柚子ジャムは、他の柑橘系のジャムよりも苦くなりがちですが、その上品な風味は、料理やお菓子のいいアクセントになります。当記事では、子供のおやつにもピッタリの、簡単にできる苦くない柚子ジャムの作り方とコツをご紹介します。
簡単にできる、苦くない柚子ジャム
柚子を使った「柚子ジャム」は苦みと爽やかな香りが特徴で、お料理やお菓子の風味付けによく使われます。
また、基本の柚子ジャムの作り方をはじめ、圧力鍋や電子レンジで作ったり、蜂蜜(はちみつ)や小さい柚子を丸ごと入れたり、柚子の実やわたを使った柚子ジャムのレシピをお伝えします。さらに、柚子ジャムを使ったアレンジレシピもチェックしてみました。ぜひ試してみてくださいね。
柚子ジャムが苦くならないコツ
柚子ジャム独特の苦みが苦手という人もいるかもしれません。柚子ジャムが苦くならないためには、どんなコツがあるのでしょうか。
柚子はなぜ苦いの?
柚子をはじめ、多くの柑橘にはリモノイドという苦み成分を持っており、リモノイドの中でもとくに苦みを感じさせるのが、リモニンとノミリンとされています。これらの成分が柚子に苦みを与えているのですが、一方では、解毒酵素の活性化、高コレステロールや中性脂肪の抑制効果などが認められているようです。
ワタを取る
苦み成分リモネンとノミリンは、特に皮の内側のワタに多く含まれています。ワタをきれいに取り除くことで苦みを抑えることができます。
皮の下処理を行う
柚子の皮を3回程度煮る下処理も、苦みを抑える重要な工程です。柚子の皮がひたひたに浸かる程度に水を入れ、しっかり沸騰させると苦みが少なくなります。
焦がさず煮詰める
ジャムを煮詰める工程で焦がしてしまうと、苦みが出てしまいます。とろみが出るまで弱火で丁寧に煮詰めることで、苦みの少ないジャムに仕上げることができます。
柚子ジャムの作り方|基本~簡単レシピ
それでは、基本の柚子ジャムの作り方から圧力鍋や電子レンジを使った簡単な作り方、蜂蜜(はちみつ)や小さい柚子を丸ごと入れた作り方など、柚子ジャムの作り方レシピをご紹介していきます。
【1】基本の柚子ジャムの作り方・レシピ
ほどよい苦みの柚子ジャムは、お菓子や料理の風味を引き立ててくれます。まずは、柚子ジャムの基本の作り方・レシピをご紹介します。
◆材料
・柚子 250g(中くらい2個、小さ目の柚子なら3個くらい)
・砂糖 70g
◆作り方
- 柚子の汚れを丁寧に洗い落とし、横半分に切る。
- ボールにざるを重ねた上で半分に切った柚子の果汁を絞り、種を取り除く。種は捨てずにお茶パックに入れておく。
- 皮に残っているワタと薄皮をスプーンなどで取り除いた後、皮を千切りにする。
- 千切りにした皮を鍋に入れ、かぶるくらいの水で茹でる。沸騰したらお湯を捨てる。これを3回程度繰り返し、よく水気を切っておく。
- 鍋に皮、果汁、砂糖、お茶パックに入れた種を入れて強火で煮る。沸騰したら火を弱め、10~15分煮詰める。ジャムにとろみが出てきたらお茶パックに入れた種を取り出す。
- ジャムが冷めるととろみが増すので、好みのとろみ加減より少しゆるい位の所で火を止める。煮沸消毒した瓶に詰めたら完成。
【2】圧力鍋を使った柚子ジャムの作り方・レシピ
圧力鍋を使えば、煮詰める工程に時間がとられず、短い時間で柚子ジャムを作ることができます。
◆材料
・柚子 10個
・砂糖 300g
・水 200cc
・塩 少々
◆作り方
- 柚子を丁寧に洗い、横半分に切る
- 半分に切った柚子の果汁を絞り、種を取り除いた後、こしておく。
- ワタや薄皮を取り、皮を千切りにする。
- 千切りにした皮を水に入れ茹でる。3回程度繰り返した後、水気を切っておく。
- 2でこして出た種と水を鍋に入れて強火で煮たて、ざるにあけて種を取り除く。(煮たてた水は捨てないこと)
