・杉浦あきえ:モンテッソーリ教師

・夫:同じ年で多趣味
・長女:9歳(2016年生まれ)、何かを考えたり言葉にしたりすることが大好き
・次女:4歳(2021年生まれ)、天真爛漫でおしゃべりが止まらない
目次
大人の「できた」と子どもの「できた」は、時に大きく異なることがある
お互いの思っている「できた」の間には、大きな川が流れているくらい。それくらい別のもの。
大人から見たら“未完成の”できた。
でも、子どもからしたら“スーパー最高の”できた。
この「”子どもなり”のできた」は、実は今しかなくて、ほんの、一瞬の姿。「もっと正確にできるようになりたい」という欲求をもっているからこそ、何度も何度も繰り返す中で、大人が思っているような「できた」にあっという間に到達してしまう。
大人と子ども、二人の間にはあんなに大きな川が流れていたのに。
まだ正確には書けていない。でも、本人は大満足の「文字」
4歳の次女が、今はひらがなを書くことに夢中。「言語の敏感期」(※)真っただなかで、言葉というものにとてつもなく強い興味とエネルギーが湧いている。
※敏感期とは、モンテッソーリ教育において、「言語」「運動」「秩序」などの能力などを獲得するためにエネルギーが強く表れる時期のことを指します。
もちろん話すこともそう。食事中も移動中も、寝る寸前までもずーっとしゃべっている。絵本を読むこと(読み聞かせ)も大好き。
その中で加わってきた「書くこと」への興味。
へびのような線をたくさん書いたり、丸をたくさん書いたりする時期を経て、「文字」に興味を示すようになった。
ご飯を食べる前も、食べた後も、お風呂上がりに着替える前にも(先に着替えよう!笑)ずっと書いている。つまりは、隙さえあれば、ずっと文字を書いている。
集中しているときには、くちびるをぎゅっとする。次女の周辺だけ時間がゆっくり流れているかのような空気感の中、鉛筆の先をじっと見ながら、文字を真剣に書いている。

「できたー!」と喜んで見せてくれるその「文字」は、まだ正確には書けていない。でも、本人は「できた」「書けた」と大満足で、キラッキラとした瞳でこちらを見ている。
「〇〇ちゃんが書いたんだ」「これは”まま”って書いてあるの?」と聞くと、「ままじゃない!! “まほ”だよ! お友だちの“まほちゃん”!」。
「ああ、ごめんごめん。てっきり、ままって書いてくれたかと勘違いしちゃった」と笑う頃には、もう目の前にはいない。「ねえ〜パパ!見て」と次の人のところへ向かっている。「へえ!書いたんだ」と承認されると、スキップするように椅子に向かい、また新しいページに何やら真剣に書いている。
大人が見て「完璧」「できている」かではなく、子どもが「できた」と思えるこの気持ち。
だんだんと年齢と共に、周りの評価や他者と比べてどうかが気になっていく
だからこそ、そんな外部の評価には目もくれず、自分の中での「できた」という気持ちを存分に感じてほしい。
いつか必ず、その子のペースで「正確性」を求めて、向上するようになっていく。だからこそ、今しかないこの「未完成」がなんとも愛おしくて、尊い。
見ているとじれったくて、「違うよ」「こうだよ」と正解をさっと伝えたくなる。けれども、子どもの中で静かに静かに積み上げている、この子どもなりの「できた」を子どもと一緒に大切にしたい。
大人の思う「できた」までのプロセスには、いくつもの子どもなりの「できた」がある。
そのプロセスは、時間が経つともう見ることはできない。
だから、「今だけの期間限定」として限定物を味わうかのように、今日も「未完成」のできたに触れられる喜びを噛み締めている。
前回の話はこちら
最新著書『子育ての“イラッ”“モヤッ”を手放す本』
HugKumで人気を博した連載「あきえの子育てROOM」をもとに、大幅に加筆修正を加えた1冊。「泣き」「ぐずぐず」/「やってほしくないこと」/「ワガママ」「イヤイヤ」/「食」/「しつけ」「将来」/「パートナー」と大きく6つのパートにわけて、“イラッ”“モヤッ”を解決するためのメッセージを届けています。
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子育て中のママパパから高い支持を得ている著者が、「イラッ」「モヤッ」を感じる具体的なシーンに対してどのようにしたらいいか、マンガ付きでわかりやすくお伝えします。
プロフィール
国際モンテッソーリ教師(AMI)
幼稚園教諭、保育士、小学校教諭。二児の母。
幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。著書に『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』(すばる舎)、『モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック』(宝島社)、『子育ての「引き算」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『子育ての“イラッ”“モヤッ”を手放す本』(小学館)。
Instagram @montessori_akie
Voicy モンテッソーリ子育てラジオ
公式HPは>>こちら
イラスト/カラシソエル
