赤ちゃんの授乳は、ママのお世話の大半を占めていて時間も赤ちゃんに合わせなければならず労力を感じる人も少なくないですよね。そんな授乳には、授乳クッションを使ったりと工夫している人もたくさんいるはず。今回は、もう一つの授乳の方法、添い乳についてご紹介します。添い乳の仕方やメリット・デメリット、ママたちの体験談とともにご紹介します。
添い乳とは?
添い乳とは、ベッドや布団にママと赤ちゃんが横になって授乳すること。横になることでママも体を休めることができます。特に月齢の低い赤ちゃんは授乳回数が多く、授乳の間隔もまちまちなので、添い乳で体を休めながら授乳できるのはうれしいものです。しかし、添い乳はあくまで横になるだけで、授乳しながらママも眠るものではありません。「眠るのは赤ちゃんだけ」と覚えておきましょう。
添い乳のメリット
・赤ちゃんもママもゆったりリラックスできる
・ママの肩や腕、腰に負担がかからずラクなので、母乳育児が軌道に乗りやすい
・お腹がいっぱいになれば赤ちゃんはそのまま眠ることができる
添い乳はいつからしていい?
添い乳は新生児期からでも可能ですが、赤ちゃんが小さすぎたり、おっぱいを上手にくわえられないと、赤ちゃん・ママともに負担が大きくなってしまいます。お互いが授乳に慣れたところで、まずは日中にトライしてみるといいでしょう。
逆に首すわり以降でのトライだと赤ちゃんもラクな飲み方が決まっているため、授乳スタイルを変えると嫌がることがあります。そうなる前にいろいろ試してみて、快適な添い乳の方法を見つけておくのがおすすめです。
添い乳はいつまでに卒業すべき?
添い乳はいつまでという決まりはありませんが、卒乳を考え始めたら添い乳もやめるのがベター。添い乳は寝かしつけのひとつになってしまうことが多いので、赤ちゃんが添い乳に執着してしまうとなかなか卒乳できないことにも。卒乳予定から逆算して考えておきましょう。
添い乳をするママはどれくらい?
添い乳をしている・していたママはどのくらいいるのか、1歳〜2歳の子を持つママたちにリサーチしてみました。みんなどうしているのか気になるとこですよね。
Q.赤ちゃんに添い乳をしていましたか?
添い乳をしていたというママは62%という結果に。かなり多くのママが添い乳をしているようですね。
添い乳をするママの体験談
添い乳をしていたというママたちの体験談を聞いてみました。
添い乳をしない派ママのご意見
逆に、アンケートで1/3強を占めていた添い乳はしないというママの意見も聞いてみました。
添い乳の正しいやり方
添い乳は正しい姿勢でやらないと、ママ・赤ちゃんともに負担になったり、事故などのトラブルを起こしてしまうことも。しっかり確認しておくことが大切です。
添い乳の正しい姿勢①
ママと赤ちゃんの頭の高さが同じだと、赤ちゃんの顔色や様子がよく見えません。まず、ママの頭を高くして視線はしっかり赤ちゃんに向けられるように調整しましょう。枕に頭を乗せただけだと、思ったほど高さが出ないことがあります。添い乳をしている間は枕を2つ重ねたり、たたんだバスタオルを枕の上にのせたりして、赤ちゃんの顔がよく見える高さになるよう工夫しましょう。また、横向きの姿勢になったら、ママの太ももからひざあたりでクッションや丸めたバスタオルなどを挟むと、ママの姿勢が安定します。部屋の照明を暗めにする場合は、赤ちゃんの様子がよく見えるくらいの明るさを保ちましょう。
添い乳の正しい姿勢②
赤ちゃんの授乳のさせ方ですが、おっぱいは乳輪まで深くくわえさせましょう。抱っこで授乳する時と同様、おっぱいのくわえ方が浅いと上手に飲めず、ママの乳首を痛める原因になってしまいます。赤ちゃんが下あごを使って乳輪までしっかりくわえているか、必ず確認しましょう。
添い乳のあとはゲップをさせて
授乳時に胃の中に入った空気は、げっぷだけでなくおならでも出るので、赤ちゃんを抱き起こしてげっぷさせることは必須ではありません。ただ、普段から授乳後の吐き戻しが多い子は、月齢に関係なく、抱っこしてげっぷをさせてから寝かせましょう。吐き戻した乳で窒息してしまうリスクも生じるので気をつけて。
