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わがまま? 慈悲深い人? マリー・アントワネットってどんな人?

展示会場の入口で微笑む15歳ころのマリー・アントワネット(アニメーションなので表情が変わります)
今から約250年前のフランスの王妃マリー・アントワネット。 “歴史上もっともファッショナブルな王妃”と言われたそのファッションは、今でも多くの人に影響を与えています。


左:トワル・ド・ジュイ「愛しき羊たち」1785年頃 V&A所蔵
ヒョウ柄やトワル・ド・ジュイ柄も、マリー・アントワネットがその柄のドレスを着ることで、注目を集め、流行したと言われています。
時代の最先端のファッションは、人々の憧れの的だったのです。
“プリンセス”と聞いて、みんなが思い浮かべる、アニメや映画に登場するプリンセスの姿も、マリー・アントワネットの影響を受けているかもしれません。

オーストリアのマリー・アントワネット1777年(原作1775年) V&A所蔵
しかし、マリー・アントワネットというと、“わがままでぜいたく好きな女性”というイメージを持っている人も少なくはないはず。
そんなイメージも、実は王政に反対した人々が作り出したイメージ操作だったという説が今では濃厚に。
外国(オーストリア)から嫁いできた王妃であり、ごく少人数の心を許した人々と過ごすことが多く、ミステリアスで批判の標的にしやすかったのでしょう。
「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」という言葉も、マリー・アントワネットの言葉ではなく、政治的な中傷によって生み出された創作ではないかと言われています。

右:ハルピュイアのマリー・アントワネット ともに1789年頃
マリー・アントワネットの顔を怪物の体に繋げた風刺画。
きらびやかで豪華な王族の暮らしは、貧しい民衆の敵に仕立てあげられていきました。

ルイ=シモン・ポワゾ 1788年頃 V&A所蔵
そんなマリー・アントワネットですが、実は、フランス王室で初めて母乳で子育てをした人物であり、母マリア・テレジアの教えで慈善活動にも力を入れていたという一面も。
「豪華な服は、職人の地位を守るためのものだった」とか「あまり自分のことを話さない人だったので誤解を生んだ」という話も。
さて、今回の展覧会は、イギリス・ロンドンのV&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)から出発した巡回展で、日本では横浜美術館だけで開催されます。
美しいドレスだけではなく、マリー・アントワネットを揶揄する当時の風刺画なども展示されており、彼女の生きた時代を広い目で見てとれるものになっています。
今回の展覧会でマリー・アントワネット自身に興味を持った方は、ぜひ展覧会の図録や関連書籍を読んでみてくださいね!
では、「マリー・アントワネット・スタイル」展をご紹介していきます。マリー・アントワネットが愛した、美しく、かわいらしいものたちをご覧ください!
職人技がスゴい!ドレスの数々

当時マリー・アントワネットが嫁いだフランス王宮は、服装に厳しいルールがありました。
その中で外国のトレンドを取り入れ、新しいスタイルを確立していったマリー・アントワネットのファッションは大人気に。
人気のあまり、どんどんマネをしたドレスが作られたり、マリー・アントワネットの衣装部屋を一般公開したりしたほどだったそう!
ふんわりとしたシルエットや、砂糖菓子のような優しいカラーがかわいいのはもちろん、細部の職人技が、かわいいだけじゃないエレガントさ、これぞ王族! という、豪華さを感じさせます。

マリー・アントワネットの時代には、このような宝物を入れたバスケットが花嫁に贈られていました。
そのカバーに施された驚くほど繊細かつ豪華な刺繍は、人類が生み出せる手仕事の結晶。
マリー・アントワネットが受け取ったバスケットには、ダイヤモンドで装飾された扇子やイニシャル「MA」があしらわれたブレスレットなどが収められていたという…!
政略結婚とはいえ、こんなにも豪華なプレゼントが贈られたら、誰しもがうっとりしてしまいそうです。

ペチコート 2022年(刺繍:1790年頃)V&A所蔵
白をベースにしたこの装い。
パッと見ると、他のドレスに比べて地味に見えるのですが、こちらにも職人たちの技が集結していました。

小さなライラックの枝がちりばめられた生地が控えめながらも美しく、均一にそろった胸元のタックは顔を華やかに演出します。

裾の植物が連なった模様も、プリントではなく、よく見ると刺繍です。
現在お店で見かけるこういった刺繍はほとんどが機械刺繍ですが、もちろん、この時代は職人による手刺繍!
繊細で正確な刺繍に、その技術の高さがうかがえます。
また、野に咲く草花のような、素朴な植物を描いているところにも注目です。
青い花は、マリー・アントワネットが愛した草花、矢車菊です。
宮殿のお庭にも野生の矢車菊が咲いていたそうです。

麦わら帽子に付けられた模様は、布を植物の模様に切って貼り、細い麦わらでアップリケしているように見えます。青い矢車菊のような花もありますね!
マリー・アントワネットは王宮で暮らしながらも、田園での暮らしに憧れを持っていて、ベルサイユ宮殿の庭園に農村をまねした場所を作ってしまったほど。
この麦わら帽子とシュミーズドレス(下着のシュミーズを原型とした、コルセットやパニエを使用しない簡素なデザインのドレス)の組み合わせも話題を呼んだそう。
矢車菊も農村スタイルも、“わがままでぜいたく好きなマリー・アントワネット”のイメージとかけ離れていて、彼女の本心を少しのぞき見たような気持ちになりました。

ドレスの説明パネル
ドレスの形を説明するパネルも。
ふんわり広がった形が特徴のドレスたちですが、少しずつ違いがあるんですね!

