【食育の基本】「いただきます」の意味は?「共食」って? 子どもに食事マナーを伝える前に!ママパパが知っておきたいこと【キッズマナー講師が指南】

子どもたちには毎日心身ともに健やかに過ごして欲しいものですが、では子どもたちの元気の源は何でしょう?それはママパパの愛情と食事ではないでしょうか。
食育には興味があるけど、何に取り組めば良いかあまりピンと来ない方も多いのでは。そこで食育の定義と最初に伝えたい大切なことを確認してみましょう。

まず「楽しくおいしく食べる」ができたら考え始めたい、食事マナー

健康に大きく育ってほしいと思う親心と裏腹に、子どもの食事に悩みを抱えるママパパは多いようです。子どもの成長や発達によって食べられないものがあったり、子ども自身の好みで食べてくれないものがあったりするので、そういったものを全て把握しつつバランスの良いものを食べさせたいと考えるママパパにはいつも『食育』という言葉が頭にあるのではないでしょうか。

食べ物の栄養に関する知識、美味しい食事のレシピなども食育の考え方の一つですが、今回はマナーの観点から子どもたちに知っておいてほしいことをお伝えします。

文部科学省のHPを見ると【食育で身に付けること】には6項目があります。

・食べ物を大事にする感謝の心
・好き嫌いしないで栄養バランスよくたべること
・食事のマナーなどの社会性
・食事の重要性や心身の健康
・安全や品質など食品を選択する能力
・地域の産物や歴史など食文化の理解など
食育って何?:文部科学省 (mext.go.jp)より>

この中から今回は2つをご紹介しましょう。

1.食べ物を大事にする感謝の心

毎日3食のご飯が食べられること、旬の食材が手に入ることは当たり前のことではありません。

だからといって子どもたちに「お米の一粒一粒に感謝して食べなさい」といきなり言っても「なんで?」と思うかもしれません。“こうして育てられて、運ばれて、調理されて、今食べることができるのよ”を子どもが知ることが必要ですね。

そうして芽生えた感謝の気持ちは、思っているだけでは相手に伝わらないものです。食事をいただくときと食べ終わった後のご挨拶は毎食声に出してみましょう。

それぞれの意味の確認です。

いただきます=食材の栄養をいただく(もらう)、調理して下さった方のお料理をいただく(食べる)、ことに対し感謝の気持ちを伝える言葉

ごちそうさまでした=このような御馳走をありがとうございましたの気持ちを伝える御礼の言葉

言葉の意味も根気強く伝えていきたいですね。クイズにしたり、小さい子であれば“ご飯の後なんて言うの?パパに教えてあげて”と声をかけたりするのもお勧めです。

今は、両親ともに働いていて、一人で食事をする子どもや、子どもだけで食事をするというご家庭も多いようです。その時にも一言「挨拶をしてから食べてね」と伝えましょう。食材や、食事を用意してくれたことに対する感謝の気持ちを育てることはもちろんですが、挨拶をすることによって“今から食事の時間”“食事の時間は終わり”という切り替えにもなります。

2.食事のマナーなどの社会性

食事を家族や友達など誰かと共に食することを“共食(きょうしょく)”と言います。

共食はもともと神様にお供えしたものを皆で食べ合うことを言いました。一つの火を使い、同じ鍋を使って煮炊きして神様の力が宿った食べ物を一緒に食する。共食することで神様と人、人と人の繋がりを深めていたのですね。皆さんも結婚式やお葬式、長寿のお祝いや子どもの成長の節目に親族や友人と共にご飯を食べることで思い出が増え、より強く繋がりを感じることがあるでしょう。

共食をする、ということは他人と食事を共にすることですから、自分の好きなように食べればいいとはいきません。他の人に対する思いやりの心とそれを形にするマナーが必要です。この“自分以外の人と食を共にする”という経験が子どもの社会性を育てます。

マナーは身につくまで根気強く、毎日伝えることが大切

まだ小さな子どもたちは記憶できる量も限られ、集中力が持続する時間も短いです。だからつい“この間も言ったよね?”“何度言ったら分かるの?”なんて言いたくなりますが、何度も言うことが確実に子どもたちに身につく方法です。そして言うタイミングは、ちょうど目に付くことをしたその時です。少し経ってから「あの時のアレ、良くなかったよ」とか「あんなことされたらママ恥ずかしい」と言っても、子どもには“何の時?”“何したとき?”と分からないからです。

伝えるときは事実+提案が分かりやすく良いでしょう。事実とは見たままの子どもの状況(食べながら話している、食器を雑に扱っている)、提案とはどのように変えたらいいかを伝えることです。(お口を閉じて食べませんか?食器はそっと扱ったほうがいいよね?)ということです。

少し強く言う必要があるのは
①外食や他の方のお家で室内を走り回り誰かに怪我をさせてしまう危険に繋がる行為があった時
②お店の方のお仕事に支障をきたし、お店の迷惑になるような行為があった時
です。その時は特に子どもの目を見てやってはいけないこととはっきり伝えましょう。

まずは真似るところから

お箸の持ち方も、一度で出来るようになる子はなかなかいません。でも、出来た時の子どもたちの顔は誇らしく輝きます。まず持ち方から楽しんで練習できるよう一番に考えましょう。“それ面白そう”“どうやるの?”“やってみたい”という言葉が出たらチャンスです。

ママパパが手本を見せながら、一緒に取り組んでみましょう。“まずはママそっくりに真似してみてね”と真似るところから取り組んでみます。最初は真似が上手にできることが大事ですよ。

食事のマナーを身に付け、共食が楽しい時間となりますように。

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赤名 麻由子

シニアマナーOJTインストラクター|キッズマナーインストラクター
一般社団法人マナーOJTインストラクター協会所属。資格取得後、保育園やカルチャーセンターにて子どもたちにマナーを伝える活動を行っている。二児の母

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