「耳すま」の愛称で親しまれるジブリ映画のヒロインの名前としてもおなじみの「雫」は、名付けでも人気の高い漢字です。みずみずしく爽やかなイメージの「雫」ですが、どんな意味の名前なのでしょうか?
この記事では「雫」の意味や由来、名前に込められる意味を解説。「雫」を使った2文字の名前もご紹介します。
「雫」ってどんな漢字?
「雫」の成り立ちと意味
雨に下の字を重ねてできた雫は、既にある漢字を組合わせてできた会意文字。したたり落ちる水滴や、その様子をあらわす言葉です。滴(しずく)と読みや意味は同じで、雨や草木に宿る露、お茶やお酒の名称などにも用いられます。
実は雫が名付けに使えるようになったのは2004年から。名前に用いる漢字としては、比較的新しいのです。
爽やかで甘酸っぱい青春を描いたスタジオジブリの人気アニメ映画「耳をすませば」ではヒロインの名が月島雫でしたが、映画の公開当初(1995年)は実際には名付けられない名前でした。
文学表現でも「雫」が使われている
名前としては歴史の浅い雫ですが、日本に伝わる最も古い和歌集である「万葉集」には「しずく(しづく)」を用いた情緒あふれる表現があります。
あしひきの山のしづくに妹(いも)待つとわが立ち濡れし山のしづくに
意訳:あなたを待ちわびているうちに、山の雫に濡れてしまいました。
大津皇子から石川郎女へ贈られたこの短歌では、思い人を待ち続けた時間の長さを「しずく」という単語を用いて、切なくもみずみずしく表現しています。
また、草木に宿った露や真珠を「月の雫」と呼びあらわすことがあります。雫は単なる水滴の意味だけではなく、さまざまな文学表現で美しさをあらわす言葉として重宝されてきました。
名前の「雫」はどんなイメージ?
光り輝く真珠や草木にきらめく露をあらわすことから、雫には人の心を打つ美しさを持つ人という意味が込められます。また、雨粒を意味する雫は大地に恵みをもたらす雨を連想させるので、人を助け、与えることのできる人になってほしいという願いも込められるでしょう。
大きく豊かな大河も1滴の雫から始まります。このことから、あらゆる物事の初めの一歩を着実に踏み出せる人という意味も込められますよ。
名付けのポイント
赤ちゃんの名付けの際におさえておくべきポイントをまとめてみました。
名付けの期限は出生日から14日以内
赤ちゃんの名前を記入する出生届は、出生日から14日が期限となっていますので注意が必要です。余裕があれば、性別が判明した時点から候補を挙げていきましょう。
名付けに使えない漢字がある?
ありきたりではない名前にこだわりたいのも親心ですが、漢字によっては人名に使えないものもあります。法務省が定める中の漢字を使いましょう。
名前の字画
名付けられた人の運勢を左右する姓名の字画を調べ、幸運を呼ぶ名前を考えましょう。
字画はWebサイトで簡単に調べられます。本格的に検討したり、専門家に相談したりしたければ姓名判断を行う神社やお寺に出向いてみましょう。
言葉の意味や響きを考える
名前候補を口に出してみて、名字とのバランスや耳で聞いて響きが気に入ったものかどうか検討してみることも大切です。子どもがその名前で呼ばれる様子を想像してみましょう。
また、どんな人になってほしいのか、その願いをあらわす漢字はどんなものがあるのかを良く調べてみましょう。
「雫」を使ったおすすめの名前
1文字でも名前として十分、良い漢字ですが、「雫」を使った2文字以上の名前ではどのようなものがあるのでしょうか。
礼雫(あきな)
マナーや人への敬意を意味する礼は、もともとは神事など神聖な儀式をあらわす漢字でした。名前においてはイメージの通り、人への礼を欠かさず尽くすことができる人、人として筋の通った生き方ができるようになどの意味が込められます。礼雫という名前には、礼儀を忘れず人と助け合えるようにと願うことができます。
絢雫(あやな)
美しい織物模様をあらわす絢は、豪華絢爛(ごうかけんらん)などの熟語もあるように、華やかで美しいイメージを持つ漢字です。名前の絢雫には、きらびやかな織物や「月の雫」の異名を持つ真珠のように、人を飾り豊かな気持ちにしてくれる人、人に豊かさをもたらす人という意味が込められます。
永雫(えな)
永遠や永続など、人や物事の時間が長く続くことを意味する永。名前においては末長い繁栄や器の大きな人という意味が込められる漢字です。永雫という名前には、恵みの雨のような豊かな時間が人生の中でいつまでも続きますようにという願いが込められます。
心雫(こしず)
人の体に不可欠な心臓を意味する心は、感じたり考えたりする場所でもあり、また物事の一番重要な部分をあらわす漢字でもあります。心雫という名前には、豊かに降り注ぐ雨の雫のように人に恵みを与えることができる人、心が真珠や草木に宿る雫のように美しい人という意味が込められます。
雫歌(しずか)
古来より人々の生活には歌が不可欠でした。名付けにおける歌の字には、音楽の才能に恵まれた人や、歌のように人の心を動かすことができる人という意味があります。雫歌という名前は、恵みをもたらす雨のように音楽や芸事の豊かな才を持つ人、美しい歌を歌うことのできる人という意味が込められます。
李雫(りな)
果実のすももを意味する李は、裁判官を指す漢字でもあります。名付けにおいては、果実のようにフレッシュなイメージを持つ字です。李雫という名前には、すもものようにみずみずしく、雨のように人を潤すことができる人になりますようにという願いが込められます。
雫恩(しおん)
感謝の意味を持つ恩は、名付けでは人を愛する心を持ち、感謝を忘れずにいられる人という意味を持ちます。雫恩という名前には、恵みの雨のように人に与えることができ、また自身も人への恩を感じながら生きていけますようにという願いが込められます。
雫斗(しずと)
主に男の子の名前の止め字として人気の斗は、もともとは柄杓などの容器を指す言葉でした。名付けでは星座の北斗七星のイメージから、夜空に輝き人を導く星のような存在になることを願われます。雫斗という名前には、大河の一雫のように初めは小さな一歩でも、ゆくゆくは人の目標になるような事を成す人になってほしいという願いが込められます。
雫久(しずく)
永久、悠久といった熟語のように、物事が長く続くさまをあらわす久は、縁起が良く名前でも好んで用いられます。雫久という名前には、豊かで美しい時代が末長く続く人生でありますようにという願いが込められます。
雫稲(しいな)
豊かに実った米の重さで穂先を垂れる稲の姿は、知識の豊かな人ほど謙虚に頭を下げるというたとえにも使われます。このことから名付けにおける稲は、実りある人生や、賢く謙虚な性格を願って用いられる漢字です。雫稲は、豊かに降り注ぐ雨やたわわに実る稲のように人生が潤沢な恵みや実りにあふれていますように、聡明で謙虚な人になりますようにという意味が込められます。
栞雫(かんな)
栞は1990年に人名への使用が認められた、雫と同じく名付けではニューフェイスな漢字です。道しるべや目印の意味から、迷いない人生や人を導くことができるようにと願って名付けられます。栞雫という名前には、着実に迷いなく人生を歩いて行ける人という意味が込められます。
みずみずしいイメージの「雫」を名前候補にしよう!
いかがでしたか?雫は美しいものをあらわす言葉として古くから親しまれ、また名前としても人気の高い漢字です。みずみずしく見る人の心を潤す雫を、名付けの候補に入れてみてはいかがでしょうか。
構成/HugKum編集部