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子供の熱中症、どんな症状?
体温が急上昇し、脱水症状に!重傷の場合はけいれんも
高温多湿の環境で長時間過ごすと、体に熱がこもったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりして、顔が真っ赤になる、大量の汗をかく、ぐったりする、頭痛を訴えるといった症状が出ることがあります。重症の場合はけいれんを起こすケースもあり、早めの対処が必要です。
体温調節が未熟な乳幼児は、特に注意を
炎天下や、高い気温の中にいると、体温調節の機能が働かなくなり、体にこもった熱をうまく発散できなくなります。その結果、体温が異常に上がり、やがて脱水症状を引き起こします。これが熱中症です。重症の場合、命にも関わります。体温調節が未熟な乳幼児は、あっという間に熱中症になる恐れがあります。
閉め切った室内や、車の中も危険です。特に夏の車の中は、15分で50℃もの暑さになります。短時間でも、絶対に車内に子どもを残して出かけないでください。
抱くと体が熱くてぐったりしていたら、熱中症のサイン。すぐに救急処置をしましょう。
子供が熱中症になったときの対処法は?
とにかく水分補給、その後体を冷やして
熱中症が疑われるときは、涼しいところに寝かせて経口補水液で水分補給を。衣服や靴下を脱がせ、太い血管が通っている首・わきの下・ももの付け根に、冷たいペットボトルや保冷剤などを当てて体を冷やします。水分がとれない、おしっこが出ないという場合はすぐに病院へ。
熱中症ケアのポイント
- ①日陰や、冷房の効いた涼しい場所に運ぶ
- ②衣服をゆるめ、首すじ、わきの下、脚の付け根に冷たいタオルなどを当てて冷やす
- ③スポーツドリンクや経口補水液など、塩分を含んだ水分を、少量ずつ与える
- *ただし、症状が重い時や改善しない時は、急いで小児科へ!
子供の熱中症、予防のために気をつけることは?
- ●昼間、日差しの強い時間帯での外遊びは避ける。外出時は帽子を
- ●大汗をかく遊びは短時間に
- ●塩分を含むスポーツドリンクなどをこまめに摂取
- ●暑い中にいる時は、大人が絶えず子どもを見守る。車内に置き去りは厳禁!
- *スポーツドリンクは糖分も多いので、ふだんは麦茶などを飲む習慣を
暑い夏の間は炎天下の昼間の外出はできるだけ避け、やむを得ず外出する場合は帽子をかぶる、日陰を選んで歩くなど、子供が日差しに直接当たらないよう心がけましょう。飲み物を持参して、こまめな水分補給も忘れずに!
高温多湿にならない環境づくりを
室内では風通しをよくして、直射日光はカーテンなどで遮り、扇風機やエアコンを適度に使って温度と湿度の調節を。外出時は冷房対策として長袖の上着を用意し、暑いところでは薄着で過ごしましょう。
ベビーカーの中は高温になりやすいので注意!
晴れた日は地面に近いほど気温が高くなり、日差しで熱くなったアスファルトからの照り返しによる熱の影響もあり、ベビーカーの中は大人が感じている暑さよりも高温になりがちです。日陰でひと休みしたり、日よけをつけたりした場合でも、ベビーカーの中には熱がこもりやすいので、気温が高い日のベビーカーでのお散歩は注意が必要です。
Q:水分・塩分補給のため、普段から経口補水液を飲ませるべきですか?
普段は水や麦茶で十分です。
経口補水液は多量の汗をかいた場合や、高熱で食事や水分がとれない場合、下痢・おう吐が続く場合のみ使用し、普段は水や麦茶・ほうじ茶を飲ませましょう。体調の急変に備え、経口補水液のペットボトル(500㎖)とゼリー飲料各1本の常備を。
Q:くもりの日でも熱中症の危険があるって本当?
蒸し暑い場所や締め切った部屋の中でも注意が必要!
気温がそれほど高くなくても、湿度が高い、風が弱い、急に暑くなったという日には天気にかかわらず熱中症になるおそれがあります。日陰や室内であっても、蒸し暑い場所や閉め切った部屋の中などでは注意が必要です。
Q:寝るときは冷房をつけたままにしても大丈夫?
就寝後はなるべく冷房を切るか、部分使いを
体が冷えすぎないよう、タイマーも活用して就寝後は冷房を切ることをおすすめします。冷房は一日中つけっぱなしにせず、食事中・お風呂上がり・寝入りばなを中心に使い、日中は外の空気を取りこむ時間もつくりましょう。
お話をうかがったのは
森蘭子 先生
森こどもクリニック院長。小児科専門医として豊富な経験をもち、小児皮膚科学会にも所属。漢方薬を用いた治療も行う。一女の母。
出典/『ベビーブック』2016年8月号 イラスト/伊藤美樹 構成/童夢 再構成/HugKum編集部