子供の寝かしつけはいつまで?
寝かしつけは一体子供が何歳になるまで必要なのでしょうか?
日本では早くて2、3歳までが平均
筆者の友人のオーストラリア人たちは、子供が幼稚園に通うころになると、子供部屋に子供を閉じ込めて、鍵を掛けて夜は1人で眠れるように訓練させると言っていました。しかし、子供が添い寝を求めているのに、「もう赤ちゃんじゃないんだから、1人で寝なさい」と言ってしまうと、何か子供の心の安定にネガティブな影響を与えるような気もします。周囲の保護者にリサーチしたところ、2、3歳までが多数派で、「小学校低学年の今になっても続けている」という声も。
独り寝は、その子自身のタイミングを待って
この点を助産師・小林いづみさんに聞くと、「自然に自分から『もう1人で寝る』というタイミングが来ます。そのときまでは、無理して寝かしつけをやめる必要はありません」
と教えてくれました。もちろん、子供の成長に合わない形で、赤ちゃんのように扱う必要はないみたいですが、子供が求める限りは、何歳になっても普通に寄り添ってあげて問題ないようです。
みんなが子供の寝かしつけにかかっている時間やお悩みは?
HugKum編集部では、1歳~3歳の子を持つママやパパ122人を対象に子どもの寝かしつけにかかる平均時間や様子、お悩みについてアンケートで聞いてみました。
Q.お子様の寝かしつけに、平均してどれくらいの時間がかかりますか?
アンケートの結果では、「30分」が最多の36.1%、続けて「20分」が12.3%となりました。「20分」と「30分」の回答数を合わせると48.4%に。子供の寝かしつけには平均して20分~30分かかると回答した方が約半数となりました。また、「1時間以上」が11.5%や「1時間」が8.2%など、寝かしつけに長い時間がかかっている方も少なくありません。
親自身が寝不足だったり、何かを急いで片付けてしまいたいなどの気持ちがあったりすると、さすがに1時間、2時間はイライラしてしまいます。寝かしつけに時間がかかって悩んでいる方の声も見てみましょう。
いつまでも寝てくれなくてイライラ!寝かしつけに関するお悩みは?
子供の上手な寝かしつけ方の基本は?
子供を寝させるために有効な基本テク
子供のスムーズな寝かしつけのためには、いくつかのコツがあると小林さんは語ります。
「まず、部屋の電気は消したいですし、スマホも子どもを寝かせる部屋に持ち込みたくはありません」
やはり照明は子供の入眠や睡眠を妨げると小林さんは指摘します。豆電球はもちろん、家電の待機を示すランプなどの細かい明かりでさえも、入眠や睡眠の邪魔になるケースも。子供の「眠りたい」という自然な欲求を邪魔しない環境づくりも、重要なのですね。
遊び切れていれば、子どもは自然に寝付くもの
親としてイライラを感じずに、子供を上手に寝かしつける方法はあるのでしょうか? その点を助産師の小林さん、江尻さんに聞くと、同じ答えが返ってきました。昼寝にしても、夜の就寝にしても、
「子供は遊び切れていないと寝ませんし、遊び切れていれば勝手に眠ってくれます」
とのこと。実際に江尻さんのスリングサークルでは、子供が出す「一緒に遊ぼうサイン」をキャッチして遊んであげると、4~5カ月の乳児であっても、何の寝かしつけもせずに自然に昼寝に入るそうです。寝かしつけに苦労するお母さんがその様子を見て驚くといった場面もあるのだとか。助産師の小林さんも、しっかり遊んだ子供は、食事をしながらでも時間になれば勝手に「寝落ち」していくといいます。
子どもが寝付かなくなる悪循環とは?
