人気保育士・井桁容子先生にお悩み相談!「うちの子とまわりの子、ついくらべてしまう……」って時はどうする? 

Q . 子どもの成長は人それぞれ、とわかっているのですが、ほかの子とくらべて、「〇〇ちゃんはもうできるのに」など、あせってしまいます。

 

A . くらべることは子どもの育ちにマイナスに

子どもを育てるとき、親や身近なおとなが心がけたいことの一つが、「くらべない」ということです。他人と比較して「できる・できない」「上手・下手」などと評価することは自信を失うことにつながり、子どもにとってマイナスになることが多いからです。


●「自分は大丈夫」の自信をもって

子どもから「〇〇ちゃんのおかあさんのほうがやさしい」と言われたら? 自分はやさしくないと言われたように感じ、少し傷つくのでは? 他人との比較は、本人を否定することにつながりやすいもの。くらべられることは大人でも嫌なのですから、子どもだって、もちろん嫌なのです(笑)。

親には、「ほめて伸ばして何でもできるように」など、よい結果につなげたい思いがあるのかもしれません。でも、「一番」を目標にするのは、子どもに「二番以下ではだめなんだ」という思いをもたせるということ。親にそんなつもりはなくても、子どもは一番になれなかったときに「うまくいかなかった」と感じ、自信をなくしたり、次の機会に結果を気にして緊張したりするようになってしまうことがあるのです。

人は、ずっと一番ではいられないもの。長い目で見ると、一番になったことで得られる喜びや自信より、うまくいかなかったときに、それを学びにかえる、しなやかな心を育てるほうが大切です。まわりとの比較からは、本当の自信は得られません。出来栄えのよさを認められるより、失敗しながら受け止められる体験が大事。思うようにいかなかったり失敗したりしたときに受け止められると、「こんなことで自分の値打ちは下がらない」という基本的信頼感が育つからです。基本的信頼感とは、自分を認めてくれる他者への信頼と、「愛されている」という自分自身への絶対的な信頼です。

●子どもへの愛情を伝えて!

子どもは生まれた時点で、「もうその人」であると言われています。育つ環境に影響を受ける部分もありますが、気質などは「生まれつき」のその人らしさです。それぞれに違ったよさがあるのですから、なんでも結果や出来栄えで一律に評価するのは避けたいものです。子どもが自分らしく生きられるようにするための親の役割は、まず、生まれもったものを見きわめること。そのうえで、子ども自身のよさを伸ばしていけるように応援することです。

子どもが個性を伸ばし、基本的信頼感を身につけるために必要なのが、「共感すること」です。「〇〇が上手」「一番になった」と結果を認めるのではなく、「あなたが何をしても大好き」「あなたがいることがうれしい」と、共感しながら伝えてあげてください。

でも、くらべないように、と思ってはいても、つい……、なんてこともあるでしょう。そんなときはすぐに、「くらべちゃってごめんね」と、謝れば大丈夫。親の素直な思いの表現は、子どもにとって、失敗を認めて「ごめんなさい」が言える見本となります。そして、ありがたいことに子どもは必ず大人の失敗を許してくれます。子育ては大人も子どもも、失敗を受け入れて学ぶことが大事なテーマ。ときには子どもに甘えながら、お互いの気持ちを通い合わせていきましょう。

 

記事監修

井桁容子|乳幼児教育保育実践研究家

乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42 年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。


※「めばえ 別冊 5月号より」

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