コロナ禍での2歳・3歳・4歳との関わり。豊かな心を育むコミュニケーションとは

少しずつ自分の思いを言葉で発し、会話ができるようになってくる2 ~ 4 歳の幼児期。おうちの方ともお話が楽しくなる時期ですが、コロナ禍でソーシャルディスタンスの確保、マスク着用と、人とのコミュニケーションがこれまで通りにはいかないところも。コミュニケーション能力発達のため、おうちの方はどのようなことを心がければいいのでしょうか。

2−4歳は「語る力」を身につけていく時期

2−4歳は、言葉で表現できることの幅が広がっていく時期です。少しずつ自分の気持ちも表現できるように。また、例えば幼稚園や保育園でのままごと遊びの中でも、「どうぞ」「ありがとう」といったルーティンのやりとりに加えて、「今日お誕生会だよ」など、自分の経験をおりまぜて遊びをふくらませることもできるようになっていきます。

ただ、体験したことを自分だけで「語る」のはまだ難しい時期です。「今日は何をしたの?」と幼稚園や保育園であったことを聞いても、「おえかき」など断片的な返答が多く、「何を描いたの?」と、くわしく聞こうとしても「わかんない!」と、それ以上は説明できずに終わってしまうことも。めばえっ子世代が「語る」能力を身につけていくためには、何より子ども自身が興味を持ち、話したいと思っていることを、親が少しサポートしながらじっくりと聞いてあげること。

ときには「おもちゃ取られた」と、ドキッとするような報告があるかもしれませんが、慌ててあれこれ聞き出そうとすると、子どもはいつもと違う大人の反応を敏感に感じとります。子どもによっては、園での様子を尋ねるたびにネガティブな話題ばかりが出てくるようになり、親としてはますます不安に。本当に気になることは園の先生に確認して、子どもには「そんなことがあったんだね」とフラットに返して、話を聞いてあげればいいと思います。

そして「聞く」のに加えて、親が子どもに対して積極的に「語る」ことも大切です。「お母さん、今日こんなことがあったんだ」「お父さんはこう思ったよ」と、親が自分の経験や気持ちを語るのをお手本にして、子どもも「自分のことはこうやって話せばいいのか」と学んでいくことができるのです。

2−4歳期の平均的なコミュニケーションとは?

■無理に聞き出そうとせず受け止める姿勢を大切に

■親も自分の体験や思いを子どもに語る

■絵本などを通じて共通の話題をつくる

子ども

■自分の思いや気持ちを少し言葉で表現できる

■自分の体験を遊びの中におりまぜることも

■体験したことをひとりで「語る」のはまだ難しい

コロナ渦中に心がけたい子どもとのコミュニケーション

家庭=唯一「今まで通り」が確保できる場所

コロナ禍で家族以外の人とのコミュニケーションが大幅に減りました。外出時はマスクをするのが基本になり、口元が見えないまま会話をすることに。コミュニケーション能力が育つめばえっ子世代への影響を心配する方も多いと思います。

確かに子どもは発せられる声だけでなく、口の動きや表情からもコミュニケーションの仕方をインプットしています。だからこそマスクを外してふれあえる家庭でのコミュニケーションは大切にしていきたいものです。

特別なことでなく、身近な遊びや普段からできることでもコミュニケーションは豊かになります。毎日の生活の中で意識していけるといいですね。

一番大切なのは、親が気持ちにゆとりを持つこと

おうちの方の中には、今の状況を心配して、「できる限りのことをしなければ!」と焦る方もいらっしゃるでしょう。ここで紹介することは、自分に余裕があって、親子とも気持ちがのったときに、できることをするので構いません。

コロナ禍中は子ども以上に親もストレスを感じているはずです。親がゆったりと過ごし、笑顔で接することが、子どもにとっては一番よいコミュニケーションです!

親子が家庭でできること

①お散歩

家の中に閉じこもっていると、新しい話題も見つかりにくく、コミュニケーション不足になりがちです。家のまわりをお散歩するだけでも、「お花咲いてるね」「消防車が来るよ」など同じものを見ながら話すきっかけになります。

子どもが興味のあるものを探してみましょう。気の向くまま歩くだけでもいいですし、目的があったほうが歩きやすいなら「お花を10種類見つける」「はじめての公園に行く」などテーマを決めても。

②ピクニックごっこ

コミュニケーション能力を育てるには、心身の豊かな発達も不可欠。そのためには、外で体を大きく動かしたり、さまざまなものにふれたりすることが大切です。

外で食事をするとより会話も弾みます。お弁当を作って出かけるのは大変でしょうから、おにぎりだけにぎっていくのでも、水筒とおやつだけでもいいですね。場所は近所の公園でも楽しめます。

③お手伝い

子どもは身近な大人から感謝されることに大きな喜びを感じます。お手伝いは家族から「ありがとう」と言ってもらえる大切な機会です。一緒におうちの仕事をする中で言葉や気持ちのキャッチボールが生まれます。

「洗濯物を家族それぞれのものに仕分けする」「フロアワイパーで床をふく」「サラダのレタスをちぎる」など、めばえっ子世代にもできるお手伝いをお願いしてみましょう。

④絵本の読み聞かせ、子ども向けテレビ番組の鑑賞

親子で同じものを見て言葉を交わすことはコミュニケーションの発達にとても重要です。絵本や子ども向けテレビ番組もそのツールになり、親子で「りんごおいしそうだね」「ゾウさん出てきたよ」と感想を共有することができます。

また、絵本やテレビでは親が普段使う以外の言葉にたくさん出会えるため、豊かなコミュニケーションには欠かせない語彙を増やすことにも有効です。

ご家庭外の人とのふれあい

①祖父母、親戚

祖父母や親戚にも直接会いに行くことができず、ビデオ通話でお互いの様子を伝えあっている家庭も多いと思います。子どものコミュニケーション能力を育てるには、親以外の大人とのふれあいも大切です。

画面越しのコミュニケーションでも、気にかけてもらっていることが伝わってくることの意味は大きいでしょう。親以外の大人との接点を保ち続けられるように、手紙を交換したり、物を贈りあったり、できることを続けていけるといいですね。

②お友だち

幼稚園・保育園に通えているなら、園ではお友だちと関わる機会が確保されているはずです。おうちで過ごしている年齢の場合は、まだまだ親子の関わりが大切な時期です。あまり焦らずに家族の時間を楽しみましょう。

公園など外では少しお友だちと接する機会があるかもしれません。同世代のお友だちがしていることを「見る」ことからも、子どもはたくさんのことを学んでいます。お友だちと直接やりとりがなくても、公園など家庭以外の場所で過ごすことには意味があります。

 

記事監修

磯村陸子先生

千葉経済大学短期大学部こども学科教授。発達心理学などを専門にしている。著書に『0 〜6 歳よくわかる子どもの発達と保育の本』(池田書店)など。

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

『めばえ』2021年5月号別冊 イラスト/とみたはる 構成/童夢

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