子ども3人が東大理系に! 家庭でできる声かけ・環境づくりと、年長~2年生が進級前にチェックしておきたい「算数の基礎」とは?《幼児教室代表・きよみ先生発》

小学校低学年は、算数の基礎を固める大切な時期。幼児教室しばた代表であり、3人のお子さんを東大理系に導いたきよみ先生に、進級前にチェックしておきたい土台作りや家庭での関わり方について伺いました。

算数の理解が深まる声かけと、取り組みやすい環境づくり

――きよみ先生のお子さん3人が東大理系に進学されていますが、幼少期〜小学校期の算数教育で特に意識されていたことを教えてください。

きよみ先生:「子どもが楽しく学ぶこと」、「親自身も楽しむこと」、「正解より考えることを大事にすること」の3つです。子どもが楽しく学べるように工夫もたくさんしました。なかでも声かけはとても大事だと思います。

小さい頃から、「どっちが多いかな」「何個あるかな」というように、勉強の時間だけではなくて、日常会話の中でさりげなく交ぜていました

私が時々わざと間違えることもありました。わざと面白く間違えると、「お母さん違うやんか」って子どもが笑って、そこから正解を考えようとするんですよね。

市販のドリルもいいものはたくさんありますが、それだけではなくて、会話の中で算数の問題を出すことも多かったです。例えば、「おばあちゃんの家まで15分、本屋さんまで5分、どっちが近い? 何分違う?」とか「5個あるけど、どっちに何個あると思う?」っていう当てっこゲームとか。

それから、少しレベルが上がると、子どもに問題を作ってもらうんです。「みかんとりんごで問題作ってみて」と言うと、「スーパーでみかんを3つ、りんごを2つ買ってきました。みかんを2つ食べました。みかんは何個残っているでしょう?」というように、子どもは自分なりに考えて作るようになります。それができるということは、式や答えがイメージできているということなので、理解できているのだと思います。

身近なものを使って子どもに問題を作ってもらおう。

――会話の中で織り交ぜていたのですね。環境面ではどんな工夫をされましたか?

きよみ先生:子どもが自然に触れられる環境作りを心がけました。

リビングに算数に関する本や図鑑を置いておくだけで、子どもは自然と手に取るようになります。積み木なども、あえて片付けずにそのままにしておくことで、翌日も続きから遊べて、取り組みやすくなります。プリントも同じで、ただ「しなさい」と言うのではなく、机の上に用意しておくだけで、取りかかるハードルはぐっと下がります

身の回りにある時計やカレンダーなども含めて、自然に触れられる環境を整えることが大事です。算数は机に向かわなくても、日常の中にたくさんあります。買い物での数やお金、車のナンバープレートやすごろくなども、計算遊びにつながります。こうした身近な場面の中で、無理なく楽しく関われるようにするといいですね。

算数において、先取りより大事なのは「戻れる土台」

――小学校低学年の算数についてお聞きします。先取りをしておいた方がいいのか、基礎固めを大事に考えた方がいいのか、きよみ先生のお考えをお聞かせください。

きよみ先生:「先取りか、基礎固めか」で考えると、私はどちらもだと思うんです。

ただ、焦って先取りするぐらいなら、ゆっくりでも基礎をしっかりやることがとても大事です。小学校低学年は、まだまだ楽しく学びに取り組む時期ですし、強制的に先取りしようとすると、勉強が嫌になってしまう可能性もあります。まだ理解していないのに進もうとすると楽しめないので、そうなったときは、立ち止まって戻りましょう、という考えです。

わからなかったら、そのまま進むのではなく、基礎に戻る。

高学年になっても同じで、ちょっとわからなかったらその単元の基礎に戻る。これは決して悪いことではなくて、戻ることは大事です

子どもたちは問題が解ければ楽しくなるので、無理をさせず、楽しく学べる環境を大事にしてあげたらいいかなと思います。

小学校入学前にやっておくとベターな「算数」のこと

――これから1年生になる子を持つ親御さんも不安が大きいと思います。小学校入学前に、算数においてやっておくべきこと、年長さんで確認しておいた方がいいことを教えてください。

きよみ先生:年長さんであれば、基本的には1から10までちゃんと読めて、1、2、3ってリズムよく数えられるといいかなと思います。それから、多い・少ない、大きい・小さい、高い・低いといった量の感覚。これは日常生活の会話の中でも十分学べると思います。

