円安で行われた「為替介入」について、小学生にも分かるように解説【親子で語る国際政治】

今知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回は、円安が加速する中で行われた「為替介入」について、小学生にも分かるように解説します。

ニュースで聞く「為替介入」って何?

ニュースなどで「円安・ドル高が進んだため、政府や日銀が為替介入に踏み切った」という話題を耳にしたことがあるかもしれません。ニュースの速報などで大きく取り上げられることも多いこの「為替介入」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

そもそも外国為替市場における為替レートというものは、世界中の投資家や企業、金融機関がそれぞれの通貨を売買したいという需要と供給のバランスによって、秒単位で変動しています。

基本的には民間の自由な取引によって値段が決まりますが、時には市場の参加者が特定の方向に過剰に傾き、あまりにも急激な変動が起きることがあり、こうした異常な値動きは、私たちの日常生活や日本経済全体に大きな影響を及ぼすリスクをはらんでいます。

例えば、あまりにも急速な円安が進んでしまうと、海外から輸入する原油や天然ガスなどのエネルギー、そして毎日の食卓に並ぶ食料品の価格が急激に跳ね上がり、家計の負担が一気に重くなります。こうした実体経済への深刻な打撃を防ぐために、国が特別に外国為替市場へ直接働きかけて、通貨の価値を安定させようとする行動を総称して「為替介入」と呼びます

円安が加速しているときは、ドルを売って円を買う

円安やドル高が勢いよく加速している緊迫した場面で行われるのは、具体的に「円買い・ドル売り介入」と呼ばれる手法です。これは文字通り、日本政府が保有している外貨、主に米ドルを市場で大量に売り払い、その代わりに市場から日本円を買い戻すという作業を指します。

市場にたくさんのドルが出回ることでドルの希少性が薄れて供給量が増える一方、日本円が回収されて市場に出回る円の量が減ると、市場のバランスが変わり、相対的に円の価値が持ち直すことになります。これによって、行き過ぎた円安のスピードを物理的に緩めたり、一時的に円高方向へ押し戻したりすることを狙って実行されます。

この「為替介入を決定し実行するための司令塔となるのは日本の財務省であり、実際に市場で資金を動かして売買の指示を出す実務を担うのは日本銀行です。

霞が関にある財務省

私たちが普段使っている個人の銀行口座からお金が勝手に引き出されるわけではなく、国が保有する外貨準備金などの特別な資金を使って実行されます。

また、実際に大きなお金を市場で動かす前の段階として、財務大臣などの要人が「最近の急激な変動には憂慮している、あらゆる対応をとる準備がある」といった強い発言を繰り返すことがよくあります。これは一般に「口先介入」と呼ばれており、実際の資金移動を伴わないものの、市場参加者に対して過度な円売りを思いとどまらせるための心理的なブレーキとして大きな効果を発揮します。

為替介入に絶対的な効果があるわけではない

ただし、為替介入には相場のトレンドを完全にひっくり返すような絶対的な効果があるわけではありません。世界中の外国為替市場は、一国の政府が持つ資金力をもってしても敵わないほど、途方もなく巨大な規模を誇っています。

そのため、国が一時的にお金を動かしたとしても、根本的な日米の金利差や日本経済の構造的な体力が変わらない限り、再び円安のトレンドに戻ってしまうことも少なくありません。

したがって為替介入は、あくまで激しい値動きによるショックを一時的に和らげるための緊急避難的な措置としての性格が強いと言えます。こうした仕組みや背景をあらかじめ知っておくことで、日々のニュースで流れる経済の動きがより深く、多角的に理解できるようになります。

この記事を書いたのは

国際政治先生 国際政治学者

国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。

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