ウィズコロナの「新しい生活様式」実践マニュアル。子どものマスク着用法や事故予防を知っておこう【Safe Kids Japan】

新型コロナウイルスの感染拡大予防のために発出されていた緊急事態宣言は、5月末までに全国すべての都道府県で解除され、今月から、感染拡大の予防に配慮しながら、普段どおりの生活をする「新しい生活様式」が求められています。

厚生労働省:新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例

 

今回は、この「新しい生活様式」における子どもの傷害予防についてお話しします。

子どものマスク着用

上記の実践例にもあるとおり、「マスクの着用」が推奨されています。健康な成人であればここに書かれた使い方で問題ないのですが、子どもの場合は、

・窒息

・熱中症

・皮膚疾患

・視野の不良

などを引き起こす可能性がありますので、子どもの顔色や発汗の状態、息づかいなどをよく観察し、子どもの状態を見ながら着用させましょう。無理に着用させる必要はありません。特に2歳未満の乳幼児はマスクを着用させないことが重要です。

子どもの交通事故

6月から子どもの学校が再開、というところも多いのではないでしょうか。休校が始まったのは3月でしたので、多くの子ども達はほぼ3ヶ月ぶりの登校ということになります。特に、この春入学した1年生にとっては、今この時期に「初めての通学」を体験します。

子どもの歩行中の交通事故死者・重傷者数は、7歳の5月が突出して多いことが知られていますが、今年はその事象が2ヶ月遅れで現れることが懸念されます。

3月に公開したこちらの記事子どもの視野は大人の60%!子どもの新生活を安全にスタートするために」で、子ども達の安全な歩行について、あらためて確認してください。

子どもは大人の視野の約60%と言われており、子どもの視野の広さを大人が知るための「チャイルドビジョン」
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子どもの水の事故

新型コロナウイルス感染拡大は、水辺の活動にも影響を及ぼし、今夏の「海水浴場の開設断念」を表明する市町村も相次いでいます。

「海水浴場が開設されない」ということは、「海水浴場で例年実施されていた安全対策がとられない」ということです。海水浴客の安全を守るために沖合に設置されていたブイやライフジャケットのレンタルなどがなくなり、ライフガードも不在になる海岸が多いでしょう。安全が確保されていない海岸では、遊泳などのアクティビティは避けてください。

とは言え、子どもも大人も「自然の水辺で遊びたい」という気持ちはあると思います。川や湖に出かけるのはどうでしょうか?

残念ながら、川や湖は海水浴場のような安全対策がとられていないことが多いので、海以上に危険と言わざるを得ません。例年、水の事故がもっとも多く起こるのは「河川」なのです。遊泳エリアが指定されていて、ライフガードの人がいる川や湖であれば、ライフジャケットを着用した上で遊ぶことができますが、それ以外の場所での遊泳や水遊びはきわめて危険です。

一方、プールに関してですが、こちらも今夏は休業、あるいは入場制限を設けた上で営業というところが増えています。営業しているプールでも、施設が定めているガイドラインを守った上で利用し、ライフジャケットを着用してください。

いわゆる「おうちプール」で遊ぶ場合は、

・使用後は必ず水を抜いてプールを逆さにしておく(午前中に使ったプールを午後また使う場合も、その都度水を抜いておく)

・プールをベランダの手すりに立てかけない(プールを足がかりにして手すりを越えることがあるため)

・プール内ですべって転ぶことがあるので、子どもは保護者の「目」の届く範囲ではなく、「腕」の届く範囲内で遊ばせる

といったことを実行してください。

 

 

Safe Kids Japanとは

私たちSafe Kids Japanは、事故による子どもの傷害を予防することを目的として活動しているNPO法人です。20186月からこのHugKumで、子どもの傷害予防に関する記事を配信しています。基本的に毎月1回、季節や年中行事などに関連した内容の記事をお送りしたいと考えています。

さて、「事故による傷害」、「傷害予防」という言葉、あまり聞き慣れないかもしれません。私たちがなぜ「事故」ではなく「傷害」という言葉にこだわっているのか、について、少し説明させてください。

事故?傷害?その違いは?

「事故」という言葉を辞書で調べてみると、「思いがけなく起こった良くないできごと」とあります。英語で言うとaccidentですね。accidentは「意図しない不幸なできごと」という意味で、「避けることができない運命的なもの」という意味も含まれています。海外でもかつてはaccidentを使っていましたが、最近ではinjuryという言葉が使用されるようになりました。injuryは「ケガ」「負傷」という意味です。「事故」は科学的に分析し、きちんと対策すれば「予防することが可能」という考え方が一般的になり、「運命的な」という意味を含むaccidentではなく、injuryという言葉を使用することが勧められるようになったのです。今ではaccidentという言葉の使用を禁止している医学誌もあるくらいです。

そのinjuryに対応する日本語として、Safe Kids Japanでは「傷害」という言葉を使っています。よく「事故予防」と言われますね。もちろん事故そのものが起きないことがいちばんなのですが、たとえ事故が起きたとしても、(重大な)ケガはしないように備えよう、そんな思いも込めて、「傷害予防」と言っています。

NPO法人Safe Kids Japan

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