乳幼児教育保育実践研究家の井桁容子先生が、子育て中のママのお悩みに答えます。今回は「子どもがなかなか寝ないとき」についてお話を伺いました。
Q:夜になっても元気で遊びたがる娘。決まった時間に寝かせたいのに……。
「疲れた」「眠い」がわかる体をつくる
2~3歳の子どもには10 〜12時間ほどの睡眠時間が必要ですが、睡眠には個人差もあります。大切なのは体を十分に休ませること。子ども自身が「疲れ」や「眠さ」を感じとり、必要なときに休息をとれるようになることです。
疲れたら眠くなるのはあたりまえのように思えますが、中には寝るためのリラックスが苦手な子もいます。たとえば敏感で、ちょっとした音やにおい、雰囲気などが気になってしまう子。こういったタイプの子にはリラックスのお手伝いが必要です。落ち着けるように環境を整え、だっこや添い寝などで安心させてあげましょう。
また、夜になっても「活動モード」のまま、というタイプの子も。体力があるともいえますが、ブレーキの場所がわからないため、アクセルが踏みっぱなしになっているような状態です。疲れや眠さを自覚しにくいため、限界まで突っ走っては疲れがどっと出る…という悪循環に陥りかねません。
そんなときは「疲れたんじゃない?」などと、早めに声をかけてみましょう。それをきっかけに子ども自身が疲れに気づくことができたら、静かな雰囲気をつくったり動きの少ない遊びに誘ったりして落ち着かせ、「休息モード」へと切りかえていきましょう。
子どもの「眠い」を逃さない!
なかなか寝つけない子には、寝る前の「儀式」をつくるのも有効です。静かな音楽を流す、絵本を読む、お気に入りの人形と一緒に過ごすなど、リラックスできることならなんでも構いません。「あなたは疲れています。さあ、だんだん眠くな〜る〜」などと呪文を唱えたっていいんです(笑)。
ただし、子どもの好奇心を刺激したり、興奮させたりするようなことは逆効果。絵本を読む場合などは、ワクワクドキドキするようなものより、ゆったりと展開するものがおすすめです。
また何よりも大切なのが、「眠そうなときを逃さない」こと。眠れないまま眠気のピークを過ぎると、体には「昼間のスイッチ」が入ってしまいます。脳が活動モードに切りかわってしまうため、なかなか「もう寝よう」という気分には戻れなくなってしまうのです。
生活リズムは睡眠を中心に組み立てる
子どもの生活リズムは、夜の睡眠を中心に組み立てるのが重要です。朝寝坊はせず、昼間は太陽を浴びて遊ぶ。夜、眠れなくなるようなら、昼寝は短めに。本人が昼寝をしたがらないなら、無理にさせなくてもよいでしょう。
昼寝をしなかったり、短時間だったりする場合は夕食を早めにすませ、子どもが眠そうになったらすかさず寝室へ。親はつい、「洗いものを終えてから寝かしつけをしたい」などと思ってしまいがちです。でも2~3歳のうちは、大人の都合より子どもの眠気を優先してあげましょう。
子どもと一緒に寝落ちしてしまうこともあるかもしれませんが、そんなことがあってもいいのです。小さいうちに、「眠いときに寝る」「夜まとめて寝る」心地よさを感じる体になることは、心と脳の成長や体づくりに深く関わってくるからです。
眠る心地よさがわかってくれば、寝かしつけは不要になります。だから、「洗いものが朝までそのまま」なんてことが起こるのも今だけ。子どもがよい睡眠習慣を身につけるまでは「眠い」のサインを見逃さず、タイミングよく寝かせることを心がけましょう。
記事監修
乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42 年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。
2021年1月号『めばえ』 イラスト/原あいみ(京田クリエーション) 構成/野口久美子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。
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