※展示期間:8月1日(土)~9月9日(水)※9月11日(金)から別のドレスが展示されています
360度、ぐるっと裏からも観察できる展示もあります
いろいろなデザインのドレスがあるので、ぜひじっくり見てみてくださいね!
きらびやかなジュエリー、本展覧会初公開も!

ダブルハートのベゼルリング 1780年頃 、透かし細工のハート形ベゼルリング 1730-60年頃 すべてV&A所蔵
「ザ・宝」というような豪華なジュエリーの数々!
どれも、今あってもかわいいと思えるようなデザインばかり。
靴に付けるきらきらとしたバックルは当時大流行したファッションアイテムで、マリー・アントワネットも特にリボン(ボウ)モチーフを好んで付けていたそう。
ブルーのブレスレットの留具は、マリー・アントワネットのものではないのですが、マリー・アントワネットが結婚する際にルイ15世から贈られたものに似ていると言われています。
片方には、愛と平和の象徴であるハトなど、もう片方にはイニシャルがデザインされています。
そして、マリー・アントワネットはハートモチーフの指輪をいくつも持っていたそうで、2つの石を並べてハート型にした指輪も18世紀に流行したデザインです。
ルビーは愛、ダイヤモンドは忠誠を表しているんだそう。

18世紀後半 ハイディ・ホルテン・コレクション、ウィーン
なんとこちらのパールのネックレスは、今回の展覧会で世界で初お目見えの超貴重なジュエリー(マリー・アントワネット所蔵のパールをのちにネックレスに仕立てたもの)。
真珠を愛したマリー・アントワネット。自身と家族の運命が変わっていくのを悟り、密かに高価な宝飾品を母国オーストリアに運び出していたもののひとつとされています。
そして、時代が変わっても、真珠のネックレスは、娘マリー・テレーズから姪のルイーズ、嫁ぎ先のブルボン=パルマ家へ、時代の好みに合わせて仕立て直されながら、密かに代々受け継がれていたのです。
それが2018年サザビーズのオークションで明らかになったという…。ドラマがありますね!

フランスの歴史の中でいちばん高価なダイヤモンドのネックレスとして、当時民衆の注目を集めました。
マリー・アントワネットの人気に打撃を与え、批判の対象に変えた大事件。
歴史に登場する、超お宝をじかに見られるなんて、すごいことです!
どんな事件か知らない、という方のための、
マンガ「首飾り事件」はじまりはじまり〜

イスやお皿もぬかりなくカワイイ

ジャン=バティスト=クロード・スネ V&A所蔵
美しい植物の模様の生地と、繊細な彫刻がぎっしり詰まったイス。
サン=クルー城の化粧室に置いてあったというこのイスは、まるでドレスのような優雅さ!
背もたれのところにも「M」と「A」の彫刻が。
自分のイニシャルである「M」と「A」をさまざまな自分の所有物に入れていたマリー・アントワネット。
「自分の好きな物、自分のセンスはこういうもの」と示すように、職人への発注はもちろん、自身でもクッションなどに刺繍を入れていたそう。
まさに、“マリー・アントワネット・スタイル”をブランディングしていたのです。

セーヴル磁器製作所1781年 V&A所蔵
プチ・トリアノンという、マリー・アントワネットがルイ16世に贈られた小さな宮殿で使うものとしてセーヴル磁器製作所(ヨーロッパ最高峰のフランス王立磁器製作所※現在は国立磁器製作所)が制作したお皿。
ネックレスのように連なった真珠は、まるで本物のように陰影が細かく描きこまれています。
余白も美しく、料理がのせられたときも美しく見えるようにデザインされています。


展覧会には、マリー・アントワネットをイメージした香りをかげるコーナーも。
優しさと優雅さを感じるバラの香りにうっとり…。
マリー・アントワネットは、それまでフランスで主流だったムスク系の濃厚な香りよりも、花や植物系の自然な香りを好んでいたそう。わかる〜!
筆者は、この展覧会を見てまわるうちに、マリー・アントワネットに共感できるところが次々に見つかりました。
映画『マリー・アントワネット』の衣装にうっとり

の衣装 2005-06年 個人蔵(ザ・ワン・コスチュームズ)
2006年に制作された、ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』
アカデミー賞で衣装デザイン賞も受賞したドレスたちは、デザイナー、ミレーナ・カノネロが時代考証と現代性を融合し作り出したもの。
マリー・アントワネットが愛したパステルカラーと現代的なネオンカラーが溶けあい、約250年前のスタイルのドレスが現代の最新のドレスとして新鮮な魅力を放っています。
劇場公開当時筆者も、古いけど、新しいかわいさを観てみたくて、映画館に足を運びました。

