「フクロウと親友になったのはどうしてにゃ?」 疑問に思った猫が、動物学者に質問!

猫とフクロウ、獲物同士なのになぜ仲良くなれるの!?

猫のマリモと、フクロウのフクは、とっても仲良し。写真集『母親になった猫(マリモ)と子猫になりたいフクロウ(フク)。』には、マリモの子猫たちをフクも一緒に育てをしている様子が見られます。本来なら、『獲物同士』といえるのに、なぜ仲良しなのでしょう? 気になるマリモは、日本動物科学研究所所長でもある哺乳動物学者の今泉忠明先生に聞きにいったようですよ。


マリモ:「先生、はじめましてですにゃ。今日はマリがずっと不思議に思っていることを教えて欲しいにゃ」

先生:「はい。よろしくお願いしますね」

マリモ:「フクとは出会った瞬間から意気投合したんだけど、それはなんでなのですかにゃ」

先生:「マリモちゃんは当時はまだ小さくて、猫社会のルールを母猫から教わっていなくて、猫としての自覚があまりなかったからなかよくなれたんじゃないかな?」

マリモ:「フクと会ったのはマリが生まれて1ヶ月半ぐらいでフクが6歳ぐらいの時にゃ。じゃあ、フクとマリは違う種類の動物でなかよしが珍しいにゃ?」

先生:「異種同士でなかよくなることは誤解発によって起き、動物の行動学的によくあります。誤解発とは異種の相手を仲間と同一視してしまうことです。犬猿の仲なんて言うけれど、小さいうちにタイミングをみて一緒にしてみると犬と猿だってなかよくなることがあります」

マリモ:「にゃ~んだ。小さい頃から一緒だったからなのにゃ? 運命だと思っていたにゃ。でもでも、フクは鳥っていう種類にゃ! 本当はマリたちのゴハンなんでしょ? なのに友達ってすごいにゃ?」

先生:「特に鳥類は、誤解発することがありますよ。池の鯉が口をパクパクさせているのを見て、ヒナと間違えてエサを運ぶこともあります。フクちゃんが誤解発して、そこにマリモちゃんが依存したと考えられますね」

マリモ:「依存ってなんにゃ? 好きってことと同じにゃ?」

先生:「うん。まぁ、そうだね」

マリモ:「じゃあ好き同士ってことにゃ! あ、でも大人猫たちは前はフクのこといじめてたんだけどマリが来てからはフクとなかよくなったのにゃ。それはマリの友達だからかにゃ?」

先生:「マリモちゃんとなかよくしているのを見て、あのフクロウは攻撃しないと学習したのかもしれないね」

マリモ:「じゃ、マリのおかげでフクは住みやすくなったのにゃ?」

先生:「そうだね。これからもマリちゃんとフクちゃんはなかよくいられると思うけど、大人猫には注意してフクちゃんの避難場所を作っておくといいね」

マリモ:「フクハウスがあるにゃよ。でもフクハウスは最近はキッズたちの遊び場になっているにゃ。先生、フクはマリのベビーシッターまでやってくれるにゃ。パパのオス君はマリの妹とデートとかしちゃってるから、フクが母性全開でオス君の分も頑張ってくれてるにゃ!」

先生:「残念ながら鳥類は母性ではなく、そばにあるものや自分の兄弟との遊びの延長線で羽づくろいします。また、ヒナの汚れを取る意味もあります。よく、卵を産むと温めるといいますが、あの行動も発情ホルモンによって体が熱くなるので、卵のカラで熱を取っているんだよ」

マリモ:「にゃ~! やっぱりフクはマリのこともキッズたちのこともキレイキレイしてくれてるにゃ! 先生、フクはキレイ好きにゃよ! 自分のフンもマリの子育てハウスにしたりしないのにゃ。もよおしたらハウスの入り口からお尻だけ突き出してちゃんとお外でやってから戻ってくるからすっごいでしょにゃ」

先生:「ほう。それはね…」

マリモ:「ホー?って言ったにゃ? にゃんだかフクに会いたくなってきたにゃ。先生、マリはそろそろ帰りますにゃ。ありがとうございましたにゃ!」

▲哺乳動物学者の今泉忠明先生

トークの最後は自由気ままなマリモちゃん節で終わりましたが(笑)、マリモちゃんとフクちゃんが仲良くなった理由がよくわかりましたね。

親友同士の猫とフクロウが、どんな感じで子猫育てをしているのか、ちょっと覗いてみたくなった方は、ぜひ写真集『母親になった猫(マリモ)と子猫になりたいフクロウ(フク)。』をご覧ください。フクとマリもの子育て日記にほっこりしますよ。

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『母親になった猫(マリモ)と子猫になりたいフクロウ(フク)。』

コキンメフクロウのフクとスコティッシュフォールドのマリモは、とっても仲良し。本来なら獲物同士といえるフクロウと猫の仲良しぶりは、さまざまなメディアでも紹介されているほど。そんなある日、マリモが4匹の赤ちゃんを産んでママになりました。突然現れた子猫たちに戸惑いながらも、一緒に子育てに参加するフク。生まれたての子猫の愛らしい姿や、お世話するマリモとフクの様子に癒される写真集です。本文掲載の『マリモの子育て。』(一部書き足し)のブログは猫部門3位、鳥部門1位になった作品。

永原律子(ながはらりつこ)著
アートディレクター。カラープランナー。グラフィックデザイン非常勤講師。家電メーカーのプロダクトデザインのサポートを長く務める。写真集『ずっとともだち。』『フクマリ』では著者として、ミュージックCD『ニャンクラ~ニャンコが歌うクラシック~“GIFT”』では制作、撮影、フクロウ&猫の声の録音などで携わる。監修の写真集『フクとマリモ』と原案コミックス『フクとマリモのHUKULOU COFFEEへようこそ』は台湾版も好評発売中。大阪で猫カフェ『HUKULOU COFFEE』を営業中。

文/井上加織

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