これじゃあ伝わらない。
「わかる」言葉を使おう
「なぜわからないの」「何度言えばわかるの」それは親の言い方が伝わっていないからです。子どもにわかる伝え方で、親も子もイライラが激減します。
「走らないで!」は走らせる言い方
「ピンクの象を想像しないで」と言われたら、どうでしょうか? ピンクの象を想像せずにはいられません。人の脳は否定形を理解しにくいのです。そのため、アスリートがイメージトレーニングの中で「失敗しないようにする」ではなく「成功する」という肯定系を使うのはよく知られています。「走らないで」も同じ。なんとかさせたいのならば「歩こう」とか「止まれ」と言えばよいのです。これなら、具体的にどうすればいいのか子どもはわかります。
あるある親子劇場その3
「ちゃんと」「早く」「きちんと」の指示は通じない
「ちゃんと」「早く」「きちんと」などのあいまいな言葉を何十回言っていますか? 子ども自身がわかっていないのに、「何度言えばわかるの!?」と叱られたら嫌ですよね。大人の側が、わかるように伝えればよいのです。
「ちゃんと座りなさい」なら「背中をつけて座ろう」と具体的に言います。「手をきれいに洗って」なら、「指の間も石けんで洗おうね」と、手順を言葉にしましょう。「早く片付けて」なら「この砂時計が落ちるまでに」「一〇〇数える間に」と、時間の目安を子どもにもわかるように示しましよう。片付け方も、何をどこにしまえばよいのか、絵にするなどわかりやすくしましょう。
あるある親子劇場その4
こう言えばわかる! 言い換え例
騒がないで!→口を閉じよう、ヒソヒソ声で話そうね
道に飛び出さないで!→ここで止まろう
散らかさないで!→出したものはここにしまってね、ここで遊んでね
床を汚さないで!→足をふいてから上がろう
こぼさないように運んで!→そっと持って運んで
食べながら話さないで!→ゴックンしてからお話ししよう
売り物は触らないで!→見ているだけにしよう
こんなときはどうすればいい!?
ケース別アドバイス
優しい子に育てたいのに、友だちのおもちゃを取って泣かせます
親としては相手の親の手前、すぐに謝らせたくなりますよね。でもちょっと待って。親に自分の本当の気持ちを受け入れられてこそ、相手のことを考える子に育ちます。
友だちの玩具をいきなり奪い取ったら「これがほしかったのね」と思いを認めます。「ほしい」という気持ち自体は悪くありません。次に「〇〇ちゃんのだから、貸してって言おう」と交渉術を教えればよいのです。これで、もし、手に入らなくても貸してもらえない悲しさを経験できるので、それはそれでいいのです。
一方自分の玩具を取られる子。親がいきなり「意地悪しないで貸してあげなさい」なんて命令しないで、「まだ、遊びたいよね。でも、貸してほしいんだって、どうする?」と子どもに決めさせればいいのです。大人たちがいちいち介入しないことです。
あるある親子劇場その5
スーパーでお菓子を泣いてせがむので、買い物が憂鬱!
ほしいものをほしいと主張できるのはよいことです。ただし、受け入れるかどうかは別。「このお菓子おいしそうだね。食べてみたいよね」と気持ちを受け止めたうえで、「でも、今日は夕飯の食材だけを買いにきたから買えないの」と断ればいいんです。“人目がある、静かにさせたい、だったら今日だけ特別”。こんな対応をしてしまうと、子どもは「大騒ぎして親を困らせたら買ってもらえる」と学習してしまいます。あくまでも「買わない」で通しましょう。
ガミガミ怒り、あとで落ち込むの繰り返しです……
「片付けなさい」と怒りながら、結局「時間がない、私がやったほうが早い」と親が片付けてしまうよくあるパターン。子どもに「自分がやらなくてもママがやってくれる」と学ばせてしまいます。
ママだって人間ですから、感情を爆発させることもあります。こんなときこそしつけの方法を見直すといいのでは? 伝わらない指示(上記参照)や、理想の「いい子」と比べて、ないものねだりをしていませんか? ママが疲れて余裕がないときもイライラ怒ってしまいがちです。ひといき入れて、子どもが生まれたときの喜びを思い出してみましょうよ。
ママ友のようにハッピーな育児ができない……
Facebookやブログはいいとこ自慢の面があります。これらのSNSに振り回されないようにしましょう。子どものこともママのことも、人と比べるのは止めましょう。「自分は自分」と自らを認めることからはじめましょうね。
あるある親子劇場その6
立石美津子先生の本
『1人でできる子になる「テキトー母さん」流子育てのコツ』
立石美津子著/日本実業出版社
イラスト/あべゆみこ 構成/童夢