ベランダは、排気ガスや砂、落ち葉など特殊な汚れが多い場所です。掃除の際は、水や砂ぼこりで隣近所に迷惑をかける心配もあります。道具や洗剤の使い方を覚えて、効率よく掃除しましょう。ベランダ掃除のポイントと、きれいな状態を保つコツを紹介します。
ベランダ掃除の頻度とポイント
ベランダは室内ほど汚れが気になる場所ではないため、掃除も後回しになりがちです。しかし、ベランダの汚れは放置すると取れにくくなり、手すりや床の劣化にもつながります。
床にたまった砂ぼこりが舞って洗濯物が汚れたり、枯れ葉が排水溝を塞いだりする可能性もあるため、定期的な掃除が欠かせません。ベランダ掃除の頻度や、掃除に適した時期を見ていきましょう。
数カ月に一度でOK
ベランダを丁寧に掃除するのは、数カ月に一度程度で十分です。ただし、洗濯物や布団をベランダに干す人は、月に一度くらいは物干ざおや手すりを拭いておきましょう。
台風など大雨・強風の直後も、落ち葉やゴミが散乱したり床や壁に泥汚れが付いたりするので、早めに掃除した方がベターです。
近くに畑や学校のグラウンドがあり、砂ぼこりが多い場所に住んでいる人は、床の掃き掃除も習慣にするとよいでしょう。気になる場所だけでもこまめに掃除していれば、本格的な掃除が楽になります。
雨の日の作業がおすすめ
ベランダは晴れている日より、雨の日に掃除するのがおすすめです。ベランダに付く汚れのほとんどは、空気中をただよう排気ガスや砂ぼこりによるものです。晴れて空気が乾いていると、掃除の最中に汚れが舞い上がってうまく落とせません。湿度の高い雨の日なら汚れが湿気を吸って舞いにくくなるため、効率的に掃除できます。
ただし、風が強い日は、雨がベランダに吹き込んでくるので避けましょう。ベランダに屋根がない人は、どんよりと曇った日でも大丈夫です。雨で外遊びができず、元気を持て余している子どもに掃除を手伝ってもらうのも一案です。家族みんなで協力すれば、広いベランダの掃除もすぐに終わるでしょう。
ベランダ掃除の準備
ベランダ掃除をスムーズに終わらせるためには、事前の準備が大切です。汚れの種類が多いため、専用の道具や洗剤も用意する必要があります。それぞれについて、具体的に見ていきましょう。
物をどかしておく
ベランダの床に、収納ボックスやプランター、サンダルなどの荷物を置いている人も多いのではないでしょうか。そのまま掃除すると、水や舞い上がったホコリで荷物が汚れてしまいます。荷物の下や壁とのすき間に汚れがたまっている可能性もあるため、一度室内に移動させて、床に物がない状態にしておきましょう。ウッドパネルなどを敷いている人も、取り外して隅にどかしておきます。
ハンガーや洗濯ばさみなどは、普段から専用のボックスにまとめておくと、掃除のときに移動させやすく便利です。いつも出しっぱなしのサンダルは、出入り口の近くに吊り下げて収納すると、雨水や砂がたまらず清潔に使えます。
道具の準備
ベランダを掃除中に、道具や洗剤をわざわざ家の中に取りの戻るのは面倒な上に、時間の無駄です。必要なものは掃除を始める前に一式そろえて、すぐに取れる場所にまとめておきましょう。
ベランダ掃除に使う道具は以下の通りです。
- ほうき
- ちりとり
- バケツ
- デッキブラシ
- スポンジ
- 新聞紙
- 雑巾
- 古い歯ブラシ
- 軍手
- ゴム手袋
- マスク
かがまずに床を掃除できるデッキブラシは、足腰への負担を軽くしてくれます。玄関の掃除にも使えるので、1本用意しておくとよいでしょう。
軍手は荷物の移動や排水溝のゴミ取りに重宝します。ゴム手袋とマスクは、使い捨てタイプがおすすめです。鳥のフンや砂ぼこり対策として、マスクは必ず着用しましょう。
また、水に濡れても気にならない通気性のよいサンダルがあると、より快適に掃除ができます。
重曹やクエン酸、アルコールなどの洗剤
ベランダ掃除では「住居用中性洗剤」「重曹・セスキ炭酸ソーダなどのアルカリ性洗剤」「クエン酸や酢などの酸性洗剤」を使用します。中性洗剤は砂ぼこりの汚れに、重曹は排気ガスによる油性の汚れに、クエン酸は排水溝掃除に最適です。それぞれ使いやすい分量を、スプレーボトルなどに入れておきましょう。
鳥のフンを拭き取る場合は「消毒用アルコール」も必要です。鳥のフンには病原菌や雑菌がたくさん含まれているため、拭き取りの際にはゴム手袋とマスクを着用し、使った雑巾はビニール袋に入れてすぐに処分しましょう。掃除が終わったら、アルコールをスプレーして消毒します。
ベランダ掃除の流れ
家の掃除と同じように、ベランダ掃除も「上から下へ」が原則です。効率的な掃除の順番を見ていきましょう。
室外機や手すりの汚れを拭き取る
まずは、エアコンの室外機や手すり、壁などの汚れを拭き取ります。室外機に水をかけてしまうと、機械部分に水が入って故障の原因となるため注意しましょう。
カバーに付いたホコリをほうきやブラシなどで払い落とし、表面に付いた泥や砂汚れを雑巾で水拭きする程度で十分です。
