戦前の沖縄では、大きな市場の近くに沖縄そばのお店が立ち並び、映画や芝居を観た帰りには立ち寄って、その味を楽しんだそうです。現在でもファンは多く、扱うお店や通販商品なども豊富に揃います。
沖縄そばとは?
沖縄そばは、その昔「すば」と呼ばれる宮廷料理でした。かつては「支那すば」とも呼ばれ、もともとは中国から伝わった料理です。
当時の小麦粉は高価な食材でしたが、明治頃から徐々に庶民料理として、味も形も変化しながら現在に受け継がれています。
どんなそば?
現在の沖縄そばの人気店では、豚骨とかつおのだしに調味料を加えた、しょうゆベースのスープが主流です。余分な脂を丹念に取り除いて透明なスープを作り、塩としょうゆで薄く味をつけます。
ラーメンと同様にそのバリエーションは広く、九州ラーメンのような豚骨スープを用いるお店や、野菜で甘味を加えるお店もあります。
トッピングには細ネギと、豚の三枚肉(豚バラ肉)を添えて仕上げるのが一般的。お店によっては、ティビチ(豚足)や、モツ、麻婆豆腐がのることもあり、簡易的に作るならランチョンミートを使う場合もあるんだとか。
また、その昔の沖縄そば店では、注文すると一緒に提供されていたのがいなり寿司でした。これは現在でも定番のセットメニューで、他に、おにぎりやジューシーと呼ばれる炊き込みご飯が付くことも。
沖縄そばの麺の特徴
麺の作り方はまず、灰と水で灰汁(あく)を作ります。これは、いわゆる「かん水」です。中華麺を作るときにも入れる材料のひとつ。煮炊き用に薪を燃やしていた時代には、良質な灰が身近にありました。
この灰汁を小麦粉に加えて練った生地で、麺を作ります。そうめんよりは太く、コシが強いのが特徴。モチモチとした食感があり、和そばよりは中華麺に近いものです。
そしてまた、茹で上がった麺に、すぐに豚脂をまぶしておくのがポイント。これには保存性を高める目的があるだけでなく、独特の香りが生み出される効果があります。
沖縄そばとソーキそば
「沖縄そば」と「ソーキそば」とは、同じ食物ではありません。三枚肉がのった「沖縄そば」に対し、どんな違いがあるのか、簡単にみていきましょう。
・ソーキそば
沖縄では、肉料理といえば豚肉を指すほど、豚が使われることが多いものです。「ソーキ」とは「豚肉の骨付きあばら肉」を指す言葉で、つまりスペアリブのこと。これを塩漬けにして保存しておき、調理する際に塩抜きをしてから煮込み料理に用います。
昆布と一緒に煮込んで、麦味噌を加えて味付けしたものが、こくのある料理「ソーキブニ(豚骨)」です。このソーキブニは、お箸で触れば肉が骨から簡単にはずれるくらいに柔らかく、そばにトッピングして食べると絶品だったことから、「ソーキそば」が生まれました。
戦後、名護周辺から流行ったそうですが、そばよりもトッピングを好んで食べる人も多かったとか。台湾によく似た「排骨麺(パーコーめん)」があり、ここからヒントを得たもの、ともいわれています。
ソーキそばは沖縄そばの一種ですが、沖縄そばが一般的に三枚肉をのせたものであるいっぽう、トッピングがソーキブニの沖縄そばをソーキそばと呼んでいるのですね。
お家で手作り! 沖縄そばのレシピ
お家で麺を打ち、手に入りやすい具材を用いながら、沖縄そば風に作ります。ぜひ、お子さんと一緒に楽しく作ってくださいね。
基本の具材
地元沖縄で、トッピングに使われるのは三枚肉の他、棒かまぼこ、紅生姜、ネギ、コーレーグス(島唐辛子の泡盛漬け)などです。
今回は、手に入りやすい市販の豚の角煮、ネギを用いました。
麺
分厚いビニール袋を用意して、足踏みしながら生地をこねます。
・材料
(4人分)
強力粉 500g
【かん水】
重曹(タンサン) 小さじ1
卵 1個
塩 大さじ1
水 185~190
打ち粉 60~70g
丈夫なビニール袋 2枚
・こねる
【1】ボウルに強力粉をふるっておきます。
【2】【かん水】の材料をすべて混ぜ合わせます。
【3】粉にかん水を徐々に加えていき、そぼろ状になるように混ぜてください。
【4】水分が粉に十分浸透するよう、こねます。ビニール袋を2重にし、足踏みしてください。
指で軽く押すと、押された部分が戻ってくるようになるまで、こねます。
【5】こねた生地はビニール袋に入れたまま、常温で2~3時間ねかせます。
・のばす、切る
【1】生地の両面に打ち粉をまぶし、手で押しながら長方形にのばしていきます。
【2】次に、めん棒で厚さ1.5~2㎜の厚さになるよう、のばしてください。
【3】生地の両面に十分打ち粉をし、屏風たたみに折ります。
【4】厚さ2~8㎜にカットしてください。
・茹でる
【1】たっぷりのお湯を用意して、出来上がった麺を茹でます。
【2】麺を投入したらすぐに菜箸でほぐしてください。あとは、麺が浮き上がってくるのを待つだけ。30秒程度の短い時間です。
【3】お湯を切って、器に盛り付けてください。
スープ
スープはかつおだしをベースにして作り、市販の焼き豚を多めにのせることで仕上げます。
・材料
(1人分)
かつおだし 400cc
鶏がらスープの素 小さじ1
しょうゆ 大さじ2
にんにく(すりおろし) 少々
塩 少々
こしょう 少々
【トッピング】
焼き豚(市販) お好み量
ネギ 1本分
・作り方
【1】鍋にかつおだしを温め、他の材料を加えてください。ひと煮立ちしたら、火を止めます。
【2】器に盛り付けた麺にスープをまわしかけ、トッピングをのせて完成です。
おすすめのお土産と通販情報
沖縄そばを購入する際のおすすめ商品や、通販情報を紹介します。
沖縄そば欲張り6人前セット
食べたくなったら、すぐ食べられる材料のセット。三枚肉と、軟骨ソーキを選べます。もちろん、コーレーグスもついていて、大満足の味。
マルタケ食品 沖縄そば そばだし付き2人前×4パック
保存性が高い乾麺もあります。こちらは平麺のタイプ。
だし付きなので、手軽に沖縄そばの味が作れます。このだしでそうめんチャンプルーやゴーヤチャンプルーを味付けしても、おいしいですよ。
沖縄の食文化に触れる味
沖縄特有の文化が垣間見られる沖縄そば。戦前には一般のご家庭でも作られ、家族でおいしく味わった伝統の食べ物です。お家でかん水から手作りして麺を打ち、和だしを合わせて味わい深さを楽しみます。沖縄の食文化に触れる手作りの味を、ぜひ体験してみてください。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)