50年間、丁寧な家庭料理とたしなみを教え続け、「ばぁば」の愛
年末の12月28日、96歳でお亡くなりになりました。
そんなば
鈴木登紀子さんのモットーは、忙しいとき、ちょっとしんどいときほど「きちんと食べる」こと。この記事を読んでいるママパパも、年末からお正月にかけて“師走”を、文字通り慌ただしく駆け抜けてきた人が多いはず。年始のごちそう疲れや、そろそろ手抜きをしたいな…というときにオススメな簡単&すぐ食べられる鈴木家の定番レシピを『誰も教えなくなった、料理きほんのき』(小学館)の中からご紹介します。
「お子さまたちにもオススメの一品から大人も喜ぶひと皿まで、気楽に作れるばぁばの人気のレシピばかりです」(ばぁば)
目次
ばぁばの大人気まかないメニュー「ツナと大根おろしのパスタ」
常備食品や冷蔵庫にあるものですぐ作れる“お気に入りの定番”。そんなレシピがあると嬉しいですね。そこでオススメなのが、「おいしくて時短になる!」と、ばぁばの助手さんたち一番人気のメニュー「ツナと大根おろしのパスタ」。子どもも大好きなツナ缶に、身近な食材の青じそと大根おろし。油は使わず、味つけはしょうゆだけというシンプルなまかないスパゲッティです。
<作り方>
「青じそはひとり分10枚見当を細切りにし、大根おろしは1カップほどたくさんご用意ください。お皿にゆでたてのパスタ、大根おろし(おろし汁も一緒に)、ほぐしたツナ、青じその順につんもりと盛っておしょうゆを垂らすだけ。大根おろしは絞らないのがポイントよ。いまが旬の大根は、甘いおろし汁がおしょうゆと相まって非常に美味です。簡単で腹持ちもいいですよ」(ばぁば)。
分量はツナ缶1缶をひとり分目安に。材料もお好みで調整して、わが家流をお楽しみください。青じそが効いて和風テイストなので、大人も大満足のメニューになるはず。本当に簡単だから、だまされたと思って作ってみてください。
ばぁばの旦那さまが子どもの頃、大好きだった「葱餅(ねぎもち)」
「鈴木家のパパさん(ばぁばのご主人・故人)は大のお餅好きでした。お正月、おせちやお雑煮に家族が飽きた頃、あれが食べたいねえ・・・とよく所望したのが葱餅(ツォピン)という台湾の料理でした。パパさんは小さい頃、台湾に住んでいたんですよ」。葱餅は、小麦粉を練った生地にねぎを入れて焼いた台湾のおやつ。パパさんは子ども時代に屋台でよく食べたそうです。そんなパパさんの郷愁の味を、お餅を使ってばぁばがアレンジしたのがばぁば流ねぎもち。
<作り方>
フライパンにサラダ油、バター適量を入れ溶かし、ねぎ(2本1cm幅に斜め切り)、餅5個、ねぎの順にのせる。酒・砂糖各大さじ3、みりん大さじ2、しょうゆ大さじ3強を順に加えて蓋をし火にかけ、煮立て、餅がとろっとしたら完成。(2~3人分)
「お葱のねっとりとした甘み、バターの風味、そして甘辛じょうゆが、お餅に絡んでなんとも味わい深いの」(ばぁば)。きっと甘辛いところが子ども心においしいと感じたのですね。ぜひ皆さんのお子さまたちにも作ってみてはいかがでしょう。
受験生の夜食にもオススメな「お餅のビーンスープ仕立て」
さらにパパさんの大好物の餅料理でお腹に優しいもう一品をご紹介しましょう。ゆでビーンズ、ベーコン、小口切りにしてこんがり焼いたお餅をスープ仕立てにした「餅のビーンズスープ仕立て」も、ほっとするお餅の食べ切りメニューのひとつ。
<作り方>
生しいたけ1枚小口切り、セロリ3cm分、ベーコン少量、餅1個小口切りにする。鍋に、だし1カップ、塩小さじ1/3、薄口しょうゆ少量、酒小さじ1を加えてひと煮立ちさせたところに、餅以外の材料を加える。餅をオーブントースターでこんがり焼いて器に入れたら、鍋のだしを具ごとかける。(1人分)
「ブランチにもぴったりですし、受験生や、在宅勤務で夜遅くまで机に向かうご家族がいらっしゃるなら、熱いほうじ茶と一緒に夜食代わりに仕度してあげてくださいな」(ばぁば)
ラクしたいときには無理をせず、それでも心のこもったお料理で
「ばぁばは、たとえラクした日でも、”おいしかった”が聞ける食事を忘れたくないの。一汁一菜にお漬けものだけでもいいのよ。おだしも、寝る前に、昆布や煮干しなどをポンと水に浸しておくだけで、翌日には失敗なしのおいしい水だしができるんですよ。乾物がゆっくりとほぐれてじわりと旨みを解放していくから格段においしくなるの。時間を上手に使ってみてくださいね。皆さんにお伝えしたい料理の知恵がまだまだ山ほどありますね」
ばぁばの家庭料理の集大成『誰も教えなくなった、料理きほんのき』には、ばぁばが伝え残したい115種ものレシピが載っていますので、ぜひ参考にしてみてください。
長きに渡り、「きちんと食べる」ことの大切さを教えてくれた鈴木登紀子さん。本当にありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
一家に一冊。ばぁばのお台所バイブル保存版!大正生まれのばぁばが教える、丁寧な家庭料理とたしなみ。家庭料理メニュー115種。今さら聞けない下ごしらえ。ばぁばの合わせ調味料早見表&料理用語。食にまつわるルールとたしなみ。
著者
鈴木 登紀子
(1924年11月に青森県八戸市に生まれる。46才で料理研究家としてデビュー。東京・武蔵野市の自宅で料理教室を主宰するかたわら、テレビ、雑誌等で広く活躍。『きょうの料理』(NHK・Eテレ)への出演は50年を数える。新刊『誰も教えなくなった、料理きほんのき』『ばぁば92年目の隠し味』(ともに小学館)はじめ著書多数。)
文・構成/小学館出版局 生活編集室