小学校受験とは?
小学校受験とは、私立小学校または国立小学校に入学するための選抜試験です。小学校受験は競争が激しく、厳しい選考に合格しなければなりません。
小学校受験では、子どもの学力を測る試験だけでなく、日頃の家庭教育の様子や集団生活への適性なども、行動観察や親子面接などを通じて問われます。
いってみれば親子一緒に試験を受けることになるため、中学校や高校、大学受験と異なり、特別な受験といえます。
そんな小学校受験は、子どもが生まれる前から検討している親もいれば、幼稚園などで周囲の環境に影響を受けて検討を始める親もいます。いずれにしても小学校受験をするかどうかを迷うことはよくあることです。
迷ったときには、まずメリットとデメリットを理解し、「本当に今、小学校受験を選ぶべきか?」を考え、「中学校受験からトライする選択肢もある」ことを理解することも大切です。
小学校受験のメリット
私は、小学校受験のメリットについて次の4つがあると考えています。
1.家庭教育の質が高まる
小学校受験を通して、親が子どもとしっかり向き合い、生活習慣や言葉づかい、姿勢などを整えるきっかけになります。小学校受験は学力だけでなく、生活・巧緻(こうち)性(※)やコミュニケーション力など、幅広く見られます。
また小学校受験を通して親が「どんな子に育てたいか」をよく考え、両親双方がしっかりと話し合い、足並みをそろえることで、家庭の教育方針が明確になるのも大きなメリットです。
※きめ細かく上手にできるかどうか
2.ひたすら机に向かうことなく受験対策ができる
小学校受験は、机に向かう時間の長さが合格につながるわけではありません。
試験は「ペーパーテスト」の他に「行動観察」や「絵画」、「面接」などがあるので、飽きることなく、バランスよく受験対策を進めることができます。
親子でゲームや季節行事を楽しんだり、洗濯物の片付けや掃除などを行ったりするのも、受験対策の一つになるのです。
3.中学受験より親がリードしやすいため、子どもを上手に導けば無理なくできる
受験する子どもは、4~5歳の幼児です。よって試験に向けてスケジュールを組んだり、日々の学習内容を決めたりするのは必然的に親の仕事になります。これはすなわち、親が受験勉強をリードしやすいということです。
親が受験する学校について十分に理解して、子どもの性格や家庭の生活スタイルに適した勉強を意識することで、楽しく取り組ませることができます。
4.私立小学校は方針が明確で教育環境を選択しやすい
私立小学校は、学校によってそれぞれ特色があります。英語教育やプログラミング教育、キリスト教育、情操教育など、教育方針に基づいた独自のカリキュラムがあるのは、私立小学校ならではの特徴といえるでしょう。「いろいろな体験を多くさせたい」「キリスト教に触れさせ、心の教育を意識したい」など、教育環境を選べるのも特徴です。わが子に最適の教育環境を選びたい方には、私立小学校がおすすめです。
小学校受験のデメリットとリスク
一方、デメリットとリスクも押さえておく必要があります。
1.親が“過熱”しやすい
親は小学校受験に取り組むと、模擬試験の結果に一喜一憂したりSNSに振り回されたりして、「もっとやらせないと」「他の子はできているのに」と比較思考になる傾向にあります。さらに、子どもは親に褒められたいため、従順に従いやすいこともあり、子どもの意思と関係なく勉強をやらせすぎてしまうことがあります。
2.子どもの自己肯定感が下がり、正解を求める思考になることも
親が過熱して子どもの頑張りや長所を認めず、勉強ばかりやらせてしまうと、子どもの自己肯定感や学ぶ意欲も下がります。そして、親は子どもに正解ばかり求めるので、子どもは求められている答えを考えてしまい、自分の考えを話せなくなってしまうのです。
3.子どもの道を親が決めることになりかねない
受験をする子どもは4~5歳で、3歳から受験勉強を始める子もいます。将来やりたいことがまだわからない子や言葉を十分に話せない子も多く、親が勝手に受験校を決めてしまうケースも少なくありません。
4.結果として教育費がかさんでしまうことも
小学校受験をすると「中学校受験が不要になるため、塾代もいらないからお得」と思われがちですが、小学校に上がるとピアノや英会話など複数の習い事をする家庭も多く、結果として教育費が高くなりやすいです。
小学校受験を選ぶ場合の注意点
小学校受験にはメリットばかりではなく、デメリットもあることをお伝えしました。そこで小学校受験を選ぶ場合に知っておくべき注意点をご紹介します。
親が「沼にはまらない」覚悟を
親自身が「沼にはまらない」覚悟をしていただきたいです。幼児期は親がリードしやすいため、親の過熱が子どもにプレッシャーを与え、チック症や夜尿症などの身体的な影響につながることもあります。そこまで追い詰めるならやらないほうが親子関係のためということもあるのです。
「入ったら安心」ではない
小学校から中学校、高校の一貫校に入学したら、そのままエスカレーターで上がれる、と思っている方もいるかもしれませんが、近年は中学や高校へのハードルが高くなっている学校が多いので、要注意。「小学校に入ってしまえば安心」とは考えず、学びは続いていくものと考えましょう
まとめ
小学校受験を志すことは、基本的には子どもの将来にとってプラスに働くものです。けれど、親が落とし穴にはまってしまわないように気を付ける必要があります。ポイントや注意点を踏まえながら、子どもにとって最適な選択をしましょう。
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お話を伺ったのは
東京大学卒業後、大手通信会社に勤務。その後、自身の母親が30年以上にわたり主宰する受験絵画教室のメソッドをもとに、2011年に小学校受験専門の幼児教室を設立。2022年には、教育の新しいかたちを提案すべく株式会社コノユメを設立。同年、オンラインと対面のハイブリッド型幼児教室「コノユメSCHOOL」を開校。これまでに、慶應義塾幼稚舎・慶應義塾横浜初等部・早稲田実業学校初等部など、難関名門校への合格者を多数輩出。