「子どものための建築と空間展」とは?
“なぜヒトにだけ長い子ども時代があるのか。その期間にあることで子どもにだけ許されていることは何か” その答えを探しに来てください
私たちが子供のときに過ごした空間は、原風景として長く記憶に留まり、その後の私たちの生き方や考え方の形成に与える影響は少なくありません。子どもたちの生活の中心となる学びの場と遊びの場としてつくられた建築と空間のなかから、日本の近現代の建築・デザイン史において、ひときわ先駆的かつ独創的なものが生まれました。そしてその環境に囲まれて育つ子供がまた、そのものや風景に影響を受けて大人になる……。
社会のあり方が大きく変化する現代、子供たちを取り巻く環境にも新たな現象や課題が生まれていますが、これからの子供たちが育つ環境づくりのインスピレーションとなればという願いから開催されたのが『子どものための建築と空間展』。パナソニック 汐留ミュージアムにて2019年1月12日(土)~3月24日(日)に開催されます。
子どものためにつくられた建築の美しい図面を展示
児童向けの出版社ほるぷの依頼により、菊竹清訓が青森県黒石市に設計した小さな図書館「黒石ほるぷ子ども館」の貴重な手描きの設計図面をご覧いただきます。図面には、青森特産品のりんごをモチーフにした微笑ましいカーペット(デザイン: 植松国臣)が描きこまれています。
彫刻家イサム・ノグチの遺作の初公開資料
彫刻家のイサム・ノグチが最晩年にたずさわったランドスケープの作品、札幌のモエレ沼公園。イサム・ノグチ直筆のマスタープランの図面が初めて展覧会に出品されます。ノグチは1930年代から、庭や子どものための遊び場を空間の彫刻としてたびたび計画しています。
子どもたちのヒーロー、ウルトラ怪獣のデザイン画を展示
美術家、特撮美術監督、デザイナーと幅広いジャンルで活躍した成田亨(1929-2002)は青森県ゆかりの作家です。青森県立美術館所蔵のコレクションから、高度成長期以降の子どもたちの心をつかんできた、ウルトラ怪獣のデザイン原画を出品します。
この展覧会の見どころは?
こんなところで遊びたい、学びたい 名作を一挙紹介
保育園・幼稚園、小学校、遊び場、公園遊具、児童館といった子どものためにつくられた、様々な用途の建築とランドスケープデザインの作品を、時代ごとの流れでご覧いただきます。
新しいユニバーサル玩具で遊べるコーナー
「ペタボー」(隈太一発案、クラレファスニング開発)を用いて遊んでいただけるコーナーを設けます。子ども建築塾(代表:伊東豊雄) で学んだ子供たちがさらに楽しむ方法を提案します。
(ペタボーは、デジタルライズの登録商標です。)
未来志向の建築展
子供のためにつくられたこれらの作品には各時代の反映だけではなく、子供たちに向けられた豊かであたたかい大人のまなざしが感じられます。これからの子供たちが育つ環境を考えるヒントを見つけていただけるでしょう。
展覧会監修者からのメッセージ
“なぜヒトにだけ長い子ども時代があるのか。その期間にあることで子どもにだけ許されていることは何か”*(生物学者・福岡伸一)。この展覧会には、その謎に対する様々な答が示されています。
子供の特権とは遊びにほかなりません。そして遊びや学びをどの子供保証するために制度化された場が学校です。
その周縁に公園、児童施設等の公共的空間が子どもの場として用意されています。
幼稚園の教育要領を見ると、環境を通して行うことを基本とし、幼児期にふさわしい生活が展開されること、遊びを通して教育の狙いが達成できるようにすることが示されています。子供のための建築、空間、遊具、道具等には、大人が子供に成長してほしいこと、伝えたいこと、期待することが表されています。と同時に大人にとっては、失っていたものを思い起こさせ、感性が刺激されます。それがまた子供のための環境の創造やアイデアの源ともなり、それを見る者に喜びや懐かしさの感情を引き起こします。
この展覧会を通して、子供観、学校観を確かめ直し、子供時代を思い出す喜びを感じていただければと願っています。
*福岡伸一「ヒトにだけ長い子ども時代がある理由」『飛ぶ教室』第54号、光村図書出版、2018年7月25日
長澤 悟(本展監修者、東洋大学名誉教授、教育環境研究所所長)
構成
第1章 子どもの場の夜明け 明治時代
第2章 子どもの世界の発見 大正時代
第3章 新しい時代の到来、子どもたちの夢の世界を築く 1950-1970
