計算ミスの多い子供、どうしたらしなくなる?「夏休み」が改善のチャンス!【隂山英男の家で伸ばす! 子どもの学力】

陰山先生

「百ます計算」などの「隂山メソッド」が多くの学校・家庭で成果をあげている隂山英男先生が、子供の学力を家で伸ばす方法について教えてくださるコーナーです。

今回のテーマは、小学校に入学してすぐの時期における家庭学習についてです。

計算ミスの多い子供、どうしたらしなくなる?

うちの子、そそっかしくて…と答えるのが定番です

講演会の質問タイムによく保護者の方から相談されるのが、「計算ミスが多いのですが、どうすればいいでしょう?」ということです。「なぜお子さんは計算ミスをすると思いますか?」と聞き返すと、必ずといっていいほど「そそっかしい性格なので…」という趣旨のお答えが返ってきます。「ご家庭ではどんな対策を?」とさらにうかがうと、「とにかく計算練習をさせるしかないと思って、注意して計算しなさいと…」という感じです。この質疑応答は「定番」です。

算数の勉強をスタートしたばかりの一年生のお子さんの親御さんには、まだあまりピンとこない話題かもしれません。しかしお子さんが二年生になり、けたの多い計算をするようになると、これは切実な問題としてふりかかってきます。そうならないために一年生のうちに習慣づけておきたいこと、それが「数字や字をていねいに書く」ことです。

本当の原因は字を丁寧に書かないこと

というのも、計算ミスの原因でもっとも多いのは「数字をていねいに書いていない」ことだからです。決して性格の問題や、練習量の問題ではありません。0だか6だかわからないような数字、1だか7だかわからないような数字を自分で書いて自分で読み違える。これが多くの計算ミスのメカニズムです。

そこでこの夏休み、「数字や字をていねいに、てきぱきと書く」練習をしましょう。数字や字の乱れは、学年が上がるほど修正しにくくなります。今が最大のチャンスです。

大切なのは書き順の正しさです。文字はもちろん、数字にも書き順があります。子供はたいてい「書き順なんてどうでもいい、書ければいい」と思っています。それを放置してはいけません。「書き順は、ていねいな文字や数字を書くための大切な『方法』なんだよ」と伝えてください。0や8を時計回りに書いていないか、5を横の画から書いていないか。ひらがなであれば、「か・せ・た・は・ふ・も・や」といった字を正しい書き順で書けているか、などがチェックポイントです。

 

2学期、漢字を習い始める前の夏休み中の改善が大切

また、2学期から漢字の学習が始まります。漢字の能力はかたかなを書きこなす能力と緊密な関係があります。かたかなの練習も夏休みのうちにしておくと、よい準備になるでしょう。

字を雑に書くことを、私は決して許しません。高学年を指導しているとき、赤ペンではなく消しゴムがつねに右手にありました。テストが正解であっても雑な字であれば、「これは恥ずかしいね。先生がなかったことにしてあげよう。ゴシゴシゴシ…」「わあ先生、書き直すからやめてください」と、笑い合いながら子どもたちにていねいな字の大切さを教えたものです。

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記事監修

陰山英男|教育者

1958年兵庫県生まれ。1980年、岡山大学法学部卒業後、教職の道へ。百ます計算をはじめ、「読み書き計算」の徹底した反復学習と生活習慣の改善に取り組み、子ども達の学力を驚異的に向上させた。その指導法である「陰山メソッド」は、教育者、保護者から注目を集め、「陰山メソッド」を教材かした『徹底反復シリーズ』は、総計770万部の大ベストセラーとなっている。現在、YouTube『陰山英男公式チャンネル』で授業や講演を公開して注目を集めている。


編集協力/小倉宏一(ブックマーク) 出典/『小学一年生』

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