産後の悪露はいつまで出る? 生理との見分け方や、快適に過ごす方法をチェック

出産を終えた後、「悪露(おろ)」と呼ばれる出血が続きます。この悪露とは何か、どんな特徴があり、いつまで続くのでしょうか?  産褥期(さんじょくき)と合わせて解説します。また悪露はいつまで赤いのか、早く出す方法、注意するべき悪露、生理再開との見分け方、悪露の期間を快適に過ごす方法についても取り上げます。

悪露はいつまで?産褥期とはどんな時期?

悪露はいつまで
悪露はいつまで続くのでしょうか?​

 

妊娠すると、つわりが起きたり、お腹が大きくなったり、女性の体は大きく変化します。そして出産後には、女性の体からは「悪露(おろ)」が排出され、「産褥期(さんじょくき)」を迎えます。悪露と産褥期について解説していきます。

悪露とは

出産の後、女性の性器から血液の混じった、おりものが排出されます。これが「悪露」で、子宮内に残った胎盤や血液、分泌物などが出てきます。

見た目は生理の出血のようですが、悪露は「産褥期」に見られる女性の体の変化のひとつです。

産褥期とは

産褥期とは、出産を終えた女性の体が妊娠前の体に戻る期間のことで、出産からだいたい6~8週間ほどの期間を指します(医療情報科研究所編集(2009)『病気が見える』vol.10 産科(第2版)メディックメディア P362)。

産褥期には、妊娠で大きくなった子宮が元の大きさに戻り、その過程で悪露が排出されます。産褥期に起こる悪露以外の体の変化や産褥期の過ごし方については、こちらの記事を参考にしてください。

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悪露の特徴

臭い、色、量など、悪露の特徴について見てみましょう。

臭い

悪露は血液が混じっているため、血なまぐさい、独特の臭いがあります。臭いが気になるときは、ナプキンをこまめに交換したり、洗浄機能付きトイレで洗ってください。

頻度

悪露は出産後、しばらくの期間続きます。終わったと思ったら再開するケースもあり、頻度や期間などには個人差があります。

一般的に、出産後の日数が経つにつれて、悪露の量は減っていきます。ただし、増えたり、減ったり量は変化します。

運動量が増えたり、重いものを持って一時的にお腹に力が入り、悪露が排出されることも考えられます。

初期の悪露で、産後1週間くらいは赤色~色。産後2~3週間くらいは黄色~短黄色、産後4週間くらいは白色と、色が変化していきます。

悪露の色の変化については、後ほど詳しくご紹介します。

形状

塊はあまり出ないことが普通です。大きめの血の塊がボトボト出たり、生理の2日目よりも多い出血が長く続く場合は、念のために受診してください。

小さな塊が1、2個などの場合は、様子を見ても良いでしょう。

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悪露はいつまで続くのか

出産直後から始まる悪露ですが、いつまで続くのでしょうか?

産後1~2か月まで継続

悪露は、一般的には産後1~2か月まで見られます。ただし、大きな個人差があります。

早い人なら産後1か月頃、おおよそ産後6週間頃に終わるケースが多いようです。帝王切開の場合は、経膣分娩よりも長く続く傾向があります。

悪露はいつまで赤いのか

「出産後には悪露が排出される」と聞いていても、実際に赤い悪露が出てくると驚いてしまうかもしれません。

悪露の色の変化

出産直後の2~3日は、赤色の悪露が生理の2日目よりも多く出てきますが、その後は徐々に赤色が薄くなり、色が変化していきます。

産後1週間頃には悪露の色は、褐色や赤茶色になり、さらにその後は黄色、後半は白色に変わって、おりもののようになります。

赤い悪露は、産後2週間頃まで

産後3~4週間くらいになると、出血はほとんど止まります。すると赤色だった悪露は、褐色の悪露に、そして黄色や白色っぽい悪露になっていきます。

一般的に赤色の悪露が排出されるのは、だいたい産後2週間頃までです。

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悪露を早く出す方法

悪露が終わるということは、子宮に残った血液や体液などが排出され、子宮が元の状態に戻ることを意味します。つまり悪露は、子宮の回復具合を示すサインと言えます。

悪露を早めに終わらせ、子宮を回復させるために、気をつけたいことを紹介します。ただし、決して無理はしないように、できる範囲にしておきましょう。

疲れたら体をしっかり休める

妊娠と出産を経て、女性の体は大きく変化し、体は自分が思っている以上に疲れています。さらに慣れない育児に追われます。会陰切開などの傷がある人もいるので、疲れたときは、できるだけ体を休めることが大切です。