- 圧力鍋に皮、果汁、5で種と煮た水を入れて火にかける。
- 沸騰したら中火にし、2分間加圧してから火を止めておもりが下がるまで待つ。
- おもりが下がったら蓋を開け、砂糖と塩を加えて煮て、好みのとろみ加減より少しゆるい位の所で火を止める。煮沸消毒した瓶に詰めたら完成。
【3】電子レンジを使った柚子ジャムの作り方・レシピ
電子レンジを使えば、焦げる心配なく簡単に柚子ジャムを作ることができます。
◆材料
・柚子 2個
・砂糖 大さじ2
・水 100cc
◆作り方
- 柚子の汚れを丁寧に洗い落とした後、半分に切って種を取り除き、皮と果肉を一緒に千切りにする。
- 耐熱容器に1と砂糖、水を加えて、ラップをせずにレンジで3~4分温める。
- やけどに注意しながらかき混ぜた後、様子を見てさらに2分ほど温める。
- ジャムに透明感が出てきたら出来上がり。煮沸消毒した瓶に詰めて完成。
【4】蜂蜜(はちみつ)を使った柚子ジャムの作り方・レシピ
蜂蜜をプラスすれば、苦みを抑えた柚子ジャムを作ることができます。蜂蜜は喉にもいいので、風邪で喉が痛いときなどは、お湯に溶かして飲むのもおすすめです。
◆材料
・柚子 2個
・蜂蜜(はちみつ) 大さじ2
・砂糖 80g
◆作り方
- 柚子の汚れを丁寧に洗い落とした後、くし形切りにして皮と中身を分ける。
- 皮に残っているワタをスプーンなどで取り除き、千切りにする。中身の果肉からは種を取り除いておく。
- 鍋に千切りにした皮、果肉、蜂蜜(はちみつ)、砂糖を加えて中火で煮る。沸騰したらアクを取り、15~20分煮詰める。
- 好みのとろみ加減より少しゆるい位の所で火を止める。煮沸消毒した瓶に詰めたら完成。
【5】小さい柚子を丸ごと使った柚子ジャムの作り方・レシピ
小さい柚子を丸ごと使うと、ビタミンCやペクチンなどの栄養を無駄なく食べることができます。
◆材料
・柚子の皮 350g
・柚子の中身(果肉・内袋) 450g ※柚子の種は除く
・砂糖 重さの合計の約60%
◆作り方
- 柚子の汚れを丁寧に洗い落とした後、半分に切って皮と中身を分ける。
- 中身の果肉からは芯や繊維の部分を取り、ボールにざるを重ねた上で果汁を絞り、種も取り除いておく。
- 皮は薄く千切りにした後、2で果汁を絞った後の果肉と一緒に鍋に入れて多めの水で煮る。沸騰したらお湯を捨てる。
- 3の作業をもう一度繰り返し、よく水気を切っておく。
- 4と果汁、砂糖を鍋に入れ、焦がさないよう混ぜながら弱火で煮詰める。砂糖が煮溶けて細かい泡が出てきたら火を止める。煮沸消毒した瓶に詰めたら完成。
【6】柚子の実を使った柚子ジャムの作り方・レシピ
香りづけに皮を使った後、残った実をリメイクしてジャムを作る方法です。
◆材料
・表皮を使い切った後の柚子 1個
・砂糖 大さじ1
・蜂蜜(はちみつ) 小さじ1
◆作り方
- 表皮を使い切った柚子をへたの方からむく。
- 果肉の入った袋を一つずつ取り出し、種を取り除く。
- 鍋に2の種を取り除いた袋と砂糖、はちみつを入れ、果肉をつぶすようにしてかき混ぜながら弱火で煮る。
- 焦がさないよう混ぜながら7~8分煮詰め、水分が飛んだら火を止める。煮沸消毒した瓶に詰めたら完成。
【7】柚子のわたを使った「砂糖漬け」の作り方・レシピ
ジャム作りで取り除いた柚子のワタも、砂糖漬けにすれば甘酸っぱくておいしいお菓子に早変わりします。
◆材料
・柚子の皮 600g
・グラニュー糖 150g
・水 300cc
・レモン汁 大さじ1と1/2
・仕上げ用グラニュー糖 大さじ4
◆作り方
- きれいに洗った柚子の皮を食べやすい大きさに切り、外側の黄色部分をそぎ落とす。
- 鍋にワタが浸るくらいの水を入れ15分くらい中火で煮立てる。2回程度繰り返す。