入学時には、指を使っていてもいいので1桁の足し算、引き算ができること。時計は「何時」や「何時半」がわかるぐらいで十分かなと思います。できなくても、小学校で丁寧に教わりますので、焦ることなく。

簡単な足し算・引き算ができると◎。

あとは、10のまとまりの感覚ですね。1と9で10、2と8で10、3と7で10、という感覚があると、繰り上がりの土台になってきます。お金やカレンダーも大事です。といっても無理に勉強して覚えさせようとするのではなく、お店屋さんごっこで10や100のまとまりを感じたり、「今日は何曜日?」といった会話から曜日や日付に親しんだり、そういうことをしてあげるといいですね。

■1から10までの読み書き
■多い・少ない、大きい・小さい、高い・低いといった量の感覚
■1桁の足し算(余裕があれば引き算も)
■10のまとまりの感覚

年生に上がる前に確認したいこと

――小学校2年生に上がる前に確認しておいた方がいいことはありますか。

きよみ先生:やっぱり繰り上がりですね。足し算、引き算がスムーズに計算できること。「なんとなくできる」ではなくて、しっかり定着させてあげてほしいです。あとは、100までの数の概念がわかること。99の次は100、2桁の数がどのぐらいの量か、そういう量感ですね。お金やお買い物ごっこも、その感覚を育てるのに役立つと思います。

それから、文章題。計算だけでなく、文章から判断できることも大事になってきます。「みんな合わせて」「飛んでいった」など、足し算や引き算を表す言葉を知っているかどうかで、理解はかなり変わってきます。

2年生進級時点では、時計で何時・何分まで読めるといいですね。30分後とか15分前とか、そういった概念も大事になってきます。

学習用の時計を使うのも手。

最後に、単位です。センチやメートルなど。定規で家にあるいろいろなものの長さを測ったり、「鉛筆は何センチかな」と予想してから測ったり。予想を入れると理解も深まりやすいので、おすすめです。

■繰り上がり
■100までの数の概念
■文章題(「みんな合わせて」などの意味)
■時計:何時 何分 まで読めること
■センチなどの単位

3年生に上がる前に押さえたいポイント

――続いて、3年生になる前に確認しておくべきことも教えてください。

きよみ先生:2年生の単元で大事なのは、やはり九九です。言えるけれど書けない、意味がよくわかっていない、ということもあるので、反射的にすらすら出るぐらいまで定着しているといいですね。九九は算数全部の土台になってくるので、本当に大事です。暗唱だけではなく、「3個が4つで12個」といった意味がわかっているか確認してほしいです

それから、2桁・3桁の足し算引き算の筆算。繰り上がり、繰り下がりも含めて、しっかりできること。

この時期になると、長さや重さの単位も出てきます。2リットルってどれぐらいか、どのぐらいの重さか、そういうイメージが持てているかどうかですね。実際に測ったり、ペットボトルを見ながら話したりすると、イメージしやすくなると思います。

2リットルと500ミリリットルのペットボトルを比べてみるなど。

あと大事なのが、時計の「時刻」と「時間」の違いです。3時に出発して1時間半後は何時何分か、というような考え方ですね。わかりにくいときは、横に時間を書いてグラフや図にし、見える形にするといいと思います。

余裕があれば、3年生に向けて分数のイメージもあるといいですね。ピザや羊羹などを使って、4分の1、5分の1を実感できると理解しやすいです。

■九九(暗証、書くことができるか、意味までわかっているか)
■2桁・3桁の足し算 引き算
■長さ・重さの単位の理解
■「時刻」と「時間」の違い
■分数のイメージの先取り

算数嫌いにしないために。親はできるかぎり隣にいて子どもが安心できるように

――子どもが算数嫌いにならないようにするために、大事なことはなんでしょうか?