しかし、安静に寝ている必要はありません。適度に体を動かし、疲れたら無理しないということです。

軽い運動をする

産後に行う「産褥体操」は、悪露の排出を促したり、母乳の出を促す目的があります。ベッドに寝たままでできる軽い運動が多いので、最初は軽い運動から始めて、少しずつ回数や内容を変えてみてください。

注意すべき悪露

悪露の様子を観察して、次のような場合は医師に相談してください。

2か月経っても終わらない

一般的に、悪露は産後1~2か月で終わります。もし産後2か月が経っても、だらだらと悪露が続く場合は、医師に相談しましょう。

悪臭がある

前述したように、悪露は生臭い臭いがします。悪露の量や色が変わってくると、少しずつ臭いも軽くなっていきます。もし悪臭があるなど、気になる臭いが続く場合は、早めに病院を受診しましょう。

量が多い

鮮血の塊が出続けたり、悪露の量が多かったりする場合は医師に相談しましょう。

鮮血の塊が続く

赤や褐色の塊が続くなら受診しましょう。また、量が生理の2日目よりも多いことが続くなら受診の目安です。

悪露が出ない、とても少ない

悪露の量や期間は個人差があるため、量が少なかったり、早い期間で終わることもあります。

悪露の期間が短かったり、量が少ないことは、子宮の回復が早かった可能性が考えられます。ただし、産後1か月くらいは再び悪露が出てくることもあります。しばらく様子を見るといいでしょう。

帝王切開での出産は、子宮内の胎盤や卵膜などを除去するため、普通分娩に比べると悪露の量が少ないと言われています。もし悪露の量が少ないなど心配なときは、医師に相談してください。

悪露と生理再開の見分け方

出産した後、最初の生理が始まる時期は人によって異なります。一般的には産後3~4か月ほどで再開しますが、産後2~3か月で始まるケースもあれば、半年や1年近くかかるケースもあります。

生理再開と悪露は、どう見分ければいいでしょうか?

鮮血が1週間ほど続く

悪露の場合、出産直後は赤色ですが、その後、赤色は薄くなり、色が変化していきます。

一方、生理は鮮血が続きます。鮮血が続いた場合は、生理再開と判断できます。

下腹部痛がある

生理では下腹部に痛みを感じる場合があります。その場合は、生理の可能性が高いでしょう。

ただし悪露でも下腹部痛が起こることがあります。痛みが強いときは、医師に相談してください。

1週間ほどで終わる

悪露は一般的に産後1~2か月続きますが、生理は1週間以内に終わります。

1週間ほどで終わるなら、生理の可能性が高いでしょう。見分けがつかず気になるようなら医師に相談してください。

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悪露の期間を快適に過ごす方法

悪露は、出産後すぐは量が多く、臭いが気になることもあります。悪露の期間を快適に過ごすためのポイントを見ていきましょう。

産褥パッドを使う

悪露の量が減ってくれば、生理用ナプキンでも十分間に合いますが、出産直後の赤色悪露や褐色悪露の時期は量が多いため、生理用ナプキンではなく、産褥パッドを使うことがおすすめです。

生理用ナプキンよりも厚みがあり、悪露の量が多くてもしっかり吸収します。また滅菌されているものが多いため、会陰切開の傷口などにも刺激が少なく、安心です。

パッドやナプキンをこまめに交換

悪露には血液が混じっているため、どうしても特有の臭いがします。臭いが気になるときは、こまめに産褥パッドやナプキンを交換しましょう。

ゆっくり休む

出産後の女性は、体の変化と急激なホルモンの変化に加え、育児に対する不安を感じるなど、心身ともに疲れています。体と心がしっかり休息できれば、悪露は自然と減り、体は回復に向かっていきます。

夫や親など、身近な人の助けを借りて、できるだけ体を休めるようにしましょう。

悪露は子宮回復のバロメーター

悪露は、産後に誰にでもある身体の変化ですが、その状態には個人差があります。子宮をはじめ、体が回復してくれば悪露は減っていきます。つまり悪露は体の状態を知るバロメーターと言えます。

もしも悪露が長引いているときは、心身をゆっくり休めてください。悪露の色、臭いなどで何か心配なことがある場合は、長く様子を見ずに、早めに医師に相談してください。

記事監修

Kawai
助産師・看護師・保育士
河井恵美

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

エミリオット助産院

文・構成/HugKum編集部

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