赤ちゃんの蕁麻疹(じんましん)、症状や原因、応急処置や対処法は?ママ・パパの体験談付き

突然皮膚に現れるのが蕁麻疹。大人でもびっくりするものが子どもの肌に出ると慌てちゃいますよね。そもそも蕁麻疹とはどういったものなのでしょうか?原因は?対処法は?ママ・パパの体験談も織り交ぜてご紹介します。

赤ちゃんの蕁麻疹【ママパパの体験談】

1歳〜2歳の赤ちゃんを持つママ・パパに、子どもの蕁麻疹についてリサーチ。経験がある人には、原因や症状なども聞いてみました。人それぞれに違いがあるようです。

食べ物のアレルギーで

食べ物のアレルギーで蕁麻疹が出るという人は多いですよね。子どもが早い時期から口にする牛乳や卵はやはりアレルギーが出る可能性も高いよう。

「牛乳アレルギーで蕁麻疹がでた」(30代・宮城県・子ども1人)
「1歳になる前に卵を食べて口周りに出た。1歳過ぎるとほぼ出なくなった」(30代・千葉県・子ども2人)

寒暖差の影響で

寒かったり、逆に暑かったり、気温差が激しいと蕁麻疹が出るという子も。着せる服にも注意が必要ですね。

「寒暖差で蕁麻疹が出る体質のようです。」(30代・栃木県・子ども1人)

風邪などの体調不良のときに

風邪気味など、体調があまり良くない時には蕁麻疹が出がちという回答も。またそんな時に、お風呂に浸かると出てしまうなんていうこともあるよう。

「蕁麻疹がでやすいのか、風邪など体調のあまり良くない時にお風呂に入ると、入浴後にミミズ腫れのような蕁麻疹がたくさん出てしまい可哀想でした。 小児科でアレルギーのお薬をもらい、飲むと数日で良くなりました」(30代・大阪府・子ども2人)

原因不明のまま

急に蕁麻疹が出たものの、数分で消えてしまい原因がわからないままという人も。原因が分からないという人は結構多いようですね。

「原因不明で全身に蕁麻疹が出たが、本人がそこまでかゆがることはなかった」(30代・神奈川県・子ども2人)

赤ちゃんの蕁麻疹の症状

赤ちゃんの蕁麻疹ってどんなもの?と思う人も多いと思うので、一度おさらいを。知っておけば、いざという時にもきちんと対処できますよね。

蕁麻疹とは?

「蕁麻疹」とは、一時的に出現するかゆみのある赤くて膨らんだ発疹です。

・ 丸や、楕円形、地図状に膨らみます。
・およそ数十分から数時間で消失します。

蕁麻疹の場合、湿疹と違って患部がカサつくことがなく、皮膚の一部がふくらみ、しかも短時間で消えるという様子から湿疹と区別することができます。

蕁麻疹の症状と種類

① 急性蕁麻疹

一ヶ月以内に治る蕁麻疹を急性蕁麻疹と言います。一度だけ症状が出たり数日内で治まる場合はアレルギー性のことが多いです。その他にも、細菌・ウイルス感染などが原因のこともあります。

食べ物や薬剤などに含まれているアレルゲンとなる物質を摂取すると、数分あるいは数時間後に強いかゆみを伴った発疹が現れます。特定の食品を食べると蕁麻疹が出るのはアレルギー性蕁麻疹の特徴の一つ。同じ食べ物でも、調理法や量、その日の体調によって出ないこともあります。

② 慢性蕁麻疹

原因が特定できず、1か月半以上、皮疹が出たり消えたりが続くのが、「慢性蕁麻疹」と呼ばれるタイプ。

慢性蕁麻疹は、皮膚を引っかいたあとに沿って皮疹が出る物理性蕁麻疹や、冷水・温水など急激な皮膚上の温度変化によって現れる寒冷蕁麻疹、日光蕁麻疹やラテックスなどの接触性蕁麻疹など、色々な原因は考えられますが、実際には原因がはっきりわからない場合が大半です。数週間繰り返し毎日蕁麻疹が現れる場合は、食物などが原因となっている可能性は低いです。

蕁麻疹がでやすい場所

蕁麻疹は、太もも、腹部、お尻、膝の後ろ、頰、首といった皮膚のやわらかいところに発症しやすい傾向が。ただ、足の裏や手の甲、頭皮といった部位に発症することもあります。つまり、蕁麻疹が発症する可能性は全身に及びます。まれですが、口の中や咽頭、気道に発症するケースもあり、かゆみと同時に息苦しさや声枯れなどの症状が現れることもあります。

赤ちゃんの蕁麻疹の原因に考えられるもの

まだ小さい赤ちゃんの蕁麻疹の原因として考えられるものを挙げてみました。

アレルギー反応

決まった食物を摂ると蕁麻疹が出る場合があります。また、食べ物だけでなく、薬や昆虫などに含まれるアレルゲンに反応して蕁麻疹が出る場合も。ひどい症状(呼吸困難や血圧低下など)を伴う場合は、事前に病院で治療薬をもらい自身で常備するのがおすすめ。

細菌やウイルスの感染

急性蕁麻疹の中で、毎日のように繰り返す蕁麻疹で、発症して1ヶ月以内の蕁麻疹は、細菌、ウイルス感染も疑います。

寒暖差や汗、かぶれ

物理性蕁麻疹といって、寒冷、温熱、日光をはじめ、機械的擦過や圧迫、振動などといった物理的刺激により起こる蕁麻疹もあります。

また、汗による蕁麻疹は、運動や入浴で、汗をかくと出るコリン性蕁麻疹です。
この場合、よく見る蕁麻疹よりも小さい、1〜4mmの赤いプツプツが出ます。チクチクした刺激や痛みを伴うこともあります。

薬による反応・副作用

解熱鎮痛剤など一部薬剤は、蕁麻疹を起こす可能性があることが知られていますが、赤ちゃんで原因となる可能性はそこまで高くありません。

原因不明の場合

急性蕁麻疹については食べ物や風邪、気管支炎が原因のケースもあると考えられていますが、慢性蕁麻疹の場合、まだはっきりしたことは分かっていません。

ただ、慢性の場合でも、発症から1~2年以内が症状のピークで、治療によってしだいに軽くなり、いずれ治るケースが多いとされているので、諦めないで治療することが大切です。

母乳が原因になることはない?

