3歳ごろまでにつくられる「生きる力」とは?「心=非認知能力」を育む5つの秘訣

いい子になってほしいから。幸せになってほしいから。そんな気持ちがあるからこそ、子育てへの迷いも出てきます。どうほめる?どう叱る?習いごとは?勉強は……?  めばえっ子の時期、親がしてあげられることって、いったい何?

「心の土台」は3歳ごろまでにつくられる

「能力が高い人=学力が高い人」。実は、こうした定義は過去のもの。これからは、周りと連携しながら自分の能力を生かせる人が求められる時代になるといわれています。それに伴って注目されつつあるのが、「自分らしく生きる力」。ペーパーテストでは評価することができない、「心」の育ちです。こうした力は、学力や知識に代表される「認知能力」に対して、「非認知能力」とも呼ばれます。

自分らしく生きる力の基礎となるのは、親との信頼関係です。自分は愛され、守られていると感じると、初めて好奇心が芽生えます。その好奇心を自由に伸ばしていくことが、知識や技能を含めた学びにもつながっていくのです。同時にこの時期、ありのままの自分を受け止めてもらうことも大切。共感された経験は自分を表現する力や他人への共感を生み出し、自然にコミュニケーション力も高まっていきます。

「今」だけに注目すると「出来栄え」が気になり、子どもに表面的な対応を教えてしまうことがあります。ありがとう、ごめんなさい、「貸して」と言われたら「いいよ」……。こういった言葉も、決まり文句として口にしていたのでは本来の役割を果たしているとはいえません。「ありがとうと言える」という出来栄えより、感謝の気持ちを感じることやそれを伝えたいと思う気持ちのほうがずっと大切なのです。

「1+1は?」という質問に「2!」と答えられれば正解。知識や学力は、学んだ成果がすぐにわかります。それに対して、心の育ちは目に見えず、周りからの働きかけがすぐに結果に結びつくわけでもありません。でも、自分らしく生きる力の土台は3歳頃までにつくられるもの。めばえっ子世代は、焦らずていねいに、将来につながる力を育てていく時期なのです。

自分らしく生きる力 (非認知能力)

■テストでは測れない能力➡︎ 心の育ち

■教えることはできない

■幼児期の経験が土台となる

■さまざまな「エピソード」を記憶することが力を伸ばす

認知能力

■テストで測れる能力➡︎ 知識や学力など

■教えることができる

■勉強や訓練で身につけられる

■学ぶ過程で、おもに「意味」を記憶する

自分らしく生きる力の育て方5

ご機嫌で過ごせる毎日が子どもを伸ばす

自分らしく生きる力は、すべての子どもが生まれながらにしてもっているもの。親や身近な大人の役目は、何かを教えることではなく、子どもに備わっている力を伸ばすことです。

何よりも大切なのは、子ども自身が「自分は大切にされている!」と感じられること。たくさん笑って、ごはんをしっかり食べて、ぐっすり眠る!  こんな毎日を大切に、子どもと接したいですね。

①子どものありのままを受け止める

「いい子だから好き」ではなく、「あなただから好き」。愛され、大切にされているという実感があれば、子どもは自分の思いを素直に表現することができます。

②「イヤ!」をわがままと受け止めない

「イヤ!」は子どもが自分で考えるようになった証拠、と考えてみて。頭ごなしに叱ったり否定したりせず、できる範囲で気持ちを尊重してあげましょう。

③好きなことはどんどんやらせる

子どもが好きなことは、とことんやらせてあげましょう。夢中になっているときは、深く学んでいるとき。考え、工夫し、想像しながらスキルを高めています。

④ほかの子とくらべない

興味の対象や得意・不得意は人それぞれ。人とくらべて優劣をつけたり、親の希望を押しつけたりせず、「その子らしさ」を尊重し、応援しましょう。

⑤「今の気持ち」に寄り添う

子どもの様子をよく見て、今どんな気持ちなのか、考える習慣を。親からの共感は子どもに安心感を与え、意欲を育てることなどにもつながります。

「心の土台」の上に育っていく力5

自分を生かし、周りも生かせる人に!

親を信頼し、周りから共感されて育った人は「ポジティブな言葉」をたくさんもっているため、コミュニケーションが上手。他人を認め、信頼することもできるので、心の扉はいつも大きく開いた状態です。こうした人のところには、いつだって「いいパス」が回ってくるもの。周りとつながりながら、その中で自分の能力を存分に発揮していくことができるのです。

①学びにつながる好奇心

人の脳は、「好きなことから学ぶ」ようにできているそう。好きなものを突きつめていくと、知りたいこと・学びたいことが出てきて、自発的な学びにつながります。

②逆境に強い折れない心

ありのままの自分を受け止めてもらえた経験は、しなやかな心を育てます。失敗しても、「次はうまくいくかも」などと自分なりに対処することができます。

③オリジナリティのある視点と発想

自分で考え、想像する経験は視野を広げることにつながります。知識を詰め込む学び方だけでは得られない、意外な考え方やひらめきも生まれやすくなります。

④他人への共感&コミュニケーション力

共感されて育った人は、自分が共感することもできるもの。他人への共感から、思いやりややさしさ、自分をコントロールする力などが生まれます。

⑤周りの人を巻き込む力

他人を信頼し、共感できる力があると、人と協力することが上手に。それぞれの得意・不得意を生かし、補い合って成果を出していくことができます。

 

記事監修

乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事
井桁容子先生

(乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。)

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

『めばえ』2021年4月号別冊 イラスト/小泉直子 構成/野口久美子

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