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こんな時代だからこそ、じっくり世界を学びませんか
「この自粛生活から抜け出したら、旅行に行きたい!」
以前のように気軽に遠出ができなくなってしまったコロナ禍で、多くの方がそう願っているはず。
今すぐに旅に出ることは難しいご時世ですが、こんなときだからこそ、いつの日かの旅に向けて、じっくりと世界への知見を深めておきませんか?
そこで本記事では、ちょっとした「バーチャル世界旅行」をご用意しました。
世界中の様々な名所のなかでも、知る人ぞ知る世界遺産にフォーカスを当て、写真とともにその歴史や逸話をご紹介していきます。
どれも「クイズ形式」でお見せしていくので、是非ご家族で楽しんでくださいね。
さっそく、ヨーロッパのあの建築家の作品群から見てみましょう。
ヨーロッパ編)バルセロナで次々につくられた個性的な建造物。誰による設計?
まるで建物全体が波打っているかのように見える、珍しい形状のこちらのアパート。現在でも人が住んでいるそうですが、この特徴的な建物が誰によって設計されたものかわかりますか?
アントニ・ガウディ
答えは、スペインの建築家アントニ・ガウディです。
19世紀末、カタルーニャ州では繊維産業が盛んになり、裕福な実業家たちはバルセロナ市内に新たな住宅を建てることを競い合いました。
ガウディは、実業家エウセビオ・グエルの依頼で数々の建築物を建造。上のアパートは、彼の代表作のひとつで「カサ・ミラ」と呼ばれる高級アパートです。
そして、ガウディの最も代表的な作品といえば、こちら。生き物のように曲がりくねった「サグラダ・ファミリア聖堂」は、1882年の着工から、今現在まで工事が続くガウディ最後の仕事です。
キリストの誕生〜青年期までを表現した彫刻がほどこされる建物正面は、「生誕のファザード」と呼ばれガウディが生きているうちに完成。この「生誕のファザード」と、ガウディの棺が置かれる地下聖堂の二箇所が、ともに2005年に世界遺産に登録されました。
バルセロナにはその他にも、「カサ・ミラ」を含むガウディによる建築物が多数建ち並びます。同じく世界遺産に登録された「グエル公園」や、アラブ風のタイルを使った壁が特徴的な「カサ・ビセンス」…どの建物にも、ガウディならではの個性的な美しさが感じられますね。
アジア編)チベットを統一したソンツェンガンポ王につくられた町は?
紅白の宮殿が印象的な山頂の町。チベットを統一したソンツェンガンポ王によってつくられた町ですが、その名称をご存知ですか?
ラサのポタラ宮歴史地区
この町は、ラサの「ポタラ宮歴史地区」と呼ばれるチベット仏教の聖地です。
7世紀にソンツェンガンポ王によってつくられたラサは、チベット民族が治める第一の都市であり、その名前は「神の地」の意を持ちます。
中心にそびえるのが、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ5世によって建設された紅白の宮殿「ポタラ宮」。歴代ダライ・ラマの墓がある紅宮を包含するこの宮殿へ、日々、多くの信者が訪れます。
アフリカ編)マリのドゴン族が住み、伝統的な文化が残る崖の集落は?
アフリカ大陸・マリの中央部にある断崖に沿って、ドゴン族と呼ばれる部族が住む集落があります。この地をなんと呼ぶか知っていますか?
バンディアガラの断崖(ドゴン人の地)
答えは、「バンディアガラの断崖(ドゴン人の地)」。
もともとマリの西部で暮らしていたドゴン族が、14世紀のはじめに部族間の争いから逃れるために住みついたと言われます。
ドゴン族の暮らしは独自の神話に基づいています。たとえば、集落の建物や部屋。ドゴン神話の大地は女性の姿として捉えられていることから、それにならって、建物や部屋は「人間の形」に配置されているのだそうです。
崖やそのふもとにあるドゴン族の集落は、その数、なんと約700。約25万人のドゴン族が暮らし、それぞれトウジンビエやモロコシ、タマネギなどの作物を育てながら共同生活をしています。
南北アメリカ編)「テーブルマウンテン」が連なり「とちゅうで消える滝」があるギアナ高地中央の大草原は?
「テーブルマウンテン」? 「とちゅうで消える滝」? 言葉にするとなかなか想像がしにくいですが、本当に存在するのです。これらがあるギアナ高地中央のこの大草原、なんという場所か知っていますか?