きよみ先生:やっぱり、親御さんが自分の子どもをよく見ることだと思います。苦手なところを見ながら、勉強する量を決める。できないからといってたくさんやらせるのではなくて、少しずつでいいから毎日一緒に取り組む。積み重ねることが大事かなと思います。

――親御さん自身が算数に苦手意識を持っている場合は、どうすればいいでしょうか。

きよみ先生:実は私も、算数がとても得意というわけではないんです。でも子どもたちが3年生ぐらいまでは横にいて、いつでも聞ける環境にしていたんです。隣にいて子どもが安心できることが大事かなと思います。

親が隣にいるだけで、子どもは安心するもの。

例えば文章題だと、アンダーラインを引いて、大事な数字を丸で囲って、1つ1つ噛み砕いていく。それから、「今どういう問題だった?」って聞いてあげるんです。きちんと理解していたら、自分の言葉で説明できるので、わかっているかどうかも見えてきます。

親が解き方を全部教えるというより、イメージを引き出してあげる。それだけでもすごく大きいと思います。できないものを頭の中だけで考えてもわからないので、やっぱり一緒に整理してあげることが大事ですね。

仕事から家に帰ったら、過程を大事にするモードに切り替え

――きよみ先生も働きながらの育児で大変だったかと思いますが、楽しむために何かされていましたか。

きよみ先生:仕事からの帰り道に元気をもらえる曲を聴いて、「よし、寝るまでの数時間、頑張ろう」と気合を入れていました。それから、玄関に入る前に深呼吸して、仕事モードから家モードに切り替えるようにしていました。

働いていると、どうしても結果を求められますよね。でも、家に帰ったら、過程を大事にするモードに切り替えるんです。そうすると、子どもへの接し方もガラッと変わるかなと思っています。

それでも、「今日何もできなかった」「もっとやってあげたかった」って思う日はあります。でも、そんなときは自分を責めずに、「今日はこれでよし」と思うこと。完璧にしようと思うとしんどくなるので、その場で切り替えることが大事かなと思います。

働きながらも子どもに寄り添ったきよみ先生。

結果より「過程」を褒める

きよみ先生:算数は正解よりも「考えること」「挑戦すること」が本当に大事だと思っています。親御さんは、「100点取れたね」「合格できてよかったね」と結果に目が向きやすいと思うんですけれど、私はそこまでに至る過程を褒めることを意識していました。

「繰り上がり難しかったけど頑張っていたね」
「毎日、諦めずに続けていたね」
「お母さん、努力してたの知ってるよ」

そうやって過程を拾ってあげるんです。結果を褒められるより、頑張りを褒められた子の方が、自信もつくと思います。うまくいかなかったことも大事なんですよね。テストが悪かったとしても、できなかったところを見れば次につながる。失敗を責めるのではなくて、次への材料にしていけたらいいかなと思います。

書籍「忙しい親子でも『算数に強い子』に変わるおうちメソッド」「ごちそうさまで始めよう!夕食後10分で『算数に強い子』に変わるおうちドリル」が4月22日発売

きよみ先生:私も働きながら3人の子育てをしてきましたが、働きながらでも、環境を整えたり声かけを工夫したりすれば、子どもはちゃんと伸びていくんだよ、ということを伝えたくて書籍を出版します。

親御さん向けの本と、お子さん向けのドリルの2冊です。

4/22(水)発売予定 実務教育出版

ドリルは夕飯の後に10分ほどでできる、食べ物がテーマの絵本ドリルにしています。「いつやったらいいの」「1冊がなかなか終わらない」といった負担を減らして、親御さんが少し見ていてあげれば、無理なく1冊が形になるように考えました。

4/22(水)発売予定 実務教育出版

親向けの本では、声かけや、働きながら隙間時間をどう使うか、算数に強くなるには身の回りのものをどう生かせばいいか、そういったことをお伝えしています。ぜひ手に取っていただければと思います。

■Amazon予約キャンペーン
3月27日(金) 18:00 〜 3月30日(月) 24:00(3日間限定)
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きよみ先生の子育てや、幼児教室で行っていることについてはこちら

子ども3人が東大理系合格! 算数の土台作りのため、幼児期からできること。日常の中の声かけや遊び方など、コツが満載!《幼児教室代表・きよみ先生発》
幼児期から時計やカレンダーを使った取り組みをしていた ーー3人のお子さんが東大理系に進まれていますが、幼い頃から取り組まれていたこと...

お話しを伺ったのは

きよみ先生 幼児教室しばた代表

胎教から子育てをスタートし、家庭での関わりを大切にしながら、3人のお子さん全員東京大学理系へと導いた算数教育のプロ。長男は灘中・灘高校を経て東大理系に進学し、算数オリンピック金メダルを獲得。次男・長女もそれぞれ難関中学を経て東大理系に合格するなど、家庭教育の実践が実を結んできた。

Instagramでは算数に強い子を育てるための、手作りの知育ゲームや算数の勉強法、中学受験情報など発信、子育ての相談にも乗っている。

取材・文/酒井千佳

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