マイナンバーカードを持っていると、行政手続きを始め、多くのメリットを享受できます。とはいえ、安全性や子どものカード申請方法など、分からないこともたくさんあります。申請する前に、マイナンバーカードの特徴と注意点を押さえておきましょう。
そもそもマイナンバーカードとは?
マイナンバーカードは、そもそも何のために作るのでしょうか。マイナンバーカードの意味を、制度の概要とあわせて見ていきましょう。
個人ナンバーが記載されたカード
マイナンバーカードは、マイナンバーと顔写真、住所氏名などの個人情報を記載した集積回路(IC)チップ付きのカードです。
マイナンバーは、日本に住民票がある全ての人に割り当てられる、個人を識別するための12桁の番号です。別名「個人番号」や「個人ナンバー」とも呼ばれます。
マイナンバーの制度は、これまで各官庁が別々に管理していた個人情報を一元化し、行政手続きのミスや無駄をなくすために始まりました。
マイナンバーを活用するためには、その番号が確かに本人のものであると証明する必要があります。このため、政府は顔写真や住所氏名を記載した専用のカードを発行し、マイナンバーと個人情報を一度に確認できるようにしたのです。
マイナンバーカードを作れば、窓口での作業時間が短縮されるほか、オンライン申請が簡単にできるなど、国民側にもメリットがあります。
通知カードとの違い
マイナンバー制度が始まった直後に、各家庭には番号を知らせる書類が郵送されました。書類には切り取って使える「通知カード」が入っています。
このため、通知カードとマイナンバーカードを混同している人も多いでしょう。しかし通知カードは、あくまでもマイナンバーを知らせるために送られるもので、マイナンバーカードの代わりにはなりません。
マイナンバーカードは通知カードの内容を元に、自分で申請する必要があります。マイナンバーカードを発行後は、通知カードは返納する決まりです。
マイナンバーカードのメリット
通知カードがあれば、マイナンバーカードがなくても特に困らないようにも思えます。マイナンバーカードを作ると、暮らしはどのように変わるのでしょうか。主なメリットを見ていきましょう。
身分証明書になる
マイナンバーカードは、公的な身分証明書として使えます。一般的に、本人確認には運転免許証やパスポートのように、公的機関が発行する顔写真と住所氏名が記載された証明書が必要です。
運転免許証やパスポートを持っていない人は「保険証」と「住民票の写し」のように、複数の書類を用意しなくてはなりません。子どもの銀行口座を開設したり、スマホを契約したりする際に、書類の準備に苦労するケースもあります。
マイナンバーカードなら、年齢に関係なく誰でも作れます。作っておけば、手続きの度に本人確認書類を集める時間や手間が省けるでしょう。
1枚でさまざまな公的サービスを受けられる
マイナンバーカードは、既に社会保障や納税、災害対策の分野で活用されています。図書館の貸し出しカードに使っている自治体も現れています。
将来的にはマイナンバーカード1枚で、さまざまな公的サービスを受けられるようになるでしょう。パスポートの発給や銀行口座開設のように、マイナンバーと本人確認書類の両方が必要な場合も、1枚で対応可能です。
コンビニで各種証明書が取得できる
マイナンバーカードを持っている人は「住民票の写し」や「印鑑登録証明書」などの各種証明書を、コンビニのコピー機から取得できます。
利用時間は、原則として毎日6:30〜23:00(土日祝も含む)です。市区町村の窓口が自宅から遠い人や、役所の開所時間に取りに行けない人、急いでいる人にとって、とても助かるサービスといえるでしょう。
確定申告の控除が増えることも
マイナンバーカードがあれば、確定申告がスムーズになります。オンラインで申告できる「e-Tax」の利用手続きが簡単になるほか、青色申告の場合は控除額が10万円増えるメリットがあります。
例年、確定申告の時期は税務署が混雑し、長時間待たされることも珍しくありません。「e-Tax」なら自宅やオフィスにいたまま手続きが終わり、還付金も早く受け取れます。
青色申告する人はもちろん、医療費控除などの還付申告する人にもおすすめです。
参考:令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額 基礎控除額が変わります!!
