あぁ、ついにこのときが来てしまった
友人ファミリーがわが家に遊びに来ていたときの話です。年齢が近いこともあり、子どもたちは子ども同士で集まって、キャッキャと遊んでいます。その横で、大人たちは食事をしたり、お酒をちびちび飲んだりしながら、おしゃべりを楽しんでいました。
ところが、しばらくすると、子どもたちがこちらに来て「ねぇ、ママこっち来て〜!」「パパー! つまんなーい」と。
あぁ、ついにこのときが来てしまった…。私は心の中でそう思ったのでした。
反射的に立ち上がろうとすると、横にいたスウェーデン人夫が「今は大人の時間だよ。向こうで遊んでおいで」と一言。それを聞いた子どもたちは、つまらなそうな顔をしてあっちに行ってしまったのでした。
ちょっと罪悪感を感じながらも、しばらくそっとしておいたら、そのうちに子どもたちはミニカーでレースをはじめたり、クッションを投げて遊んだり。それぞれ楽しみを見つけた様子。それを見て、「あぁ〜、よかった〜」とホッとして、また大人の会話に戻ったのでした。

「ちょっと退屈」くらいでは、親は立ち上がらない
実は同じようなことが、スウェーデンでもありました。
友人ファミリーとお茶をしているときのこと。子どもたちが「ママー! パパー!」と呼んでも、「今は大人たちが話している時間だからね」と親たちは答えるだけ。
はじめはちょっとかわいそう…と思う自分もいましたし、ちょっとくらい構ってあげたらいいのに…と正直思っていました。 でも、完全に放っておくわけではなく、危険なことや困っていたらすぐに助けるという感じ。ただ、「ちょっと退屈」「なんとなくつまらない」くらいでは、親はすぐには動きません。子どもたち自身が遊びを見つけるのを待っているようでした。

子どもが優先、と思っていた
「ママー」と呼ばれると、反射的に立ち上がってしまう私。
子どもが呼んでいるならすぐに行かなきゃ。
つまんないなら、なんとか楽しんでもらいたい。
そんなふうに、「まずは、子ども優先!」と頭で考えている自分に気がついたのでした。あらためて、スウェーデンの子育てを見ていると、子どもが中心というよりも、家族ひとりひとりが心地いい暮らしを大事にしているんだろうなと感じます。
そして、親がニコニコしていると、やっぱり子どもも楽しいんだなぁと、毎日過ごす中で感じるのです。
親から子へ、そして
夫は子どもの頃に、「今は大人の時間だよ」と親から何度も言われていたといいます。
子どもの頃は言われる側だった夫が、今は自分の子どもたちに同じ言葉をかけている。そうやって受け継がれていると思うと、なんだか面白いです。
そして、「ママー!」と呼ばれたらすぐに立ち上がっていた私も、今ではちょっと立ち止まるようになりました。

前回の話はこちら
連載バックナンバーはこちら
プロフィール
イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。
自家焙煎のコーヒー豆と小冊子のお店「Hej Hej COFFEE(ヘイヘイコーヒー)」はじめました。
文・構成・写真/桒原さやか
