは子どもはもちろん、大人の知的好奇心も育てられるカードです。
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文・構成/ふじいなおみ