カナイマ国立公園
答えは、ベネズエラに位置する「カナイマ国立公園」です。
カナイマ国立公園は、全体が標高約1000mの大草原で、6つの国と地域にまたがるギアナ高地の中心部に位置します。その内の熱帯雨林の中にそびえ立つのが、「アウヤン・テプイ」と呼ばれる、頂上が平らで、まわりが垂直の崖になっているテーブルマウンテン。そこから流れ落ちる「アンヘルの滝」は、世界で一番落差のある滝と言われ、その高さは、滝の流れが地面にぶつかる前に霧となって消えてしまうほどです。
頂上には、この山にしかいない生き物や植物も多く見られます。
オセアニア編)日本列島と同じくらいの長さの、世界最大のサンゴ礁は?
世界最大のサンゴ礁の長さは、なんと日本列島と同じくらい! このサンゴ礁がなんと呼ばれるものか、知っていますか?
グレート・バリア・リーフ
このサンゴ礁は、オーストラリアの陸地に沿って南北に長く伸びる「グレート・バリア・リーフ」と呼ばれるもの。
「グレート・バリア・リーフ」は、さまざまな大きさのサンゴ礁が2500以上も集まって、ひとつの巨大なサンゴ礁を成しています。
サンゴの隙間には、魚や甲殻類、軟体動物といった数多くの生き物が生息。さまざまな色形のサンゴや生き物を内包するその様は、まるで海の中の森のようです。
いよいよ日本編)2021年に世界遺産に登録された、多様な生物が息づく亜熱帯地域は?
いよいよ日本編です。日本には、2021年に世界遺産に登録された地域があります。どこを指しているか、わかりますか?
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島
2021年に世界遺産に登録されたのは、琉球列島の奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の4つの島々です。
この地域の大きな特徴といえば、東シナ海の暖流の影響による、温暖で湿度の高い気候。一年中緑の葉が生い茂りつづけます。
また、かつてはユーラシア大陸の端だった琉球列島は、地殻変動によって約1200万年前から200万年前にかけて、大陸から切り離されて島になったといわれています。そのため、もともとは大陸に住んでいたにもかかわらず、独自の進化を遂げた生き物が多く生息しており、日本の固有種が71種も確認されていまるのです。
世界遺産ってなあに?
わたしたち人類にとってかけがえのない宝物である世界遺産。そんな世界遺産は、世界中にあるさまざまな文化や自然、建築物の中から、何のために、どのようにして決められるのでしょうか。
「世界遺産」とは
貴重な建築物や伝統的な文化、自然環境などを、世界遺産として大事に守り、未来へと残していくことを目的に、1972年「世界遺産条約」が制定されました。なにを世界遺産とするか、その登録基準は10項目にわたり、専門家の調査を経てユネスコ世界遺産の話し合いによって決定されます。
3種類の世界遺産
そんな世界遺産の種類は、大きく分けて「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」の3つ。
文化遺産には、文明や文化の特徴を持ち、建築や歴史および芸術分野で貴重とされる建物や遺跡が選ばれ、
(写真は、タイの「古代都市スコタイと周辺の古代都市群」における「アチャナ仏」)
自然遺産には、そこでしか見られない景色や、生物・植物が存在する地域が。(写真は、オーストラリアの「グレート・バリア・リーフ」)
そして、複合遺産には、文化遺産と自然遺産、両方の特徴を持つものが選ばれます。(写真は、ペルーの「マチュ・ピチュの歴史保護区」)
どの世界遺産も「世界遺産条約」に基づき、それぞれの国の管理のもと、大切に保護されています。
1100件以上もの世界遺産を旅する図鑑
ここまで5つの世界遺産をご紹介してきましたが、小学館の図鑑シリーズ〈キッズペディア〉の『キッズペディア世界遺産〔改訂新版〕』には、これらを含む1100件以上もの世界遺産を240ページの大ボリュームで掲載!
豊富な写真やイラストとともに、楽しく、わかりやすく、世界遺産の謎と不思議に迫ります。
『キッズペディア世界遺産〔改訂新版〕』|小学館|3960円(税込)
本書は、重要・有名・人気のものを厳選した海外の世界遺産に加えて、2021年登録の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」「北海道・北東北の縄文遺跡群」を含むすべての日本の世界遺産を収録した最新版。子どもが学べ、大人も楽しめる、本格的なビジュアル百科です。
いつの日かの旅に向けて、ぜひ、本書から世界の文化や歴史に触れてみては。国際的な感覚や多角的な視点が身につけられるだけでなく、実物を目の当たりにした際の、さらなる感動に繋がるはず!
構成・文/羽吹理美
協力/小学館 キッズペディア編集部