マイナンバーカードのデメリット
マイナンバーカードには、重要な個人情報が入っています。このため自分では気を付けていたとしても、思わぬところで被害を受ける可能性が指摘されています。
マイナンバーカードを作る前に、知っておきたいデメリットを見ていきましょう。
情報流出のリスク
マイナンバーの情報はオンラインで管理されるため、サイバー攻撃などで個人情報が流出するリスクがあります。銀行口座や保険証へのひも付けが進めば、お金を勝手に引き出されたり、身に覚えのない契約に使われたりするかもしれません。
カードの紛失や盗難により、物理的に情報が流出することもあるでしょう。マイナンバーカードは必要なとき以外は持ち歩かず、厳重に保管する必要があります。
個人情報の悪用
個人情報が流出したからといって、必ず被害に遭うとは限りません。しかし他人がマイナンバーの持ち主に「なりすまし」て、勝手に銀行口座やクレジットカードを作る可能性があります。
国や自治体が支給する手当を「なりすまし」で受け取るケースも十分考えられるでしょう。実際に、日本のマイナンバーと似た制度のあるアメリカでは、番号だけで本人確認していたため、「なりすまし」被害が深刻化しました。
日本では、マイナンバーだけでは本人確認ができず、マイナンバーカードもしくは運転免許証などの顔写真付き身分証明書を提示する必要があります。このため万が一マイナンバーが流出したとしても、個人情報を悪用するのは難しいとされています。
それでも絶対に「ない」とは言い切れないため、マイナンバーを不用意に他人に知られないように注意しましょう。
マイナンバーカードの申請方法
マイナンバーカードは、所定の手続きを経て発行されます。複数の中から好きな方法を選んで申請でき、発行手数料は無料です。具体的な手続き方法を見ていきましょう。
インターネットで申請
インターネット申請は、自宅で好きなときにできるので、忙しい人にもおすすめです。申請用サイトへのアクセス方法は以下の通りです。
・パソコン:「個人番号カード 申請」で検索
・スマホ:通知カードに付いている「個人番号カード交付申請書」の二次元コードを読み取る
アクセスしたら所定のフォームに必要事項を入力し、顔写真のデータを添付して送信します。顔写真は撮影から6カ月以内であれば、デジタルカメラやスマホを使って自分で撮影したものでも構いません。
撮影時には正面を向き、背景に風景や影が映り込まないように気を付けます。帽子やサングラス、過度なヘアアクセサリー、メガネの反射などもNGです。サイトの注意書きをよく読み、正しい画像を用意しましょう。
郵送で申請
郵送で申請する場合は、「個人番号カード交付申請書」に署名して顔写真を貼り、同封されていた専用封筒に入れてポストに投函します。
申請書や封筒が手元にない人は、インターネット申請用サイトからダウンロードも可能です。顔写真のサイズは縦4.5cm×横3.5cmです。裏に氏名と生年月日を記入してから貼り付けましょう。
証明写真機で申請
「個人番号カード交付申請書」の二次元コードを使えば、証明写真機からも申請できます。まず写真機のタッチパネルで「個人番号カード申請」を選択し、バーコードリーダーで二次元コードを読み取ります。
画面の案内通りに必要事項を入力後、顔写真を撮影して送信することで完了です。証明写真機の場合、マイナンバーカード申請に適した写真を撮影でき、自分で用意した写真を使うよりも安心感が得られます。
データ添付や写真貼付の手間もなく、通勤途中などに気軽に申請できるのもポイントです。
マイナンバーカードは子どもにも必要?
イナンバーは子どもにも、これから生まれてくる赤ちゃんにも必ず割り当てられます。自分の分はともかく、子どものマイナンバーカードを作るタイミングや、作り方が分からない人も多いのではないでしょうか。
子どものマイナンバーカードについて、メリットや申請時の注意点を見ていきましょう。
子どもにマイナンバーカードを作るメリット
マイナンバーカードは公的な身分証明書になるため、運転免許証を取得できない子どもの本人確認書類として、大変重宝します。
また高校や大学に進学してアルバイトをする際には、勤務先へマイナンバーの提出が必須です。日本学生支援機構の奨学金審査でも、マイナンバーの提出が求められます。
アルバイトの給与振り込みや仕送りのために、本人の銀行口座を開設する機会も増えるでしょう。マイナンバーカードがあれば、マイナンバーの提示と本人確認が同時にできるようになります。
マイナンバーの数字は一生変わりませんので、早く作ったからといって損をすることもありません。
参考:予約採用申込みにおけるマイナンバーの使用 – JASSO
子どものマイナンバーカードの申請方法
15歳未満の子どもは自分でマイナンバーカードを申請できません。スマホやパソコンが使えたとしても、本人では受け付けてもらえないので、保護者が代わりに申請しましょう。
申請方法は、大人のときとほとんど同じです。インターネット申請では、同一のメールアドレスで複数人の申請が一度にできます。
郵送の場合も、それぞれの「個人番号カード交付申請書」と顔写真を用意して、まとめて送ることが可能です。自分のマイナンバーカードと同時に、家族の分をまとめて申請するとよいでしょう。
ただしカードを受け取る際は、窓口で本人が署名する必要があります。保護者と子どもが、一緒に役所の窓口に取りに行く必要があるので注意しましょう。
便利なマイナンバーカード
マイナンバーカードの所持は義務ではないため、作るかどうか判断に迷う人も少なくありません。しかしマイナンバーカードを使えるシーンは、今後ますます増えると予想されます。税額控除のような金銭的優遇措置が適用される可能性も十分あるでしょう。
特に身分証明書として使える点は、子どもにとっても保護者にとっても大きなメリットです。便利なマイナンバーカードを、早めに作っておいても損はありません。
構成・文/HugKum編集部