マノロ・ブラニク・アーカイヴ所蔵
靴はデザイナーのマノロ・ブラニク自身がハンドメイドで作ったもの。
クラシカルな雰囲気もありつつ、現代的な鮮やかさで、思わず「履いてみたいなぁ」と思うデザインばかり!
このほかにも、他の映画やドラマに登場するマリー・アントワネットに着想を得たドレスが展示されていました。
マリー・アントワネットに影響を受けたファッションたち

ファッションブランド、モスキーノのドレス。
左1着がフランコ・モスキーノ、その他4着がジェレミー・スコットによるデザイン
モスキーノの創始者フランコ・モスキーノは1990年にマリー・アントワネットに着想を得たドレスを制作しました。
その後、2020年にジェレミー・スコットはさらにポップに現代的にマリー・アントワネットを解釈したドレスを制作。
青いドレスは、アニメ柄のトワル・ド・ジュイで作られていて、マリー・アントワネットの時代では御法度である“足見せ”スタイルのミニドレスとサイハイブーツが斬新!
真ん中のドレスはなんと中に王妃を想起させる絵柄のジーパンを履いています。かっこいい!
右の2着は、ケーキをモチーフにしたドレス。
もしかすると「パンが無いなら、ケーキを食べればいいじゃない」という言葉から、マリー・アントワネット自身がケーキになってしまうという皮肉的なドレスを作ったのかも?
グッズショップはレアアイテムの宝庫!

クリアファイル 550円(税込)、マスコット 2,970円(税込)
約250年前のカワイイと日本のカワイイ代表、ハローキティとのコラボグッズも!
花柄の生地で作られたマスコットは、かわいさとおしゃれさのバランスが絶妙。
「かわいずぎるマスコットはちょっと付けづらいな」という方にもおすすめです。
クリアファイルのキティちゃんは肖像画のような、横顔が珍しいグッズ。
この他に、ヘアゴム 1,100円(税込)、ミニタオル 1,320円(税込)もありました。

缶バッジセット1,100円(税込)、アクリルミラー 880円(税込)
「ベルサイユのばら」ファン必見のグッズもありました!
オスカルが凛々しいミラーは、ボールチェーンが付いているので、チャームとしてカバンにつけて持ち歩くのも。
キラキラのバッジはオスカル1人と、マリー・アントワネットと2人のデザイン2つセットです。

クッキー缶2,090円(税込)
展覧会のお土産の定番クッキー缶も、マリー・アントワネット・スタイルになると、こんなにもエレガントに!
記事でも紹介したイスを中央に描き、水色と白、ゴールドをあしらったデザインは、思わず「家に連れて帰りたい!」と思わせるかわいさ。
しかもこのクッキー缶、シャンデリアをかたどったチャーム(ピンクか水色。※色は選べません)も入っているんです。
筆者も迷わず購入しました!

中身のわからないブラインドタイプのチャームも発見!
ドレスやジュエリーの形のチャームはどれが出ても「アタリ」と思えるくらいかわいい。
フック式のチャームなのでバッグやポーチのファスナーに付けたり、ペンに付けたり、手持ちのアイテムをマリー・アントワネット仕様に変身させて楽しめます。

ドレスは普段着られなくても、こんな靴下なら、毎日のコーディネートにも取り入れやすいかも。
シアー感がおしゃれなソックスは、コーディネートが一気に華やかになること間違いなし!

各1,760円(税込)、中央下段のイラストがプリントされたトートバッグ 4,180円(税込)
トートバッグも上品なかわいさで、目移りしてしまいます。
カラーバリエーションが豊富なので、お友達やご家族と色違いで持つのも素敵ですね。

マリー・アントワネット・スタイルで展示されていたジュエリーがデザインされたガチャも発見!
どのデザインが出るかワクワクしますね。
※グッズ各商品の在庫には限りがあり、売り切れている可能性があります。
詳細は展覧会特設ショップ混雑・グッズ情報X( https://x.com/mariestyle_info)をご確認ください。
「マリー・アントワネット・スタイル」いかがでしたか?
ボリュームたっぷりの展覧会なので、ここでご紹介した作品やグッズは、ごくごく一部です。
会期も11月23日までと長いので、ぜひ実際に足を運んでじっくり鑑賞してくださいね。
※本記事内会場風景写真はすべて「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館 2026年)
「マリー・アントワネット・スタイル」
公式ウェブサイト: https://www.marie2026.jp
会場:横浜美術館
会期:2026年8月1日(土)〜11月23日(月・祝)
開館時間:10:00~18:00 ※11月21日・22日は20時まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週木曜日(9月24日、11月19日は開館)
観覧料(税込):一般 2,500円、大学生 1,600円、中学・高校生 1,000円
※小学生以下は入場無料
※障がい者手帳所持者と介護者1名無料
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