- 煮立ったワタを30分くらい水にさらした後、しっかりと水気を切る。
- 3にグラニュー糖、水、レモン汁を入れ、弱火で水分がなくなるまで煮詰める。
- 4の煮詰まったワタを、バットに乗せた網の上に広げ粗熱を取る。
- 粗熱が取れたら仕上げ用のグラニュー糖をまぶし、冷蔵庫で一晩冷やしたら完成。
柚子ジャムを使ったアレンジレシピ
柚子ジャムを使ったアレンジレシピには、どんなものがあるのでしょうか。
【1】柚子ジャムを使ってもおいしい「デザートおばけピザ」レシピ
本来はイチゴジャムで作るレシピですが、柚子ジャムを使っても美味しく仕上がります。溶けたチーズと程よい苦みの柚子ジャムがあいまって、甘すぎないデザートピザが完成。子供だけでなく、大人も美味しく食べられます。
◆材料
(6枚分)
【A】
ホットケーキミックス 150g
水、油 各大さじ3
モッツァレラチーズ 1個(100g)
イチゴジャム→柚子ジャム 大さじ6
黄桃(缶詰)、レーズン 各適量
◆作り方
1.ボウルに【A】を入れ、手で混ぜてひとまとまりにし、6等分に丸める。
2.チーズは5mmの厚さにスライスし、左右に逆V字の切り込みを入れる。黄桃で星と月を作り、レーズンは目・口用に薄切りにしておく。
3.フライパンに1の生地をそれぞれ直径10cm程度にのばし、中火でうっすら焼き色がついたらひっくり返し、縁を少し残して柚子ジャムを塗る。2をのせてチーズが温まるまで焼く。黄桃の星や月、レーズンを飾る。
◆ポイント
チーズの左右を逆V字型に切り落として、おばけの手を作ります。
教えてくれたのは
中村陽子さん
料理研究家。味はもちろん、見た目の美しさ、楽しさにもこだわったオリジナル料理が人気。キャラクターやモチーフデザインのセンスにも定評がある。一男一女の母。
『めばえ』2017年10月号
【2】柚子ジャムでも合う!「ツートーンのクロスタータ」レシピ
2種類のジャムを使った、見た目も華やかなイタリア料理の定番ドルチェです。
◆材料
(直径20cmのタルト型1台分)
薄力粉 250g
砂糖 100g
無塩バター 125g
卵 1~2個
バニラオイル 少々
ジャム 2種類(柚子、りんご、マーマレード、ブルーベリー、ストロベリーなどから2色。水分の少ないタイプ) 各200g程度
シュガーパウダー 適量
◆作り方
1.ボウルに薄力粉をふるい入れ、常温で柔らかくしておいたバターと混ぜ合わせる。
2.1に砂糖とバニラオイルを加え混ぜる。
3.2に卵を加え混ぜ、手でしっかりこねる。
4.3にラップをかけ、冷蔵庫で1時間冷やす。
5.タルト型の内側にオーブンペ ーパーを敷き、4の生地の3/4量を入れて、厚さ1cmくらいになるように指先でたたきながらのばす。
6.底の生地にフォークでまんべんなく穴をあける。
7.6にジャム2種類を半円ずつのせる。
8.残りの生地(1/4)を約1cm幅の棒状にのばし、【7】の上に網目を作る。
9.180℃に予熱したオーブンで30分焼く。
10.皿に移して、シュガーパウダーをかける。
教えてくれたのは
ベリッシモ・フランチェスコさん
イタリア料理研究家、料理コンサルタント。イタリア・ローマ出身。料理指導のほか、各メディアを通し、イタリアと日本の文化の架け橋的な役割を果たす。オリーブオイル・ソムリエ(AISO認定)としても活躍。
『めばえ』2016年12月号
柚子ジャムは使い方いろいろ
柚子ジャムの基本の作り方、圧力鍋や電子レンジを使う方法、蜂蜜を使うレシピなどを紹介しました。柚子ジャムはそのままパンなどに塗っても美味しく食べられますが、お菓子や料理の隠し味としても大活躍します。手作りの柚子ジャムを作って楽しみましょう。
文・構成/HugKum編集部