子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴47年、常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。
娘が、好きな男の子のママに“息子が迷惑している”と言われてショック!
娘の保育園は、縦割りの活動が多い園です。娘は年少クラスですが、近所に住む年長クラスの男の子・Aくんが好きみたいで、手をつないで毎日、園バスに乗って行きます。Aくんのママも楽しそうに見ていましたが、最近、Aくんが手をつなぐのを嫌がるように…。バスは隣の席なのですがAくんが冷たくて、娘も気まずそうです。
先日、Aくんのママから「Bちゃん(娘のこと)が、息子にくっついてばかりで、園で自由に遊べないみたいなの。最初は息子も嬉しくて手とかつないでいたけれど、もう嫌みたいで。ごめんね!」と言われました。たまたま幼稚園の面談があり、そのことを先生に確認したら「そんなことないですよ! Bちゃんは、ほかの子とも遊んでいて、そこまでAくんの邪魔はしていません。ただ、Aくんのことが大好きでそばに行こうとするときはあるので、もしAくんの邪魔をしそうなときはさりげなく声をかけますね」と言われました。子どものこととは言え、気になってしまって…。最近、娘が登園を渋り始めたので心配です。(4歳の女の子のママ)
子どもの友だち関係は、子どもに任せて!親が悩んでも仕方ありません
基本的に子どものことは、子どもに任せましょう。Aくんは、小さい子に慕われて嬉しかったのだと思います。でも、だんだん面倒臭くなってしまった。これは、きょうだい間でもよくあることです。子どもは今、遊びたい子と遊びます。自分に従えたいときは年下の子、物足りなくなると年上の面白そうな子に惹かれます。しかし年上の子に威張られたりして嫌になると、また年下の子に…と、遊ぶ相手を変えていきます。
大人とは友だち関係の続け方が違うので、お母さんからすると「あんなに仲がよかったのに…」と戸惑うこともあるでしょうが、それは子どもの世界のこと。悩んでも仕方ありません。子どもに任せるのが一番です。
苦手な親とは、距離をとっていくことも必要です
だいたい子どもが親に報告するときは、自己中心的で一方的な内容が多いです。愚痴レベルのこともあります。Aくんもお母さんも「自由に遊べなくて嫌だ」位のことは言ったかもしれませんけど、それを親がどうこうすべきことではありません。子ども自身が判断して行動すればいいことです。もしAくんのお母さんに、次また何か言われたら「園でのことはわからないから、先生に様子を聞いてみます」と言って、聞き流してください。気にしないで大丈夫です!
娘さんが登園を渋り出したのは、Aくんが原因ではないかも知れません。入園してしばらく経つと、疲れが出てきて登園を渋る子もいます。もし頼りにしていたAくんがいなくて心細くなっているなら、きっと他の子を見つけます。
保育園、小学校、中学校…と、これからもいろいろな親と出合っていきます。苦手な親とは、あいさつ程度で距離をとっていくことも必要ですよ。
教えてくれたのは
保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
イラスト/海谷泰水