子どもにもおすすめ!青春と音楽を描いた小説
【1】くちびるに歌を
産休に入る音楽教師の、代理としてやってきた美人ピアニストの柏木ユリ先生。
合唱部の全国コンクールの課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなみ、「15年後の自分へ宛てた手紙」を書くように宿題を課します。
するとそこには生徒たちの等身大の秘密が綴られており…。
長崎県五島列島の中学合唱部を舞台にした、さわやかで泣ける青春物語です。
【2】アーモンド入りチョコレートのワルツ
ピアノ教室に突然現れた奇妙なフランス人のおじさんをめぐる「アーモンド入りチョコレートのワルツ」、少年たちだけで過ごす海辺の別荘でのひと夏を描いた「子どもは眠る」、不眠症の少年と虚言癖の少女の淡い恋を綴った「彼女のアリア」。
心がきゅんとなる3つの物語をシューマン、バッハ、サティのピアノの調べに乗せておくる珠玉の短編小説集です。
【3】ぎぶそん
あるロックバンドに憧れた中学2年生のガクは、仲間を集めてバンドをはじめます。
親友のマロと幼なじみのリリィ、ギターが得意な問題児のかけるとともに、文化祭で演奏することを目標に練習を始めますが、メンバー同士の衝突が絶えず……。
ガクとリリイの淡い恋や文化祭ライブなど、14歳のまぶしいような青春ストーリーが描かれていて、子どもにも大人にもおすすめの作品です。
【4】楽隊のうさぎ
「学校にいる時間をなるべく短くしたい」と思うような引っ込み思案の中学生・克久が誘われるままに強豪のブラスバンド部に入部。
音楽経験のない克久でしたが、全国大会を目指して練習を重ねるうちに、戸惑いながらも音楽に夢中になっていきます。
中学生という多感な時期の青春を描いた作品で、吹奏楽をやっている子どもや家族にもおすすめです。
【5】ミュージック・ブレス・ユー!!
「音楽について考えることは、将来について考えることよりずっと大事」と考えている高校三年生のオケタニアザミ。
追試や補習に追われ、進路は何ひとつ決まず、ぱっとしない毎日を過ごす彼女を唯一支えるのが愛するパンクロック。
周囲に理解を得られなくても、自らの愛する音楽に生きる少女の何気ない日常を描いた青春小説です
【6】船に乗れ!
音楽一家に生まれ、チェロ奏者として才能を持ちながらも第一志望の音楽高校に落ちてしまったサトル。
失意のまま別の高校の音楽科に通うことになった彼が、そこで出会う同級生たちと人間関係や恋愛、音楽の壁に当たりながら成長していく姿を描いています。
音楽に打ち込む高校生たちの青春小説で、全3巻のシリーズになっています。
大人にもおすすめ!話題の音楽小説
【1】さよならドビュッシー
ピアニストを目指す16歳の遥。
ある日祖父と従妹とともに火災に巻き込まれ、全身に大火傷を負いながらも、彼女だけが一命をとりとめます。
それでもコンクール優勝を目指して猛レッスンに励む遥でしたが、次々と不吉な出来事が起こり、ついには殺人事件まで発生してしまい…。
映画化やテレビドラマ化もされており、衝撃のラストも話題になった人気の推理音楽小説です。
【2】蜂蜜と遠雷
舞台は若手ピアニストの登竜門である芳ヶ江国際ピアノコンクール。
名門校に通うエリートのマサル、天才少女と呼ばれながらも精神的ショックでピアノが弾けなくなった亜夜、自宅にピアノすらもっていない塵、年齢制限のため最後のコンクールとなる明石。
コンクールに挑戦するこの4人をはじめ、審査員など視点を変えながら物語が進んでいく群像劇です。
凄まじい熱量を持った天才たちが、短い期間の中で自らと闘いながら成長していく様子に心を揺さぶれられます。
【3】羊と鋼の森
高校生の時、学校で偶然ピアノの調律作業を目にしたことから調律の世界に魅せられた外村。
専門学校で学んで楽器店に就職し、調律の世界で悩みながらも、ピアノを愛する姉妹や先輩、恩師との交流を通じて成長していく青年の姿を温かく綴った物語です。
ふだんなかなか注目されることのない、ピアノ調律師の仕事を丁寧に描いている点も魅力です。
【4】シューマンの指
里橋優はかつて天才ピアニストと呼ばれていた修人のピアノ公演があったという噂を聞いて驚愕します。
修人は30年前に起きたある事件で指を失っていたのですが、それには何か秘密があったのではないかと疑い始めた優。
過去を思い返すと、未解決のまま幕を閉じた殺人事件が浮かびあがってきて…。
ピアニストを題材にしたミステリー要素も含んだ物語展開で、最後まで目が離せません。
おわりに
中学校の合唱部というような正統派の青春小説から、吹奏楽、ロックバンド、ミステリー要素を含んだものまでさまざまなジャンルの作品があり、音楽は読んでも楽しめることを実感します!
ここに紹介した以外にも、魅力的な音楽小説はたくさんありますので、ぜひ興味のある一冊を見つけてみてください。
文・構成/HugKum編集部