「鼻血」の原因・対処法などを小児科専門医の森戸やすみ先生にお聞きしました。
Q:子どもがよく鼻血を出します。病気の可能性はありますか?
鼻血って、鼻のどこから出ている?
鼻の中で左右の鼻の穴を分けている仕切りのような部分を「鼻中隔」といいます。鼻血のほとんどは、鼻中隔が傷ついたことによるものです。
とくに出血しやすいのは、鼻の穴から1㎝ほど入ったところ。この部分には、「キーゼルバッハ部位」という名前がつけられています。鼻の中は粘膜で覆われていますが、キーゼルバッハ部位は粘膜が薄く、たくさんの毛細血管が集まっています。そのため、小さな傷がついただけでも出血してしまうのです。
鼻の中を傷つける原因って?
子どもの場合、鼻の中に指を入れることが珍しくないため、爪で粘膜を傷つけて出血するケースが多く見られます。
また、かぜや花粉症などで鼻水が出ているときも要注意。鼻の粘膜が腫れて敏感になっているので、強く鼻をかんだりくしゃみをしたりする刺激で鼻血が出ることがあるからです。
このほか、鼻を何かにぶつけた際などに、鼻の内側も傷ついて鼻血が出ることもあります。
繰り返し鼻血を出すのはなぜ?
鼻の粘膜が傷つくと、出血した後にはかさぶたができます。肌の表面にかさぶたができたとき、自然にはがれる前に無理やりはがしてしまうと、治りかけた傷口が開いて出血しますよね? 鼻の中でも、これと同じことが起こります。
傷ついたところが治りきらないうちに同じ部位を爪でつついたりしてしまうと、かさぶたがはがれてまた出血してしまうのです。鼻血を出した後しばらくは、鼻の中に指を入れたり、鼻の穴とそのまわりを強くこすったりしないように気をつけましょう。
正しい止血の方法って?
鼻血が出たときは、座らせて顔を下へ向け、親指と人さし指で小鼻(鼻の左右にふくらんだ部分)をつまんで止血します。ポイントは、出血している鼻中隔を圧迫すること。鼻の付け根あたりをつまんでも止血効果は期待できません。
鼻の中の血がのどのほうへ流れて気持ち悪くなることがあるため、仰向けに寝かせたり顔を上へ向けたりするのはやめましょう。首の後ろをたたいたり、首や鼻を冷やしたりするのもあまり効果がありません。
鼻に何かを詰める必要はありませんが、詰める場合はやわらかい脱脂綿など、粘膜を傷つけにくいものを。その際、詰めたものを頻繁にとりかえるのは避けましょう。傷口を刺激して、また出血してしまうことがあります。
鼻血を出したときは、下を向かせて小鼻をつまむ!
鼻血を出しやすいのは病気が原因?
鼻血から白血病などの病気を連想する人もいますが、病気が原因の鼻血はごくまれです。また、深刻な病気がかかわっている場合は、鼻血以前に見過ごせない症状があることがほとんど。症状が鼻血だけの場合は、それほど心配する必要はないでしょう。
正しく止血しても10分以上出血が止まらないような場合は、念のためかかりつけ医を受診しましょう。
記事監修
森戸 やすみ 先生
一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、小児科クリニック勤務。著書に『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)など。
『めばえ』2021年3月号別冊 イラスト/原あいみ(京田クリエーション) 構成/野口久美子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。