【小児科医監修】ノロウイルス、保育園などでの発症ピークはいま!注意点と予防法を聞いた

ノロウイルス発生のピーク時期は11月から1月!

胃腸炎を引き起こすノロウイルスは、人から人への感染が最も多く、集団発生のピークは、11月~1月となっています。感染性胃腸炎は、集団食中毒などでなければ、医療機関で原因となるウイルスを調べることはほとんどありませんが、この時期に嘔吐や下痢の症状が見られたら、ノロウイルスを疑っていいでしょう。

ノロウイルスは嘔吐や下痢を伴うため、抵抗力の弱い乳幼児が感染すると脱水症になることも。また非常に感染力が強いので、家族間で感染が広がる危険性もあります。

ノロウイルスの注意点や予防法を、済生会 横浜市東部病院 小児肝臓消化器科 副部長の十河 剛先生に教えてもらいました。

ノロウイルスの特徴は?

感染力が強い!早い場合は10時間程度で発症します

ノロウイルスの最大の特徴は、感染力が非常に強いこと。そのため子どもから、ママやパパにうつることも珍しくありません。潜伏期間や症状などの特徴は、次の通りです。

①ウイルスは、非常に小さいため空気中に漂いやすい。乾燥にも強い。

②わずか10~100個程度のウイルス粒子で感染・発症する。ウイルスの排出は、嘔吐物だと約100万個/1mL。ふん便だと約1億個/1g

③潜伏期間は一般的には24~48時間。早いと10時間程度で発症することも。

発症率は約45%。主な症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱。

1~2日程度で治癒するが、下痢は2週間ぐらい続く場合も。乳幼児は、脱水症状などを伴い重症化することもあるので、1,水分を受け付けない、2,いつもよりおしっこが出ない、3,元気がない、4,唇が乾いているなど、脱水症状のサインが見られたら早めに受診を。

ノロウイルスの主な感染経路は?

最も多い感染経路は、人から人!集団生活は注意。

ノロウイルスの感染経路というと、貝や生ものからと考えるママやパパもいるかもしれません。しかし最も多い感染経路は、人から人です。例えば子どもの場合は手を繋いだり、触れ合ったり、おもちゃのやりとりなどを介して感染することも。そのため保育園など集団生活の場はとくに注意が必要です。

また①テーブル、②ドアノブ、③トイレや洗面、キッチンの水栓など、手を触れる場所から感染するケースも少なくありません。

ほかにもふん便中にウイルスが含まれている場合は、トイレの水を流すときに空気中にウイルスが飛び散って漂い、手拭タオルなどに付着して感染を広げます。そのためトイレの水は、便座の蓋を閉めてから流したほうがいいでしょう。

 

家庭でできるノロウイルス予防法は?

調理器具などの加熱殺菌消毒と手洗いが有効

加熱殺菌消毒が有効。以下のルールを守ろう

ノロウイルスは、ロタウイルスのように予防接種がありません。

そのため家庭では、まず加熱殺菌消毒を。例えば①食品は、85~90度で90秒以上加熱、②調理器具は85度で1分間以上加熱、③ふきんやタオルは、85度で1分間煮沸するのが有効です。

また帰宅後や食事の前はていねいに手洗いをしましょう。子どもにも、手洗いの習慣を伝えて、家族で感染予防を心がけてください。アルコール消毒はあまり効果がありません。

▲集団発生のピークは、11月~1月(2002/03~2010/11シーズンの平均)

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監修/済生会 横浜市東部病院 小児肝臓消化器科 副部長 十河 剛先生

医学博士。日本小児科学会認定小児科専門医。日本肝臓学会認定肝臓専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医・指導医。情報番組や健康系番組などでも活躍。

協力/株式会社ダスキン 構成/麻生珠恵 撮影/品田裕美

 

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