子育てに家事に、場合によっては仕事にと忙しくしていると、子供が「遊ぼうサイン」を出してきても、付き合いきれない瞬間もあるかと思います。しかし、その遊ばないという選択肢が、
子供が寝ない→親も寝不足になる→疲れが取れずに、翌日以降も子供の遊びに親が付き合えない
といった悪循環の始まりになるのですね。子供の年齢に関係なく、体を使って一生懸命遊んであげるだけで、難しいテクニックがなくても子供はスッと眠ってくれるのだとか。言われてみれば、シンプルな話です。さらに、
「男の子、女の子関係なく、とことん体を使って遊んであげる場合、お父さんの役目も重要になってきます」
と小林助産師は話します。「女の子だから、それは危ない……」、「まだ小さいから、それは駄目……」という気持ちばかりで、子供の体を動かす機会を奪ってしまうと、やはり入眠に悪影響が出ると言います。親としては先回りしてリスクを回避した上で、外でも屋内でも、とことん子供が体を動かせる環境を作ってあげられるといいですね。
絵本は寝かしつけにおすすめアイテム
では、歌や音楽、オルゴールや絵本など、いわゆる「寝かしつけアイテム」は有効なのでしょうか。十分に子供が遊び切れているという前提を満たした上で、子供が寝る前に必ず触れる音楽、絵本、子守歌などを作ると、それらの音楽や歌、絵本を見聞きした途端に、条件反射で眠ってくれるようになるのだとか。
絵本の読み聞かせはいつからはじめる?
絵本の読み聞かせをする時期に、決まりはないと言われます。0歳の赤ちゃんのころから、ものとしての興味を持つことができ、ママやパパなどの声を聞くことで精神が安定することも。読み聞かせの準備として、いろいろなタイプの絵本を見せ、子どもの好みや興味の対象を探ってみてもよいでしょう。そうすることで1歳頃から言葉を覚え始めた時に、読み聞かせにすんなり入っていけます。
以下、読み聞かせ雑誌『この本読んで!』編集部が選書した、読み聞かせ時におすすめの絵本を紹介します。
0歳児~1歳児の寝かしつけにおすすめ絵本
『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』
作・絵/高野文子
900円(福音館書店)
毎日お世話になっているしきぶとんさん、かけぶとんさん、まくらさん。「まかせろ まかせろ おれにまかせろ」と、頼もしいお返事をくれます。おねしょ、悪い夢、昼間転んですりむいた傷だって包み込んで、みんなで男の子が眠るのを、見守ってくれています。
ママパパの口コミ
2歳児、3歳児の寝かしつけにおすすめ絵本
『ねこのピート だいすきなおやすみえほん』
作/キムバリー・ディーン、ジェームス・ディーン
訳/大友 剛
文字画/長谷川義史
1,300円(ひさかたチャイルド)
子供たちに大人気のねこのピートシリーズ。いつも軽快な音楽とともに読み聞かせるのが楽しい絵本ですが、今回は「ケロケロパッチン! ケロパッチン!」。仲間たちがようやく静かになったと思ったら、お次は「ラッタカタンタン!トンタンタン!」。なかなか眠らないので、ピートは絵本を読むことにして…。
ママパパの口コミ
とことん遊び疲れたら、やっぱりまぶたが重くなってきますよね。子供の寝かしつけについて基本的な考え方を紹介しました。
江尻さんは「そもそも寝かしつけという言葉が、大人の都合を押し付けたような響きがあるような気もします」と言います。親の都合で、親の寝てほしい時間に寝かせよう、寝かせようとすると、逆に子供は寝ないという話も。
参考にしながら、日々の寝かしつけに役立ててみてください。
取材・文/坂本正敬 写真/繁延あづさ
【取材協力】
※ 小林いづみ・・・助産師。昭和33年、宮崎県生まれ。3人の子供の母親。まるまる育児を、個別ケアやクラスに来るママ・パパに伝え、一緒に勉強をする。トコ企画の骨盤ケアアドバンスセミナー、新生児ケアセミナー、赤ちゃん発達応援セミナー、トコ・カイロプラクティック学院の基本整体ペルビック、基本整体ベビー、まるまる育児アドバイザー養成セミナー、おとなまきアドバイザー養成セミナーなどを担当。東京都福生市の助産院、東京都品川駅近くのサロンでは、抱っこクラス、スリングレッスンクラス、発達応援クラス、個別ケアを受け持けもつ。
http://coubic.com/maaruikosodate
※ 江尻由紀子・・・全国で認知度を高めるスリング、通称「エジリング」の考案者。「snow+moon/こそだてサークル雪月」代表。2008年からママと赤ちゃんの体に優しいオリジナルスリングとまるまる抱っこの姿勢を崩さない、心地よく安全に抱っこができる「snow+moonオリジナルの使い方」を広げる活動とこそだてサークル雪月を開催する。現在は全国各地に「snow+moonスリングアドバイザー」がおり、連携して活動中。継続して指導が出来るよう、レッスンや子育てサークルを行っている。 富山県出身、富山在住。2児(15歳、12歳)の母。