第4章 おしゃべり、いたずら、探検-多様化と個性化の時代 1971-1985
第5章 今、そしてこれからの子どもたちへ 1987-
関連プログラム
展覧会記念対談「 子どものための建築、子どもの生きる空間、子どもが暮らす学校」
「学校は教育施設ではない。」子供の目線から学校という場をとらえると、自然の中で子どもの世界を考えると、子供の住むまちに建築をひらくと、そこで過ごす子供たちはもちろん、そこを訪れた人々もうれしい気持ちになる。そして時間を経るほどにそのよろこびが大きくなる。そんな学校の可能性を示してきた建築家富田玲子氏と学校建築計画の第一人者長澤悟氏が語り合う、子どものための建築、空間とは。
出演:富田玲子氏(象設計集団)
長澤悟氏(本展監修者、東洋大学名誉教授、教育環境研究所所長)
日時:1月26日(土)午後2時~午後3時30分(開場午後1時30分)
場所:当ビル5階ホール 定員:要予約(定員150名)
ワークショップ からだを動かして、建築を楽しむ「けんちく体操」
映し出される建築物のカタチをからだで真似するワークショップ。家族で、お友達同士で、ご参加ください。最後はみんなで大きな建物にチャレンジ!
出演:チームけんちく体操(米山勇氏、江戸東京博物館研究員ほか)
日時:2月23日(土)午後2時~午後3時30分(開場午後1時30分)
場所:当ビル5階ホール 定員:要予約(定員30名) 動きやすい服装でご参加ください。
対談とワークショップは無料ですが、本展の観覧券が必要です。(小学生無料)
申し込み方法:ハローダイヤル03-5777-8600へお電話にてお申込ください。10月1日(月)より受付開始
(受付時間午前8時~午後10時)
必要事項:①イベント名②参加人数(対談は一度にお申し込み頂ける人数は2名まで、ワークショップは一度に5名まで)
③氏名(要全参加希望者)④住所⑤電話番号
- 簡単なアンケートにご協力いただきます。 ●当日は予約時にお知らせする整理番号を活用してご入場いただきます。
- お申し込み時にいただいた個人情報は、本イベントの受講管理の目的でのみ使用し、参加希望者はこの目的での使用に同意したものとします。 ●定員に達しなかった場合、当日受付をする場合があります。 ●対談については、未就学児はご遠慮ください。 ●予約受付は先着順、定員になり次第締め切ります。
当館学芸員によるギャラリートーク
日時:1月20日(日)、2月8日(金)各午後2時~
場所:展覧会場内 定員:予約不要、参加無料(本展の観覧券が必要です) 詳細は当館HPを通じてお知らせします。
子どものための建築と空間展
2019年1月12日(土)~3月24日(日)
開館時間 午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで) 休館日 水曜日
入館料 一般:800円/65歳以上:700円/大学生:600円/中・高校生:400円/小学生以下無料
※20名以上の団体は100円割引き
※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。
主催 パナソニック 汐留ミュージアム、朝日新聞社特別協力 クラレファスニング株式会社
後援 文部科学省、一般社団法人日本建築学会、公益社団法人日本建築家協会、一般社団法人文教施設協会、港区教育委員会
会場構成 ヌーブ
★会期中、一部展示替えします。前期1月12日~2月12日、後期2月14日~3月24日。
2月14日以降に再入場の際は、半券ご提示で100円割引となります。展示替えの詳細はHPにて1月12日以降発表いたします。
★本展は青森県立美術館に巡回いたします。[2019年7月27日-9月8日]
お問い合わせ 03-5777-8600[ハローダイヤル]
公式HP http://panasonic.co.jp/es/museum/
公式フェイスブック https://www.facebook.com/shiodome.museum
会場 パナソニック 汐留ミュージアム
〒105-8301 東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
お問い合わせ先 03-5777-8600(ハローダイヤル) http://panasonic.co.jp/es/museum/