【土橋陽子の子どもの自立を育むインテリア・レッスンvol.1】我が家流インテリアのすすめ。子どもの参加を促して「壁の色」から変えてみませんか

インテリアショップ「イデー」所属後、独立。雑貨やインテリアのデザイナーとして、親子に大ヒット中の「fun pun clock(ふんぷんくろっく)」のデザインも手がけた土橋陽子さん。インテリアにまつわる記事を執筆したり、ライフスタイルのコンサルティングも行ったりと、多方面で活躍中です。

モンテッソーリ教育を勉強中の土橋さんがつくるインテリアには、いつも「家族の笑顔」が中心にあります。そこで、私たちが簡単に取り入れられる「家族のためのインテリア」のヒントを数回にわたって教えていただきます。

自分で選んだ!が子どもの自己肯定感につながる、家での記憶

 

土橋家の子どもたちは、中学生と高校生。自分の部屋の机はビンテージの家具ショップで、椅子は家の中にあるすべての椅子の中から、自分で選んだそう。ずっと愛着をもって大切に使っています。

断片的だけど、今でも色鮮やかに思いだせる子どもの頃の記憶。きっと、皆さんもいくつかお持ちだと思います。その中に、「家の中」で大好きだったものや場所の記憶はありませんか? よく遊んだおもちゃや大好きだったタオルや毛布、寝転んだ時に見上げたカーテンや窓から見えた空……。

0~6歳くらいは、人格のベースを形成する大切な時期といわれます。この時期にいちばんたくさんの時間を過ごす家での記憶は、成長するにつれて子どもの励みとなり、糧になると思っています。とくに、子どもがどれだけ自分で「やらせてもらった」「見てもらえた」か。この満足感は、自己肯定感につながります。これは、家のインテリアでもたくさん満たしてあげることができるんです。

親が子どもの「自分のエリア」を作ってあげることで、子どもに大きな安心感が育まれます

たとえば、子ども部屋のファブリックは、好きな色を子ども自身に選ばせてみましょう。これだけでも、子どもにとって「僕(私)が選んだカーテン」がある部屋は自分のエリアとなり、大きな安心感に包まれます。

また、幼稚園児くらいになると、自分が好きな「キャラクター」が登場する頃。たくさんのキャラクターたちを、夢中で並べて遊んでいますね。そこで、壁にそのキャラクターのポスターなどを貼って、おもちゃを壁のそばに集めてみましょう。あっという間にキャラクターエリアの出来上がり。子どもはそのエリアを守り、その中で存分に遊びます。片付け用の箱などを準備しておけば、言われなくても自分から片づけることも。これをママがほめてあげれば、子どもの嬉しさも倍増ですね。

大人にとっては「ちょっとしたこと」かもしれません。でも、こんな「気遣いのひと手間」が、思い出すと心がぽっと温かくなるような、子どもの素敵な記憶につながります。インテリアには、そんな「力」があります。ですから、家族が過ごす家のインテリアを、大切にしてほしいなと思っています。

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「壁」と「カーテン」で部屋ががらりと変わります。子どもと気軽にペンキ塗りを

娘と一緒に壁塗りをしているところ。白い壁が深みのある赤に

子どもの好きな色で、1つのエリアだけ壁の色を変えてみて

インテリアにこだわりたくても、なにかと制約の多い日本の住宅。でも、「壁」と「カーテン」を見直すだけでも、部屋の雰囲気をがらりと変えることができます。

壁は、思いきって色を変えてみましょう。子ども部屋ならもちろん、子どもが好きな色を選ばせてあげてください。とはいえ、はじめてのペンキ塗りは勇気がいりますよね。そこで、お試しで壁のひとつのエリアを塗ってみてもいいでしょう。それだけでも、部屋が一気に変わるのです。さらに、できるようなら子どもといっしょに塗るのがおすすめ。自分が塗ったことで、その部屋が大好きになるからです。私も、子どもたちと家の中でたくさんペンキ塗りをしました。

おすすめペンキは、カラーワークスの「Hip」

私がよく使うのは、カラーワークスの「Hip」というペンキです。初心者でも使い勝手がよく、二度塗りでムラなく仕上がります。私も、はじめて使ったときは「丸一日かかるのでは……」と思っていたのに、実際に始めてみたらスイスイ進んで、子どもが幼稚園に行っている間にリビングの壁塗りができたくらいです。

Hip」は、とにかく色のラインナップが豊富でおしゃれ。「こんな色にしたいな」とイメージする色が、きっと見つかりますよ。

カラーワークス「Hip

1488色もあるカラーチャートの中から選んだ色を、ひと缶ひと缶調合。イメージする色が探しやすいのが特長です。ペンキの塗り方や色選びも、プロがアドバイスしてくれます。1クォート(0.9L/約5平米2回塗り)~ 各3980円~+税 カラーワークス https://www.colorworks.co.jp/product/hip/

カーテンは「リネン」がおすすめ。毎日ちがう表情を楽しめます

天然のリネンのカーテンは、障子のようなやわらかな光を作り出してくれます

日本ならではの「障子」越しの光。ちらちらと光の陰影が美しく、日によって明るさやあたたかみの違いを感じることができます。

天然のリネンは、色や糸の太さによるムラが味わい深いもの。光を通すと、障子に似た、やわらかな心地のいい光になります。ですから、カーテンのように面積が大きくなると、いつもの部屋を、天気や風によって異なる表情に演出してくれるのです。

今は、扱いやすいポリエステル混のリネンカーテンも豊富にそろっています。ピンとくる色を見つけたら、さっそく替えてみましょう。部屋の空気まで変わりますよ。

最近は「シンプル」「断捨離」「ミニマム」といったスタイルが注目を集めています。それも素敵ですが、「こうしなくてはいけない」「ああいうふうにしなくちゃ」という思いでインテリアをまとめるのは退屈ですし、なにより楽しくないですよね。

親子でインテリアにこだわるようになると、「好きなもの」が増えて子どもの感性もグンと刺激されます。ですから、ママ自身も、自分が本当に好きなものを思い浮かべてみましょう。憧れていた部屋の「雰囲気」や、使ってみたい「色」や「素材」……。私は、インテリアにかまう・かまわないは、自分や家族を大切にする・しないに通じるのではないかと思っています。

 

少しずつでいいのです。我が家流のインテリアを目ざしてみましょう。次回からも、そのヒントとなるようなエッセンスをご紹介していきます!

お話をうかがったのは…

土橋陽子|家具デザイナー

インテリアショップ「イデー」に所属後、独立。デザインや記事の執筆など、インテリアに特化した活動に加え、ライフスタイルのコンサルティングなども行う。 家族の時間に笑顔を増やすアナログ時計「funpunclock」シリーズデザイナー。仕事と並行して、モンテッソーリ教師の資格取得を目ざして、モンテッソーリ教育理論を学び直し中。

構成/三宅智佳

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