カビは他の汚れのように、掃除機や雑巾がけでは除去できません。さらに、場所によって適切な掃除方法は異なるため、間違った方法で対策すると、逆にカビを広げる危険もあり注意が必要です。カビをきれいに除去するコツや、予防のポイントを紹介します。
カビが発生してしまう原因とは?
カビは生き物ですから、条件がそろえばすぐに成長し、どんどん増えていきます。カビが発生しやすくなる、主な原因を見ていきましょう。
湿度が高い
カビの胞子は空気中をただよって移動するため、どの家にも必ず存在します。普段から念入りに掃除していても、新しい家でも、胞子の侵入は避けられません。
胞子は繁殖に適した場所を見つけると、根を下ろして成長し、目に見えるカビとなって現れます。カビが好む条件にはいくつかありますが、もっとも注意したいのが「湿度」です。
カビは湿度が70%以上になると、一気に増えるとされています。浴室や洗濯槽の裏側、布団を収納する押し入れなどは湿度が上がりやすいため、油断するとすぐにカビが生えてしまうのです。
汚れが付着している
湿度以外のカビの繁殖条件は、温度と栄養分です。カビにとって快適な温度は20~30℃で、家の中の気温とほぼ同じです。
また、カビは「ホコリ」や皮脂汚れ、食べ物のカスなどを好んで食べます。このような汚れが付着している場所には、やはりカビが生えやすくなります。
家の中をカビが生きられない温度に保つのは難しいため、栄養分となる汚れを増やさないことが重要です。
場所別のカビ除去方法
カビは繁殖場所に根を張り、成長すると新たな胞子を飛ばします。見つけ次第除去しておかなければ、次々に広がってしまうでしょう。発生した場所別に、上手に除去する方法を解説します。
水回り
お風呂やキッチンのように、毎日水を使う場所は湿度が高く、カビの繁殖に適しています。ピンク色のヌルヌルしたぬめりや、黒いシミのようになる「黒カビ」がよく見られるでしょう。
ピンクのぬめりは酵母菌の1種でカビではありませんが、黒カビのエサになるため放置は厳禁です。お風呂用の中性洗剤で簡単に落ちるので、見つけ次第洗い流しましょう。
黒カビには「塩素系漂白剤」が有効です。以下の手順で除去していきましょう。
- カビが生えている場所に塩素系漂白剤を散布
- 乾燥しないように上からラップをかけ浸透させる
- 1時間ほど放置してラップを剥がし、シャワーで洗い流す
- 残った水滴を拭い浴室内を乾燥させる
散布場所が濡れていると塩素系漂白剤が薄まって効果が弱くなるため、よく乾かしておくのがポイントです。天井は塩素系漂白剤を含ませたシートをフロアワイパーに取り付けて塗り、そのまましばらく放置します。
キッチンのシンクや洗面台に発生したカビも、基本的に同じ要領で除去できます。塩素系漂白剤は刺激が強いため、使用の際はゴーグル・マスク・ゴム手袋を着用し、必ず換気しましょう。
子どもが近寄ると危険ですから、誰かに見ていてもらうなど、あらかじめ対策を考えておくのもおすすめです。
フローリングや畳
フローリングや畳には、80%に希釈した無水エタノールや、市販のアルコール除菌スプレーを使います。素材によってはアルコール成分で変色することがあるため、最初に目立たない部分で試してから掃除を始めましょう。
フローリングはエタノールを付けた雑巾で、カビが発生している部分を拭きます。継ぎ目の部分は古い歯ブラシや爪楊枝を使うとよいでしょう。カビが取れたら水拭きして、よく乾かせば完了です。
畳は一度乾拭きしてから、エタノールを吹きかけてしばらく放置します。奥に入り込んだカビが浮いてきたら、目に沿って柔らかいブラシでそっとかき出しましょう。
最後にもう一度エタノールをかけて除菌し、しっかり乾燥させます。
天井や壁・窓
天井や壁のカビには、酸素系漂白剤が有効です。カビによく効く塩素系漂白剤は、壁紙が色落ちする可能性があるため使わないようにしましょう。
