「世界子どもの日」とは?日本の「こどもの日」との違いや海外の取り組みを徹底解説!

みなさんは、国際的な記念日に定められている「世界子どもの日」をご存じですか? 5月5日の「子どもの日」とは、何が違うのでしょう? 今回は、この世界子どもの日にスポットを当ててみました。世界子どもの日が制定された目的・歴史・由来を解説。また、日本や海外での取り組みやわたしたちができることなどを紹介します。

「世界子どもの日」ってどんな日?

「子どもの日」と聞くと、5月5日を思い浮かべるでしょう。しかし国際連合(以下:国連)が国際デーに制定する「世界子どもの日」は5月5日ではありません。日本の子どもの日と国連が定める世界こどもの日は、どのような違いがあるのでしょうか?

2023年の「世界子どもの日」はいつ?

そもそも、世界子どもの日とは、何月何日に制定されている記念日なのでしょう。まずは2023年の世界子どもの日の日付と曜日を確認しましょう。

今年の「世界子どもの日」は11月20日月曜日

2023年の世界子どもの日は11月20日月曜日です。毎年11月20日と定めているので、日付は変わりません。過去3年と来年以降3年の曜日は、以下の通りです。

2020年11月20日金曜日
2021年11月20日土曜日
2022年11月20日日曜日

2024年11月20日水曜日
2025年11月20日木曜日
2026年11月20日金曜日

世界で異なる子どもの日

国連が国際デーに定めた世界子どもの日は11月20日です。しかし、国連は加盟国や地域の事情にあわせて、子どもの日を制定するよう勧告しています。そのため、国によって、日付は異なります。

1925年の「子どもの福祉世界会議」で、6月1日が「国際子どもの日(英語表記はInternational Children’s Day)」と定められたことから、6月1日を子どもの日に定める国が多いようです。

日本では、端午の節句に由来した5月5日を子どもの日として、国民の祝日に定めました。また、アメリカやイギリス、フランスなどでは、特に子どもの日を制定していません。

「世界子どもの日」とは?

ここからは、世界子どもの日が11月20日に定められた目的・歴史・由来を紐解いていきます。

目的

国連は、世界子どもの日を、子どもの世界的な相互理解と友愛を深める日としています。また、子どもの福祉を向上されることが大きな目的です。英語表記は当初「Universal Children’s Day」でしたが、今では「World Children’s Day」に変更されています。

歴史

第一次世界大戦で、多くの子どもが犠牲となったことから、1919年に非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン」が設立されました。設立者のエグランタイン・ジェブ氏は1923年に「子どもの権利宣言」を発表。1924年、国際連盟によって世界初の子どもの権利に関する公式文書として、採択されました。

この流れを引き継いで、第二次世界大戦後の1954年11月20日、国連が国際デーのひとつとして「世界子どもの日」を制定。1959年11月20日には「子どもの権利宣言」が、さらに1989年11月20日には「子どもの権利条約」が採択されました。

なお、子どもの権利条約は、大きく分類すると4つの原則に分けられます。「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」です。

由来

世界子どもの日の制定には、1923年にエグランタイン・ジェブ氏が発表した子どもの権利宣言がきっかけとなっています。ジェブ氏は第一次世界大戦後、まだ国際的に認識されていなかった子どもの権利を訴え、戦争によって荒廃したヨーロッパで、子どもたちを支援するために精力的な活動を展開しました。その活動を通して「すべての大人が子どもに対し、最善のものを与えるべき義務を負う」と考え、それを子どもの権利宣言としてまとめました。

多くの子どもが命を失った第一次世界大戦の惨状を見た国際社会は、ジェブ氏の宣言を受け入れ、これが1954年に制定される世界こどもの日につながりました。

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「世界子どもの日」の日本の取り組み

11月20日の世界子どもの日に、日本ではどのような取り組みがおこなわれているのでしょうか?

ここでは「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」など、日本の国際NGOの活動を中心に世界子どもの日における取り組みを紹介します。

「世界子どもの日オンライン教室」

1986年に設立されたセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2020年11月20日に、子どもの権利を親子で一緒に学ぶ「世界子どもの日オンライン教室」を開催しました。子どもの権利や紛争下における子どもの現実などを紹介し、守られるべき子どもの権利の重要性を訴え、理解・支援・協力を呼びかけました。

「世界子どもの日ユース・フェスティバル」

国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」は2018年から毎年「世界子どもの日ユース・フェスティバル」を開催しています。次世代を担う子どもや若者が参加し、平和な未来の実現を目指すフェスティバルです。トークイベントやファッションショーをはじめ、ワークショップやブース出展などがおこなわれました。

「世界子どもの日映像スピーチコンテスト」

世界子どもの日にあわせ、日本全国の小学生・中学生・高校生が人権について、その考えを発表する映像スピーチコンテストも実施されています。コンテストの優勝者は、ヒューマンライツ・ナウが主催するユース・フェスティバルでスピーチを披露。また、入賞者の映像はユーチューブで公開されます。

「世界子どもの日」の海外の取り組み

海外での取り組みも見ていきましょう。国連本部での恒例行事やユニセフが報告書を発表するほか、世界各国の個性豊かなお祝いイベントがおこなわれています。

国連本部でのイベント開催

11月20日の世界子どもの日にあわせて、ニューヨークにある国連本部では、世界中から集まった子どもたちが参加できる記念イベントを開催。子どもの権利条約が採択されてから30年目の節目となった2019年には「国連児童基金(ユニセフ)」親善大使である元サッカー選手のデビッド・ベッカム氏などの講演もおこなわれました。

ユニセフによる報告書発表

2019年の世界子どもの日では、子どもの権利条約採択30周年を記念して、ユニセフが過去30年の成果と新たな課題を指摘した報告書『岐路に立つ子どもの権利条約』を発表しました。子どもたちの状況が大きく好転した一方、最も貧しい国や地域の子どもたちは、いまだにその恩恵を得られていないと指摘しています。

世界各国の子どもの日のお祝い

中国の子どもの日は6月1日です。14歳未満の子どもは、学校が休みになったり、親が子どもにプレゼントを贈ったります。4月23日が子どもの日のトルコでは、伝統衣装を身にまとってパレード。メキシコでは4月30日が子どもの日で、学校、会社、家庭などを含めて、街全体がお祭りのような賑やかな1日になるそうです。

「世界子どもの日」に、わたしたちができること

未来を担う子どもたちの権利を保護するために、わたしたちに何ができるのでしょうか?世界子どもの日を迎えるにあたり、わたしたち一人ひとりができることを紹介します。

SNSを活用した情報発信

SNSを使って、世界子どもの日に込められた意味やその重要性を発信することができます。各団体の告知をシェアしたり、実際にイベントなどに参加できなくても、その取り組みを紹介してもよいでしょう。

募金・寄付

子どもの生命、健康、人権を守るために尽力している国連機関をはじめ、さまざまなNGO、NPOに募金や寄付を行うことで、その活動を支援することができます。

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子どもの笑顔を守るために

世界の子どもたちを取り巻く環境は、大きく改善されています。しかし、今でも世界の4人に1人の子どもが紛争や災害、貧困などに苦しむ生活を余儀なくされています。また、児童労働や児童虐待、いじめやインターネット上での被害など、子どもの権利を侵害する事例は依然としてあとを絶ちません。

子どもが「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」ための権利を守り、確かなものにすることは、わたしたち大人の責任です。子どもの健やかな成長を祝う5月5日の子どもの日とは別に、ぜひ11月20日の世界子どもの日にも関心を向けてみてください。

 

文・構成/HugKum編集部

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