SDGsという言葉があちこちで聞かれるようになった今、「何かしたい」と思っても、具体的な動きを起こすのは意外と難しいですよね。特に、子育てや仕事に追われている世代はなおさら。そんな方が手軽に取り組めることとして、SDGsにつながる課題に取り組む団体に、寄付をするという形のアクションがあります。ご自身が関心を持った課題から関われるよう、この連載ではSDGsにつながる活動を行っている団体をあらゆる角度からピックアップ。第一回目は、ユニセフについてご紹介します!
SDGsは「持続可能な開発目標」の略で、2030年までに世界中で力を合わせて達成しようとしている17の目標のこと。その中には、貧困の問題や、教育、ジェンダー平等、環境問題など様々なジャンルの社会課題が含まれています。
ユニセフとは?
世界中の子どもたちの命と健康を守るために活動する「国際連合児童基金」、略称「ユニセフ」は、1946年に創設された国際連合の一機関。全ての子どもの命と権利を守るために、約190の国と地域で活動しています。
先進国を中心とした33の国と地域には、国内委員会である「ユニセフ協会」が設置されており、その一つに「日本ユニセフ協会」があります。国内委員会では、ユニセフ本部との協力協定に基づいて、募金活動、広報活動、アドボカシー活動(政策提言)に取り組んでいます。
第二次世界大戦後には、日本もユニセフから脱脂粉乳や医療器具などの支援が届けられていたのですよ。
どんな活動をしているの?
ユニセフでは、最も支援の届きにくい子どもたちを最優先に、「保健」「HIV/エイズ」「水と衛生」「栄養」「子どもの保護」をはじめとした、さまざまな活動を行っています。そのいくつかを背景とともにご紹介します。
【保健・水と衛生】年間520万人の子どもが5歳の誕生日までに亡くなる
5歳の誕生日を迎えることなく亡くなる子どもは、年間520万人。原因は、肺炎、下痢性疾患、マラリアが多くを占め、その多くは安全な水やワクチンがあれば防ぐことができるのだそうです。
コロナ禍で世界中の人々が衛生管理に気を配っている中、泥や細菌、動物の糞尿が混ざった汚い水を飲み、感染症にかかったり、下痢をしたりして命を落とす子どもが存在するのは信じがたいこと。
ユニセフではこの様な地域に対し、予防接種の普及、安全な水や衛生的な環境の確保などの支援を行っています。
【子どもの保護】暴力や女性器切除の苦しみ。声を上げられない子ども達
世界中で、推定3億人の子どもたちが暴力や、搾取、虐待にさらされています。その中には、最悪な形態での児童労働、女性性器切除(FGM)、児童婚なども含まれています。
女性器切除とは、カッターなどで少女の女性器を切除する習慣。筆者はこの習慣を知った時、気を失いそうになるほどの衝撃を受けました。国や宗教ごとに、信仰する考えや文化があることは理解できます。しかし、抵抗のできない子どもが苦痛を強いられることは何とかしたいと思わずにはいられません。
ユニセフでは、これらをなくすための活動を、様々なパートナーと共に行っています。
【教育】後回しにされがちな子どもの教育
2000年時点では、小学校学齢期にあたる6~11歳の子どものうち、1億人が小学校に通っておらず、その約3分の2は女の子でした。2018年のデータでは改善がみられるものの、子どもたちの8%(=約12人に1人)にあたる約5,900万人が学校に通っていない状況。特に、紛争や自然災害の時、子ども達の教育は後回しにされがちだと言います。
ユニセフでは、校舎の修繕や学習スペースの確保、学用品の提供など子ども達が教育を受ける支援をしています。
ユニセフへの寄付を実践している編集メンバーに話を聞きました!
HugKum編集部に、ユニセフへの寄付を続けているメンバーを発見! 聞けば、もう17年前から毎月行っているとのこと。詳しく話を聞いてみました。
始めたきっかけは何ですか?
「寄付をしようと思ったのは子どもを産んでからです。自分の子はたまたま私のもとに生まれてきたけれど、別の貧しい地域で生まれたとしても不思議ではないと思ったんです。1人っ子ということもあり、もう一人きょうだいを育てるような気持ちで寄付を始めました!」
17年前から続けていると聞きましたが、なぜそんなに長く続けられたのでしょうか?
「ユニセフ・マンスリーサポート・プログラムというものがあり、毎月口座やクレジットカードで引き落としができるんです。自分で振込みをするとなると忘れてしまうことも多いと思いますが、ストレスなく続けられたのはそのせいだと思います。」
続けてきてよかったことはありますか?
「私は月に3,000円を寄付しているのですが、これって友人とのちょっとぜいたくな食事一回分くらいの金額ですよね。でもその3000円が開発途上国の子どもの予防接種に換算すると238回分になるんだとか。飲み会一回分の費用がそんなにたくさんの子どもの命を救うと考えると、これほどぜいたくなお金の使い方はないんじゃないかと思います。
また、ユニセフ募金は税額控除の対象ですので、約40%が所得税額から控除されるのは良い点だと思います。これからも自分に収入がある限りは続けていくつもりです。」
支援額で何ができる?
募金した金額でできることを見てみましょう。
177円…経口ポリオワクチン10回分
312円…1錠で4~5リットルの水を浄化できる浄水剤1,000錠。
1,498円…重度の栄養不良からの回復に役立つ栄養治療食50包。
6,877円…急性の下痢による脱水症から子どもの命を守る経口補水塩1,000袋。
先程の編集Hさんの年間支援額36,000円は、経口ポリオワクチンに換算すると約2,030回分! また「スクール・イン・ア・ボックス」(箱の中の学校)と呼ばれる、生徒40人分と先生一人分の教材・学用品のセットを2セット購入することができます。
自分一人の寄付でも、確実に子ども達の力になれる! と実感できますよね。
どうやって支援する?
支援方法は、毎月定額を募金する「ユニセフ・マンスリーサポート・プログラム」と、好きな時に1回ずつ募金をする2通りの方法があります。1回ずつの募金には、ユニセフの活動全体を支える「ユニセフ募金」、紛争や災害から子どもを守る「緊急・復興募金」、特定の活動分野や地域を指定する「分野・地域指定募金」があります。また、支援物資を選んで送る「ユニセフ支援ギフト」もあります。手間なく続けていきたい方は定額制が便利ですし、自分が特に協力したい内容に支援を行える方法があるのは嬉しいですね。
いずれも、日本ユニセフ協会のHPから申し込むことができます。
「応援」という形で社会貢献!
これまで、地球上には貧しい子ども達や、紛争地域で命の危機にさらされている子どもがいることは知っていました。でも、親になって子どもを育ててみると、自分の思いや権利を主張できず、苦しさに耐える子ども達の苦しみがよりリアルに想像でき、何かしたいという気持ちが強くなったように思います。皆さんの中でも、ユニセフの活動に協力をしてみたいと思った方は、ユニセフHPをご覧いただければと思います。
日本ユニセフ協会ホームページはこちら≫
文・構成/寒河江尚子
参考/日本ユニセフ協会ホームページ