- カビの発生箇所を中性洗剤を含ませた雑巾で拭く
- 酸素系漂白剤をキッチンペーパーに染み込ませ、カビの場所に貼り付ける
- 30分放置した後に水拭きして乾燥させる
窓枠のゴムパッキンには、塩素系漂白剤が使えます。一度中性洗剤やエタノールで拭き掃除して、落ちなければ塩素系漂白剤を浸透させ、1時間ほど放置して様子を見ましょう。仕上げにエタノールをかけておくと、より安心です。
カビが生えてから時間が経っている場合、1度では完全に落ちないこともあります。そのときは何度か繰り返して、少しずつ除去していきましょう。
カビを除去する際の注意点
誤った掃除方法ではカビを除去できないばかりか、被害を拡大させてしまうことがあります。カビ掃除の注意点を見ていきましょう。
直接スプレーを吹き付けない
塩素系漂白剤やエタノールのようなカビ取り用洗剤は、スプレーボトルに入っているものが多く、カビに直接吹き付けてしまう人も少なくありません。
しかし、カビにスプレーを直接かけると、勢いで胞子が飛び散り、他の場所に移ってしまいます。一度キッチンペーパーや雑巾に吹き付けてから、そっとカビを押さえるようにしましょう。
お酢を使用しない
お酢には殺菌作用がありますが、カビには逆効果です。穀物や果物が原料のお酢には、カビの栄養分もたくさん含まれています。
カビは表面だけ除去しても、奥の方で生き残っていることが多く、お酢を与えると成長を促進させる可能性があるのです。カビが気になる場所の掃除にはお酢ではなく、クエン酸を使うようにしましょう。
水拭きすると悪化する可能性も
カビ掃除の前にホコリを落とそうとして、水拭きするのもよくありません。水ではカビは死なないため、雑巾に付いたカビの胞子が、他の場所に広がってしまいます。
また、濡らすことで周囲の湿度が上がり、逆にカビが繁殖しやすい環境を作る結果にもなってしまいます。掃除の際はカビに有効な洗剤を使い、しっかりと除去してから水拭きするのが基本です。水拭きの後は乾拭きや換気をして、乾燥させるのも忘れないようにしましょう。
カビの発生を防ぐには?
カビは一度発生すると、なかなか取り切れません。とにかく発生させないように、予防することが重要です。簡単にできるカビ予防法を紹介します。
水分を拭き取る
カビは水気がないと生きていけないため、湿度を下げるのが一番の予防対策です。お風呂上りには毎回スクイージーやタオルを使って、水分を拭き取る習慣をつけましょう。
ドアは開け放ち、換気扇を回してこもった水蒸気も追い出します。洗面所やキッチンを使った後の水滴や、窓にできる結露も、こまめに拭き取ればカビの発生率を大幅に減らせます。
天気のいい日は換気をする
天井や壁、家具のすき間などのカビ予防には、換気が有効です。窓を開けて空気を入れ替えるだけで、ただよっている胞子を追い出すと同時に、部屋の湿度も下げられます。
ときどき家具を動かして、すき間のホコリや湿気を取り除くのも効果的です。
洗濯物を部屋干ししなければならないときや、雨が多くジメジメする季節は、エアコンの除湿機能や扇風機の風を利用して、室内に湿気がこもらないように注意しましょう。
カビを除去していつでも清潔に
カビをそのままにしておいても、よいことは何もありません。見た目が汚らしいだけでなく、大量の胞子を吸い込んだりイヤなニオイに悩まされたりして、生活に支障をきたすでしょう。
子どもが間違って触ってしまえば、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を起こすこともあります。カビの胞子を完全に取り除くことは難しいですが、繁殖を防いだり、生えたカビを根絶したりすることは可能です。
予防を徹底し、正しい掃除方法を押さえて清潔な状態をキープしましょう。
構成・文/HugKum編集部