ママが食べた物は数時間で母乳に移行しますが、その量はとても微量なもの。それが蕁麻疹を引き起こすとは考えにくいようなので安心して。ただ、授乳のたびに蕁麻疹が出る場合にはぜひ受診を。ママの食べ物の偏りがないか、赤ちゃんのアレルギーがないかを確認し、食生活指導などが行われることもあります。

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蕁麻疹がでたときの応急処置と対処法

赤ちゃんに蕁麻疹が出てしまうと焦ってしまうことも多いもの。応急処置と対処法を頭に入れておくと安心ですね。

腫れやかゆみがあるときは冷やす

手早くかゆみを抑える方法としては、冷やすのが効果的。保冷剤などで患部を冷やしたり、市販のかゆみ止めを利用したりすることはかゆみの軽減に役立ちます。ただし寒冷刺激で蕁麻疹が出る場合には、悪化するため冷やすのはNG。

かきたくても我慢する

蕁麻疹はかいたり擦ったりすることによって、さらにアレルギー反応を起こす物質が血管にばらまかれ、どんどん赤くなってかゆくもなる、という悪循環が起こりやすいです。ミミズ腫れのようになると跡がしばらく残ることもあるので、できる限り患部に刺激を与えないように心がけてください。小さな赤ちゃんであればミトンをするのも効果的。ミトンをすぐとってしまう場合には、ひもを漬けた長い靴下などを手に履かせて、服と結んで留めてしまえばとれなくなります。中で自由に手は動かせるので、赤ちゃんにとってストレスはあまりないようです。

お風呂は入れてもいい?

蕁麻疹が出ている時は、温まるとかゆみが増してしまいます。熱いお風呂への入浴や運動(プール含む)は、避け、シャワー程度にするほうがよいでしょう。蕁麻疹は人にはうつらないので、発疹がなくなればお風呂やプールに入ることができます

保育園は行ってOK

蕁麻疹は他の子にうつすという心配はないので、基本的には登園可能。でも、グズるなど体調が悪い場合や、かゆみがひどい場合には、お家で様子を見ることも大切です。

普段からできるホームケア

日頃から規則正しい生活、十分な休養と睡眠をとること。また、新鮮で添加物の少ない食事を心がけるのがポイントです。

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蕁麻疹がでたら病院を受診する目安

蕁麻疹がたくさん出てしまうと病院に行った方がいいのか悩みますよね。受診した方がいい目安をまとめました。

症状がすぐに消える場合

皮膚症状だけの場合は、一旦様子を見ましょう。発疹が収まらず、翌日まで続く場合は、通常の診察時間内に受診するのがおすすめ。

赤ちゃんが不機嫌な時

赤ちゃんの場合、いつもと違って機嫌が悪く、泣き止まないような場合は病院を受診しましょう。他にも症状が表れているかもしれません。

蕁麻疹以外にも症状があるとき

蕁麻疹とともに、呼吸困難・血圧の低下・意識がなくなる・顔色が悪く冷や汗を出している等の症状がある場合は、すぐに救急外来を受診しましょう。アレルギーのアナフィラシキーショックを起こしている可能性もあります。

蕁麻疹を繰り返す場合

よく食べる食物にアレルギーがある場合や、慢性蕁麻疹の可能性もあるので、病院で血液検査など調べてもらいましょう。

急に出る蕁麻疹は慌てずに対処を

蕁麻疹は急に表れ、発疹がいくつも出るので、つい慌ててしまいますが、ほとんどが短時間で消えてしまうもの。落ち着いて様子を見ましょう。また、何度も繰り返しているような場合には、小児科や皮膚科を受診しましょう。蕁麻疹が出た時には、何を食べたかなど念の為メモしておくのもおすすめです。原因がわからないことも多いのですが、数回繰り返すうちに、原因となる食べ物などがわかってくるかもしれません。日頃から赤ちゃんの体調には注意してあげましょう。

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記事監修

よしクリニック 院長
中野 貴光 先生

練馬駅徒歩2分、形成外科・皮膚科・美容皮膚科「よしクリニック」院長。平成9年、筑波大学医学専門学群卒業。東京女子医科大学の形成外科学教室に入局。東京大学医学部形成外科への国内留学、日本大学医学部形成外科でのオープニングスタッフとしての赴任等を経て、2年間アメリカのテキサス大学に留学。帰国後、医学博士を取得。2019年6月に練馬で「よしクリニック」を開業。

【所属学会】日本形成外科学会、日本美容外科学会、日本熱傷学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本抗加齢医学会
【資格】日本形成外科学会形成外科専門医、日本熱傷学会熱傷専門医、日本レーザー医学会レーザー専門医、日本手外科学会手外科専門医、日本形成外科学会小児形成外科分野指導医、医学博士

文・構成/HugKum編集部

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