こんにちは。離乳食インストラクターの中田馨です。離乳食期になると、同時に考えるのが「水分補給」。これまで母乳や育児用ミルクでだけで過ごしてきた赤ちゃんですが、食事を始めることによって大人と同じように水分補給も必要なのか?と疑問が出てきます。今回は、離乳食期の水分補給について話します。
離乳食期の水分補給は必要?
離乳食が始まる前までは、母乳や育児用ミルクだけで基本的には十分と言われていた水分。離乳食がスタートすると、よくあるママのお悩みのひとつに「うんちの回数が減った」ということ。これは離乳食を食べることによって母乳や育児用ミルクの量が少しずつ減ることも原因のひとつです。
また水分を飲むことによって、離乳食を食べた後の口の中をきれいにするという意味合いもあります。母乳や育児用ミルク以外のものを、水分補給するときの考え方としては、甘みのあるモノやカロリーのあるものは水分補給の飲み物として与えないことは、離乳食期、幼児期ともに共通する考え方です。
いつから水分を飲ませる?
水分補給は、離乳食スタートした5~6カ月ごろから少しずつチャレンジしてみましょう。とはいえ、大人はコップでゴクゴク簡単に飲める水分ですが、赤ちゃんの口はまだ水分をコップで飲む能力が整っていませんので、月齢い合わせた飲ませ方をする必要があります。飲ませ方については、月齢ごとに分けて下に書きます。まずは、食事の時に練習がてらスタートしてみましょう。
水分補給で飲ませるものは?
では、具体的に赤ちゃんにどんな水分を与えればいいかを説明します。
おすすめは湯冷まし
赤ちゃんにおススメなのは「湯冷まし」。湯ざましとは一度沸騰させたお湯を人肌程度(36度前後)まで冷ましたものです。「水道水はいいの?」という質問もありますが。日本の水道水は、大人は飲料として使用することが出来きますが、まだ胃腸が未発達な赤ちゃんです。一度沸騰させ殺菌した方が安心安全に飲ませることが出来ます。
用意するもの
湯ざましを作る時に用意するものは、お湯を沸かす調理器具(ヤカン、鍋など)
作り方
1.お湯を沸かす調理器具に水を入れて沸かす
2.耐熱容器に入れて人肌まで冷ます
早くに冷ましたい場合は、哺乳瓶など密封できるものに入れ水道水を当てて冷まします。塩素を抜くためには、沸騰から5~10分沸かすとよいようです。湯ざましを保存する場合は、保存容器に湯ざましを入れ、冷めてから冷蔵庫に入れます。保存した湯ざましはその日のうちに使い切るようにしましょう。
お茶・麦茶
湯冷まし以外には、麦茶やほうじ茶を飲むことが出来ます。ベビーコーナーに行くと「1カ月からOK」といったふうに書かれていますが、あえて与える必要はありません。メインはあくまで母乳や育児用ミルクです。また、ベビー用の麦茶にこだわる必要はありません。大人用のに作った麦茶でももちろんOK。ただ、味が濃いので、湯ざましを4倍ほどの量で薄めて与えましょう。大人用の麦茶は水だしするのではなく、湯ざましを作るときの要領でお湯を5~10分沸かしたものを使用しましょう。
イオン飲料
「3カ月ごろからOK!」と書かれていることの多いイオン飲料ですが、こちらは普段の水分補給にはNGです。2019年に改定された「授乳・離乳の支援ガイド」には「イオン飲料の多量摂取による乳幼児のビタミンB1欠乏が報告されている。授乳期及び離乳期を通して基本的に摂取の必要はなく、必要な場合は、医師の指示に従うことが大切である」と明記されています。イオン飲料は、飲む必要がある時だけ、医師の指示のもと飲むものだと思っておきましょう。
赤ちゃんの水分補給の量とタイミング
赤ちゃんの1回の水分補給の目安は、どの時期を通しても10~30ml程度です。
離乳食初期
離乳食初期は、母乳や育児用ミルクがまだメインの時期です。無理強いする必要はありませんが、離乳食の時に水分補給をスタートしてみましょう。
離乳食中期
離乳食中期は、スプーンから少しずつ液体をゴックンできるようになってきます。離乳食の時以外にも、お風呂上り、外から帰ってきたときなど、母乳や育児用ミルクの間に飲む機会を作ってみましょう。
離乳食後期
離乳食後期になると、離乳食が1日3回になるので、母乳や育児用ミルクの量がだいぶ減ってくる頃です。コップから飲めるようになる時期なので、離乳食の時以外にも、お風呂上り、外から帰ってきたとき、汗をよくかいたとき、など積極的に水分補給をしましょう。
上記以外にも、熱があるとき、よく泣いた後、夏場などにも、タイミングを見て水分補給が必要です。また、水分が少ないと判断できるのが、おしっこの量がいつもより少ない、色が濃い時です。こんな時はこまめに与えるようにしましょう。
【離乳食期別】水分の進め方と飲ませ方
大人はゴクゴクと簡単に飲める水分ですが、赤ちゃんが水分補給しようと思っても、最初から大人のようにコップで飲むことはできません。ですので、月齢によって水分補給の方法は変わってきます。
離乳食初期頃まで
低月齢(2カ月頃~)の赤ちゃんの場合は、哺乳瓶がおススメです。哺乳瓶で湯ざましを飲むと最初のどに引っ掛けてしまう子が多いので、かんたんに出る乳首はNGです。少しずつ練習することで、上手に飲めるようになってきます。また、離乳食がスタートしたら、スパウトも使えるようになってきます。
離乳食中期
離乳食中期(7カ月~8カ月ごろ)になると、スプーンですくった少しの水分を飲めるようになってきます。水分補給をスプーンで練習してみましょう。
離乳食後期
離乳食後期(9カ月~11カ月ごろ)になると、コップのみの練習が始まります。最初からコップに並々注がれた水分を飲むことはできません。ステップアップとしては、
1.まずは、おちょこくらいの小さい器に一口分の水分を入れて飲むことから始める
2.1がスムーズに飲めるようになったら、コップに少量の水分を入れて飲んでみる
3.2ができるようになってきいたら、ある程度の量の水分をコップに入れて飲んでみる
一度に上手にはなりませんので、少しずつ赤ちゃんのペースに合わせてチャレンジしていきましょう。
赤ちゃんが水分をとってくれないときはどうする?
赤ちゃんが水分を飲むのを嫌がることがあります。そんなときの考え方ですが、「おかゆや汁もの野菜にも水分が多く含まれている」ということ。湯冷ましやお茶を嫌がる場合は、いつもより汁ものを多めに食べてもいいかなと思います。また、コップのみが始まる離乳食後期以降の子が、水分を嫌がるときは「コップがいや」という場合もあります。そんな時は、スプーンで与えてみてください。意外に飲んでくれることがありますよ!
水分を飲めるようになると、外出時や熱のある時に手軽に水分補給できるので役立ちます。練習には少し時間がかかる場合もありますが、少しずつ取り入れることから始めてみましょう。
記事執筆
一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。