「正解」を求めたがる現代の子どもたちが「正解」のない未来に何を学ぶべきなのか? 成長したわが子にこの春贈りたい自分だけの「正解」

『正解のない教室』は、これから何を学ぶべきか、教室という枠を飛び越えて人生の学び方そのものをアップデートするための指南書です。それには既成概念に頼らず、自分自身で道を切り開く力を身につけるための鍵が所々に散りばめられています。30年以上塾講師を務めた矢萩邦彦氏が解説するその内容には、小学校卒業などこれから巣立ちを迎えるお子さんに知ってもらいたい“生きる技術”が詰まっています。

※ここからは『正解のない教室 これから、何を学ぶべきか?』(日経ビジネス人文庫)の一部から引用・再構成しています。

毎日を自由に、楽しんでいる人の共通点は?

選択肢を複数持つ

選択肢を複数持つためには、三つの視点が必要になってきます。

・すでにわかっている〈既知の選択肢〉を整理すること
・まだ自分が気づいていない〈未知の選択肢〉を見つけること
・前提や理論的枠組(パラダイム)を覆すような〈新たな選択肢〉をつくりだすこと

自己決定する自由を持つ

上機嫌にしている人ほど、「自由に生きるための技術」を身につけています。
どんな立場に身を置いていても、自分で決める、つまり“自己決定”する自由を持つことはできるということです。たとえば、いまはまだ人生経験が浅いので、親や年長者の言うことを聞いておくという選択も“自己決定”です。

「自由に生きる」とは、やることを「自分で自由自在に選択できる」ことです。

何のために学ぶのか?

教養の意味を考える

勉強をしていて、「なんでこんなことをしなければいけないんだろう?」って思ったことはありませんか? あなたにやりたいことや夢があるなら、学ぶ理由は簡単です。よりよい人生を歩むためです。

自らよりよい人生を切り開いていくためには、自分で選択する必要があります。そのときに、よりよい選択ができるようにするために学ぶんです。

江戸時代、教養がある人とは、人の気持ちをわかることだという考え方がありました。つまり学ぶ理由とは「人の気持ちをわかるため」だというわけです。たくさんのことを学べば、より多くの人の気持ちがわかり、共感できる可能性が高まります。

たくさんのことを学べば、やりたいことや夢が見つかる可能性だって高まります。

リベラルアーツとは何か

世界を知るために情報を仕分ける

リベラルアーツは、中世ヨーロッパにおいて肉体労働から解放された自由人のための、特に重要な教養だと考えられていました。

自由人というのは、ある程度自分のやりたいことを選択する自由がある人のことです。

中世ヨーロッパでは、リベラルアーツは七つの教科に分けられていました。文法・修辞学(伝わりやすくする技術)・論理学(正しく考える方法)という言語に関する3科目と、算学・幾何学・音楽・天文学という世界の構造に関する4科目です。
リベラルアーツは情報の圧縮や変換の技術でもあったわけです。

これらの学問は日本では長いこと「職業に直接関係がない実用的ではない純粋な教養」といわれてきましたが、ヨーロッパでは「専門家である前にすぐれた人間でなければならない」という考えを育んできました。

教養というのは、にじみ出るもの。すぐに役に立つことではないかもしれませんが、人生においてずっと影響を与え続ける学びのことです。

主体性と自由

自動運転は、技術的に可能かどうか、倫理的に問題ないのか、法律は整備できるのか、ということばかりが議論されています。しかし、何よりも大事なのは車に乗ってどこにいくのか? ということです。

ぼくたちの時間は有限です。だから、選択をします。何かを選ぶということは、別の何かを選ばないということでもあります。何かをやらないことだって、やることと同じくらい重要な選択です。様々な選択の繰り返しが、ぼくらの未来を少しずつ変えていきます。その舵取りをする技術こそがリベラルアーツです。

どうすればAIと共存できるか

人間にできてAIにできないこと

AIと人間はどこが違うのでしょうか? AIやロボットにできることは、それこそ使い方次第で無限にあります。では、AIやロボットにできないことは何でしょうか?

たとえばAIは自分自身を疑うことができません。自分自身を疑うプログラムは論理矛盾してしまうため実行できないからです。

また、AI自体には欲求がなく、わからないことを認識することも苦手なので、自分だけで仮説を立てたり、目的を設定したりすることはできませんし、ルールの作成や運用も人間による調整が必要です。

AIは失敗しても自分ではそれに気づけません。判断できないだけでなく、感情も理性もありません。臨機応変に対応することも、倫理的に何が善かを考え決断することもできません。

人間とAIがお互いの長所を生かし、短所を補い合って分業することで、いままでできなかったことも実現できそう。

AI時代のリベラルアーツ

AIにはできない、人間だけの「関係性の構築力」
これこそがこれからの時代に求められる、最も大事な力のひとつだとぼくは思います。

目に見えないものを信じて、思い描き、それを形にする力。つまり探究心と想像力こそが、AIの時代を生き抜くぼくたち人間にとって最も重要な能力なのではないでしょうか。
SF作家や科学者でなくても、理想やビジョンを想像できたなら、AIと協力して、あなたの「最適解」を見つけやすい時代がやってきたのです。

※ここまでは『正解のない教室 これから、何を学ぶべきか?』(日経ビジネス人文庫)の一部から引用・再構成しています。

著書はこちらをチェック

著/知窓学舎塾長・多摩大学大学院客員教授 矢萩邦彦 日経ビジネス人文庫 1,100円(税込)

これから、何を学ぶべきか?
「迷いの中から最適解を掴む、思考レッスン」

リベラルアーツの入り口として、偉人の言葉や哲学・思想にまつわるキーワードを掲載。

小学生から社会人まで幅広い指導経験を持つ著者が、平易な語り口で知的好奇心を刺激し、学びの扉を開く。

 

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構成/kidamaiko

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