子育てで怒ってばかりになるのはなぜ? 著書『テキトー母さん』で注目の立石先生にお話をうかがったところ、上手に肩の力を抜くコツと、大切なことを「伝わるように」伝えるワザがいっぱい。無駄に力を入れて空回りしていたことに気づくお役立ち特集です。
教えてくれたのは
立石美津子 先生
20年間学習塾を経営。現在は講演家・著者。『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』が評判。
理想の「いい子」を求めると親も子も苦しい!
子育てに一生懸命なママにとって「テキトー母さん」がよいなんて、びっくりですね。立石先生に詳しく聞いてみましょう。
「私自身、キッチリカッチリの母に育てられて、親の期待どおりのいい子でいなくてはならないと思い詰める子どもでした。その結果、自己肯定感が低い大人になり、挫折も経験して、完璧主義の生き方を変えようとしました。ところが子どもが生まれると、100点を目指す母になってしまったのです。でも息子は2歳で知的障害のある自閉症の診断を受けました。落ち込んだ末、“理想の子育て”をあきらめました。そして“あるがまま”の息子を受け入れるようになったら、小さな成長を心から喜べるようになったんです」
人と比べない「テキトー母さん」で自己肯定感を育てる
あるがままを受け入れるのは、本来子育ての原点ですが、案外難しいものです。どうすればいいのでしょうか?
「ひとつは、他人と比べないこと。比べると足りないものが目につき、いつも不満になります。子育ての成功は自己肯定感、自尊感情をもった人間に育てることだと確信しています。自分を好きで自信を持てれば、人生で辛いことがあっても乗り越えていけるでしょう? そのためには、幼いときに親が『こうであらねば』と“完璧”を求めたり、高いハードルを与えないことです。いい意味で“テキトー”がよいのです。」
軽いようで深い、立石先生の「テキトー母さん」の心得は次から!
あるある親子劇場その1
うちの子がいちばん♡
親バカを恐れない!
日本は謙遜する文化があります。それが美徳とされます。高価な贈り物も「粗品」と言ったりします。でも子どもを見る目はその逆でいきましょう。親バカ目線こそ子どもの自己肯定感の源になります。
短所は長所。見方を変えよう
ベンチャー企業の社長から「子ども時代、落ち着きがない子だった」という話をよく聞きます。強い好奇心がありジッとしていなかったのでしょう。短所に見える部分も人生の中では強みに変化するのです。見方を変えるこの方法をリフレーミングと言い、柔軟な思考に役立ちます。「この子の持ち味をどう生かせるか」「この行動は他にどう考えることができるか」と考えてみて。
子どもの目の前で謙遜しない
誰かに「お子さん、きちんとしていますね」とほめられたとき、「いいえ、家では散らかし放題で」なんてへりくだっていませんか? 子どもは「謙遜」を理解できないので、他人の前で、しかも親に否定されて傷つきます。シンプルに「ありがとうございます」と答えればいいんです。「バカ親」は困りますが、「親バカ」には進んでなりましょう。
あるある親子劇場その2
うちの子の長所を発見!
~見方を変えるリフレーミング~
子どもの特徴を短所と見てしまうと、感情的に怒ったり、「~だからダメ」とまるごと否定してしまったり。見方を変えて長所ととらえ、対応方法を考えましょう。
×騒がしい→○元気、活発
×落ち着きがない→○好奇心が旺盛、エネルギーがある
×頑固→○粘り強い、あきらめない
×反抗的→○自己主張できる
×気が強い→○自信がある
×気が弱い→○謙虚
×おとなしい→○協調性がある
×ふざけてばかりいる→○おもしろい、人を楽しませようとする
×おおざっぱ→○おおらか
×動作が遅い→○慎重、注意深い
×優柔不断→○思慮深い
×相手によって態度が違う→○相手の立場を考えられる
×食べ物の好き嫌いが多い→○味覚が繊細
×すぐに友だちのまねをする→○人に関心がある
×気が散りやすい→○いろいろなものに興味がもてる