手すりや物干ざお、壁は固く絞った雑巾で拭きます。排気ガスによる黒ずみ汚れが付いているなら、重曹やセスキ炭酸ソーダの水溶液をスプレーしてから拭くときれいになります。
ただし、素材によっては重曹をかけると変色することもあるため、心配な場合は目立たない場所で試してから使うとよいでしょう。
ほうき・新聞紙で床を掃く
次に、ほうきで床に落ちている枯れ葉や大きなゴミ、砂を掃き集めます。空気が乾燥している日は、軽いゴミや砂ぼこりが舞い上がって取りにくいので、霧吹きなどで床を湿らせるとよいでしょう。
濡らした新聞紙をちぎって、床に撒いてから掃くのもおすすめです。新聞紙をくしゃっと丸めておけば、大きな汚れを絡めとる効果も期待できます。
デッキブラシでこすり洗い
ゴミを取ったら、デッキブラシに重曹水や住居用洗剤を付けて、こすり洗いします。重曹水の割合は、水100mlにつき5gです。
バケツに重曹水溶液や水で薄めた洗剤を入れ、デッキブラシを浸しながら、ベランダの溝に汚れを流すようにしてこすっていきます。
一通りこすったら、ホースやバケツの水で洗い流します。住居用洗剤を使う場合は、泡が立つとすすぎが大変になるので、付け過ぎないように注意しましょう。
排水溝も忘れずに
床の次は、排水溝を掃除して完了です。
軍手や古い歯ブラシで詰まっているゴミをかき出し、新聞紙にくるんで捨てます。残った汚れを雑巾で拭き取り、重曹を粉のまま振りかけましょう。
重曹の上からクエン酸水をスプレーすると泡が出てくるので、そのまま5分程放置してから水で洗い流します。
クエン酸水は、水100mlに対してクエン酸小さじ1/2杯の比率で作っておきます。
マンションでベランダ掃除をする際の注意点
マンションに住んでいる人は、ベランダ掃除の際に隣や階下の住人に迷惑がかからないよう配慮が必要です。どのような点に注意すればよいのか、具体的に見ていきましょう。
規約を確認する
マンションのベランダは「共用部分」です。そのため、管理組合が定める規約に従わなくてはなりません。勝手に荷物を置いたり、床に水を撒いたりすることを禁止しているマンションもあります。
大きな音が出る高圧洗浄機や掃除機の使用も制限されることが多いため、ベランダ掃除に取りかかる前に、しっかりと確認しておきましょう。
水漏れに気を付けよう
ベランダの床は基本的に防水加工が施されていますが、一部防水でない場所もあります。このため一度に大量の水を流すと、下の階に水漏れする可能性があるのです。
マンションでは排水口を隣の住戸と共有していることも多く、掃除の際に汚れた水が隣のベランダに流れ込み、トラブルになることも考えられます。規約で水を使ってよいとされていても、必要以上の水を流すのは控えましょう。
トラブルを回避するために、ベランダ掃除の予定を隣や階下の人に前もって伝えておくのも有効です。
水やホコリが出ることをあらかじめ分かっていれば、近隣の人もその日だけ洗濯物をベランダに干さないなど、対策を取れます。
新聞紙があれば水を流さず掃除可能
水を使えないときは、古新聞を活用しましょう。破いた新聞紙を水で濡らして絞り、ベランダの床にまんべんなく撒きます。新聞紙をほうきでかき集めると、洗剤や水を使わなくても床がきれいになります。
新聞紙がなければ、漫画雑誌などのザラザラした紙でも代用可能です。床に残った汚れは、重曹スプレーをかけた後、スポンジやブラシでこすり、雑巾で拭き取ります。
家事の合間にできる日々のお手入れ
汚れがたまってからのベランダ掃除は、相当な時間と手間がかかります。汚れがたまる前に、毎日少しずつお手入れしておきましょう。いつもの掃除や洗濯の合間にサッと済ませられる、お手入れのポイントを紹介します。
手すりはこまめに拭いておこう
ベランダの手すりには排気ガスなどの油性汚れが付きやすく、放っておくと固まって取れにくくなります。しかし、固まる前なら水拭きだけで取れるので、すぐに掃除が終わり、重曹などの洗剤を使う必要もありません。手すりや物干しざおは、洗濯物を干す・取り込むついでに拭き掃除するとよいでしょう。洗濯物を運ぶときに絞った雑巾を持って行くと、忘れずに掃除できます。部屋の床を拭くときに、最後にベランダを拭く習慣を付けるのもおすすめです。
余裕があれば定期的な掃き掃除も
床に落ちたゴミは景観を損なう上に、排水溝が詰まる原因にもなります。砂ぼこりがたまって、風の強い日に舞い上がるのも困ります。余裕があれば、定期的に床を掃き掃除しましょう。月に1回ほどの頻度で落ち葉や砂ぼこりを取り除くだけでも、ベランダ掃除は楽になります。
ベランダをピカピカにしよう
ベランダがきれいになると、とても気持ちがよいものです。砂ぼこりや排気ガスのくすんだ汚れがさっぱりして、見える景色も変わってくるでしょう。
清潔なベランダなら子どもを安心して遊ばせられますし、家族団らんのスペースとしても活用できます。ベランダ掃除は湿度の高い日に、道具や洗剤をそろえてスピーディーに終わらせるのがポイントです。正しい掃除方法を押さえて、ベランダをピカピカに仕上げましょう。
文・構成/HugKum編集部