「百ます計算」などの「隂山メソッド」が多くの学校・家庭で成果をあげている隂山英男先生が、子供の学力を家で伸ばす方法について教えてくださるコーナーです。
今回のテーマは、小学校に入学してすぐの時期における家庭学習についてです。
家庭学習の3つのポイント
小学校に入学してすぐの時期における学習のポイントは
1.親が家事をしている近くでさせる
2.終えた課題をしっかり見て『とても上手にできたね』など、大いにほめてあげる
そして、
3.子供がもっとしたいと言っても『続きはまた明日ね』と、きっぱり5~10分で終わらせる
この3つです。
1.親が家事をしている近くでさせる
まず最初のポイントは、「親が家事をしている近くでさせる」です。
この理由は、親が見ている・近くにいるという安心感がリラックスを生み、集中できるからです。これは本を読む、宿題をする、明日の時間割を合わせるといった、すべての行動にいえる事です。
特に低学年のうちはリビングルームに子どもの机を置いて、学習に関するすべての事を親の近くで行えるように工夫すれば、それは子供にとって最高の学習環境となるでしょう。
2.終えた課題をしっかり見て『とても上手にできたね』など、大いにほめてあげる
次のポイントは、「終えた課題をしっかり見て『とても上手にできたね』など、大いにほめてあげる」です。
これは親の「ほめ言葉」を通してこそ、子供は達成感を感じるという事です。ある事に取り組み、その結果を親子で共有し、笑顔で喜び合う。
時には「すごい! こんなに上手にできるんだね」と、驚きを子供に伝える事で、子供の達成感はさらに大きくなります。こうした小さな達成感の積み重ねが、子供の学ぶ意欲を育んでいくのです。
3.子供がもっとしたいと言っても『続きはまた明日ね』と、きっぱり5~10分で終わらせる
そして最後のポイントが、「子どもがもっとしたいと言っても『続きはまた明日ね』と、きっぱり5~10分で終わらせる」です。
これは私が子供を指導する時、最も大切にしているポイントの1つ。勉強はてきぱきと短時間で終わらせるほどいいのです。
5分で終わったからといって「じゃあもっと勉強しよう」は禁句。子供にとってあっけないくらいの時間で終わらせる事が勉強を「楽しい」と感じさせ、「楽しい」と感じる事が毎日の継続や、「リラックスして集中力アップ」という状態を生み出す事につながります。
「続きはまた明日、一緒にがんばろうね!」が子どもへの最高の一言だといえるでしょう。
入学後しばらくは宿題はありません。今のうちに机に向かう事が楽しいという感覚を育んでおけば、やがて「宿題をしなさい!」と何度も言わなくても自分から机に向かい、宿題なんてさっさと片付けちゃえ、という子になります。
これは親にとっても楽ですし、何より子供の学力習得に欠かせない大切な習慣です。ぜひ小1の早い段階で、学習習慣を身につけてください。
記事監修
1958年兵庫県生まれ。1980年、岡山大学法学部卒業後、教職の道へ。百ます計算をはじめ、「読み書き計算」の徹底した反復学習と生活習慣の改善に取り組み、子ども達の学力を驚異的に向上させた。その指導法である「陰山メソッド」は、教育者、保護者から注目を集め、「陰山メソッド」を教材かした『徹底反復シリーズ』は、総計770万部の大ベストセラーとなっている。現在、YouTube『陰山英男公式チャンネル』で授業や講演を公開して注目を集めている。
編集協力/小倉宏一(ブックマーク) 撮影/奥田珠貴
(初出:『小学一年生』2015年4月号)