イクメンなんて目指さないで。夫婦の基盤があれば、子どもは8割がた順調に育ちます

Q : 「パパの育児」の役割って、何をすればいい?

最近は、父親が育児に関わるのは当たり前といわれます。具体的に、どんな関わり方をすれば子育てはうまくいくのでしょうか。『子育てはどたばたがよろしい』などの著書をお持ちの、平山許江選瀬先生にお話を伺いました。

A:家庭での「パパの役割」は二つあります

幼児がいる家庭での「パパの役割」は二つあると思います。つは子どもとの関わり方、もう一つは妻との関わり方

パパと子どもの関わり方

まず、子どもとの関わり方から。男親は子どもの発達について、あまり知らないことが多いため、わが子に求めるレベルが高くなり、頑張らせたいという気持ちが強くなる傾向があります。例えば、子どもがピョンとび降りた。子どもはそのことをほめてもらいたいのに、お父さんは「あっちから跳んでみろ」と、少し高い場所から跳び降りさせようとする。

でも子どもは、同じことをやるのが楽しいのです。そして満足すると、必ず自分からもっと上を目指します。小学3年生頃までは、同じことを何回もやって習熟した子のほうが伸びます。子どもが「今やっていること」を、手出し口出しせずに見てあげて「おー、すごいな」と手放しでほめる。子どもの“今”の力を信じて待つことが親の役割だと、自分に言い聞かせてください。

身近な遊びでOK

子どもは体力を使う遊びをして、エネルギーを使うことで、大きな満足感が得られます。と言っても、外で思いっきり遊ぶなど、特別なことをしなくてかまいません。家の中で、子どもが寝ている背中に座布団をのせ、お父さんは脚全体を子どもの体を包み込むように置き、「さあ、逃げられるかな」と。新聞を読みながらでもいいんです。子どもはそこから必死に逃れ出ようと、喜んで挑戦するでしょう。

お父さんが家事をするとき、手伝いをさせてもいいですね。お風呂掃除をする時「ほら、○○はここ拭いて」とか、照明を取り替える時に電球を持たせるとか。作業が終わったらハイタッチ! 子どもの気分はもう「パパと同志」です。

「公園でスマホ」はもったいない!

公園に連れて行ったはいいけれどスマホを見ているお父さん、モッタイナーイ。子どもたちを観察していると、いろいろな発見がありますよ。例えば会社で市場調査や顧客の動向を調べるみたいに、テーマを決めデータ収集をし、分析しても面白い。自分だからできることだ思うと、スマホよりやりがいを感じませんか。

パパの、ママへの関わり方

妻との関わり方ですが、子どもが生まれると、いつの間にかお互いをパパ、ママと呼んでいたりしますね。子どもがいる時に「ママ」と呼ぶのはいいとしても、妻はあくまで妻であり、女性です。「あなたのママではない」ことを忘れないで。

夫婦は本気で向かい合い、それぞれ大変な時は遠慮せずに本音を話し、勇気を与え合うことを勧めます。勇気を与えるというのは、相手の気持ちを受け入れ、思いやること。夫婦は、そうすることでつながるのだと思います。

パパの役割は、ママと違って当たり前!

父親と母親は、思考回路や行動パターンなどに違いがあり、一般に、子育ての細々したことは母親のほうが向いています。「パパの育児」の役割は、母親と違って当たり前。お互いが、得意な分野やできることを自分の役割にして、補い合えばいいのではないでしょうか。

大事なのは、先に述べたように、夫婦が本気でつながっている関係であること。イクメンなんていわなくても、その基盤をしっかり築いていれば、8割、9割、子どもは順調に育つと私は思います。

 

幼児の子育ては、待ったなしです。妻は「ちょっと、これやって」と、あっさり頼みましょう。夫は「オレだってやっていることがある」ではなく、サッと「今、手を貸す」行動を! また何をしようかと迷う休日は、夫が率先して「掃除機かけるねー」などと言ってみて。すると妻が「掃除は私がするから、子どもを公園に連れてって」とか、必ず方向づけをするはず。それが円満のコツです。

 

 

平山 許江先生

文京学院大学大学院特任教授

子育てのための退職や大学院へのオバサン入学をはさみ、私・国立幼稚園に20年勤務。短大勤務を経て現職。著書に『子育てはどたばたがよろしい』(世界文化社)など。

 

イラスト/松木祐子 構成/河又えり子 出典/『めばえ』

編集部おすすめ

関連記事