【小児科医監修】急性中耳炎・滲出性中耳炎にかかったら?症状と原因、予防について

急性中耳炎・滲出性中耳炎。中耳炎には、耳の痛みや発熱が見られるものと、聞こえが悪くなるものの2種類があります。

step1 「急性中耳炎・滲出性中耳炎」のおもな症状と原因

急性中耳炎はかぜのあとに多く見られる

かぜのあとなどに多く見られる急性中耳炎は、鼓膜の内側の中耳に炎症が起こるもの。のどや鼻に感染したウイルスが「耳管」を通って中耳に入り込むために起こります。おもな症状は、高熱と耳の痛み。黄色っぽい「耳だれ」が出ることもあります。滲出性中耳炎は、耳管や中耳の粘膜から出る滲出液が中耳にたまるもの。急性中耳炎が治りきらず、滲出性中耳炎に移行することもあります。鼓膜がふるえにくくなるため、聞こえが悪くなったり耳がつまった感じがしたりします。

step2 「急性中耳炎・滲出性中耳炎」治療の基本

飲み薬に加え、鼓膜を切開することも

急性中耳炎の場合、病院では鼻水の吸引を行い、抗菌薬や鎮痛薬が処方されます。症状が重い場合は、鼓膜を小さく切開して膿を出すこともあります。滲出性中耳炎の場合、滲出液の排出を促す飲み薬や、耳管に空気を通す治療を行います。症状に応じて、鼓膜を小さく切開して滲出液を吸引したり、鼓膜に開けた穴に小さなチューブ(直径1ミリ、長さ2ミリ程度)を固定したりすることもあります。

step3 「急性中耳炎・滲出性中耳炎」予防のためにできること

鼻水のケアをしっかりと!

子どもは耳管が太くて短く、角度も水平に近いため、病原菌が中耳に入り込みやすくなっています。鼻水には細菌やウイルスが含まれるため、すすり上げるのはよくありません。こまめにかんだり、吸引したりして取り除きましょう。滲出性中耳炎は、急性中耳炎から起こるほか、アデノイド肥大や副鼻腔炎など、のどや鼻の病気が関係していることも。耳の治療に加え、原因となる病気を治すことも大切です。

 

急性中耳炎と滲出性中耳炎の違い

急性中耳炎のおもな症状

・発熱 ・耳の強い痛み
・耳だれが出ることがある

耳だれが出ると、痛みは治まる。
症状を言葉で伝えられない年齢の場合、しきりに耳をさわったり機嫌が悪くなったりするのが痛みのサイン。

滲出性中耳炎のおもな症状

・聞こえが悪くなる

話しかけたときの反応が鈍い、テレビの音を大きくする、などの様子に注意。

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記事監修

澁谷紀子|小児科医

総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 写真/石川厚志 再構成/HugKum編集部

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