今回は「家庭での事故」の応急手当・対処法などを小児科専門医の森戸やすみ先生にお聞きしました。
Q:子どもに多い小さなけがや、自宅での事故への対処法を教えてください。
小さな傷の手当てのしかたは?
すり傷や切り傷は水道水で傷口を洗って汚れを取り除いた後、ハイドロコロイド素材の絆創膏(「傷を治す」などの効果が表示されている市販の絆創膏)をはります。消毒は、消毒薬によって正常な細胞もこわされて治りが遅くなるため、必要ありません。
絆創膏は3~4日を目安にはりかえますが、滲出液(傷口から出る透明な液)が多くてふやけてきたときは、すぐにはりかえて構いません。傷が大きい、深い、傷口の異物が洗ってもとれない、などの場合は病院へ行きましょう。
やけどをしたときはどのぐらい冷やす?
できれば蛇口から流しっぱなしにした水で、5分を目安に冷やします。服の上からお湯がかかるなどした場合は、服を着せたまま水をかけます。痛がる場合は病院へ。やけどが小さく、痛みや赤みも強くないときは、ワセリンを塗って保湿します。
冷やしすぎにつながるため、保冷剤や氷は避けたほうがよいのですが、使う場合はタオルなどに包んでから体に当てます。使ってはいけないのが、発熱時用の冷却ジェルシート。熱を吸収するだけで冷やす効果はないうえ、粘着力が強いため、はがす際に皮膚を傷つける原因になりかねません。
「低温やけど」ってどんなやけど?
低温やけどは、心地よいと感じる温度(約40~50度)のものに長時間皮膚が触れることで起こります。すぐに症状が現れず、痛みもほとんどないことが多いのですが、1日ほどたってから水ぶくれができたり肌がグジュグジュしてきたりします。皮膚の深い部分まで達していて重症であることが多いので、症状に気づいたときは皮膚科を受診しましょう。
誤飲や誤嚥の原因になりやすいものは?
危険なものを飲み込んでしまうことを「誤飲(ごいん)」、口に入れたものが誤って気道(空気の通り道)に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」といいます。
めばえっ子世代の場合、「なんでも口に入れる」時期は卒業しているので、原因となるのは飲食物と間違えやすいものや、うまくかみ砕けない食べものが多いです。誤嚥に注意が必要なのは、あめ、プチトマト、こんにゃく、もち、大粒のぶどう、豆やナッツ類など。直径4㎝以下のものはなんでも、子どもの気道に入り込む可能性があります。
誤嚥したものがのどにつまったときは?
誤嚥したものが気管につまると窒息の危険があります。躊躇せず下図のどちらかの方法でつまったものを出させましょう。それでも出てこない場合は、救急車を呼びます。異物が出た後もせきこんだり息苦しそうだったりする場合は、異物が残っている可能性もあるので病院へ行きましょう。
背部叩打法
立てた膝の上に子どもをうつぶせに寝かせ、肩甲骨の間を強く数回たたく。
腹部突き上げ法
背中側から両腕を回して片方の手でこぶしをつくり、みぞおちの下から上へ向けて圧迫する。
子どもの事故防止&応急手当の情報が見られるサイトはこちら➡︎消費者庁
記事監修
森戸 やすみ 先生
一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、小児科クリニック勤務。著書に『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)など。
『めばえ』2021年2月号別冊 イラスト/原あいみ(京田クリエーション) 構成/野口久美子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。