虫歯予防に小児歯科で検診すると安心
一般的に添い乳を続けると虫歯になりやすいと言われていますが、母乳だけではむし歯にはなりません。母乳に含まれている成分は虫歯菌を増やす原因ではありません。しかし、お口の清掃状態が悪い状態で母乳をあげるとむし歯の原因になります。乳児期の虫歯の原因は、離乳食の残りや、親の虫歯のミュータンス菌の移行がほとんど。でも、母乳の口腔内に長く残るようになると停滞が重なると、むし歯リスクが高まることも。
寝かせつけで添い乳をする場合は添い乳の前の歯磨きを習慣にすれば、添い乳をしてもむし歯を防ぐことができます。また、赤ちゃんや子どもを診てくれる小児歯科のかかりつけ医を持つようにして、乳歯が生えてくる6ヶ月ごろから、定期的に歯科でチェックしてもらえば安心です。
添い乳のリスクと注意点
添い乳にはメリットがたくさんありますが、事故につながるリスクや注意点もいくつかあります。きちんとデメリットを理解した上で添い乳をすることが大切です。
赤ちゃんの窒息や死亡事故の例がある
ママが赤ちゃんの様子を見えない状況で添い乳をすると危険。また、ママがうっかり寝てしまうと、気づかないうちにおっぱいで赤ちゃんの鼻や口をふさいでしまうリスクが高まります。ママが寝不足で疲れている場合は添い乳はしないようにしましょう。
乳腺炎になる可能性も
添い乳の場合、ベッドの位置やママの利き手のクセなどで、常に同じ姿勢で授乳していると片側のおっぱいしか吸われなくなるので、もう片方が乳汁うっ滞を起こしたり、乳腺炎になる可能性も。意識して両側を吸ってもらったり、搾乳するなど片側だけのおっぱいが溜まらないように注意しましょう。また、添い乳以外でも同様ですが、吸わせ方に問題があると、おっぱいに傷がつき悪化しやすいもの。しっかりと深くまでくわえさせるようにしましょう。
添い乳が癖になることも
毎日、寝かしつけるときに添い乳をしていると、添い乳をしないと眠れなくなってしまうことも。ママの余裕があるときには抱っこをして授乳したり、哺乳瓶で授乳をし、お腹いっぱいにしてからベッドに置いて寝かしつけるなど、いくつかの方法をとっておくことも大切。
添い乳以外の寝かしつけ方
いつも添い乳で寝かせていると、卒乳が遅れることも。添い乳は、おっぱいを飲むだけでなく、赤ちゃんの安心感にもつながっているため、添い乳以外の寝かしつけ方を身につけておくことも重要。何度も繰り返すことで、赤ちゃんも添い乳以外の寝かしつけに慣れてくれるはず。
体を密着してトントンする
添い乳は、赤ちゃんがママの体に密着していることで安心感を得られる姿勢。添い乳がなくなって、ママと体が離れてしまうことで、不安を感じてなかなか寝付けないなんてことも。そんな時には、しっかり体を密着させてあげて、背中やお腹をトントンしてあげましょう。
ママの代わりに抱けるものを用意する
赤ちゃんがママの体に触れる以外に安心できるものを用意するのもいいですね。お気に入りのタオルケットやぬいぐるみなど、ぎゅっと抱っこした状態で眠るクセがつくと、入眠前の儀式にもなり、眠りにつきやすくなります。
期間限定の添い乳は大切なスキンシップ
添い乳はただラクな姿勢というだけでなく、赤ちゃんとママとの大きなスキンシップ。赤ちゃんにとっても、そしてママにとっても幸せを感じるホルモンが出てリラックスできるもの。授乳期にしかできないスキンシップなので、ぜひ楽しんで過ごしてくださいね。
記事監修
南 真実子 院長
祖父や父が産婦人科医であったことから医師を志し、自身も大阪医科大学医学部へ進学。
卒業後、初期研修を経て大阪医科大学産婦人科教室に入局。
主に腹腔鏡手術、不妊治療、周産期治療などに従事し、産婦人科専門医を取得。
検診業務にも従事し、マンモグラフィー読影認定医を取得。女性がいつまでも健康で美しく輝いていられるよう、さらなる高みを目指して、美容医療、アンチエイジング医療を行う。大手美容クリニックで活躍後、2017年に大阪美容クリニックを開院。婦人科・美容皮膚科を通じて、女性をトータルにサポートできるよう診療を行っている。
文・構成/HugKum編集部