9月10日にはなんと、YouTubeの公式チャンネルの登録者数が「アーティスト」の中で最多となる6520万人を記録した彼女たち。長らく1位を誇ってきたジャスティン・ビーバーの6510万人を遂に追い越すこととなりました。ちなみにBTSのチャンネル登録者は、同時間で5760万人の3位。韓国のアーティストがベスト3のうちの1位と3位を独占する形となったわけです。
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止まらないK-POP人気!リサのソロデビューアルバムはK-POP女性ソロ歌手のアルバムとして歴代1位を記録
BLACKPINKの登録者数が急増したのは、同日にメンバーのリサが初のソロ曲『LALISA』を発表したからに他なりません。メンバー最年少のリサは、タイ出身の現在24歳。彼女が14歳の時にタイで開催された、YGエンターテインメント(BLACKPINKの所属事務所:以下、YG)のグローバルオーディションを受け、4000人の中からたった一人合格し韓国へと移住しました。現在Instagramのフォロワー数は5900万人超え、K-POPアーティストの中で1位を記録するなど(2021年6月)、かねてより注目を集めていた彼女による満を持してのソロデビューとあって、『LALISA』は予約販売で80万枚を売り上げ、K-POP女性ソロ歌手のアルバムとして歴代1位となりました。
母国であるタイのエッセンスを取り入れた作品作り
曲名の『LALISA』は、リサの本名である「ラリサ・マノバン」から取ったもの。BLACKPINKのメインコンポーザーであり、これまでにもBIGBANGや2NE1などの楽曲を手掛けてきたTeddyによるケレン味たっぷりのメロディや、タイの民族衣装を見に纏うリサをフィーチャーしたミュージックビデオなど、彼女自身のルーツやアイデンティティを大切にした作品作りが多くの人々を魅了しています。とりわけ地元タイでは、首相のプラユット・チャンオーチャー氏が、タイのパノムルン歴史公園の石城や伝統工芸品などが出てくる『LALISA』のミュージックビデオに賛辞を送ったと報じられたり、リサが来ていた民族衣装についての問い合わせが殺到したりと、国を挙げてのお祭り騒ぎになっているようです。
BLACKPINKは2016年8月8日に韓国でデビューショーケースを行い、同日20時に「SQUARE ONE」の収録曲「WHISLE」「BOOMBAYAH」にてデビューを果たしました。YGが2NE1以来、7年ぶりに送り出すガールズグループとして、かねてより大きな注目を集めていた彼女たちは、デビューするとまたたく間にトップアイドルの座を手にします。ここ日本でも2017年7月に日本武道館でデビューショーケースを開催しましたが、その時は20万件以上の申込みが殺到しました。
「BLACKPINK」の名前に込められたのは、さまざまな魅力を持つ彼女たちの「自分らしさ」と「ありのまま」
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グループ名の「BLACKPINK」には、最も綺麗な色と表現されるピンクを少し否定し「美しいものが全てではない」という意味が込められているとのこと。また、スペシャルなものの前に「BLACK」という名称がつけられるように、「スペシャルな女性グループ」という意味もあるそうです。現在Netflixで配信されている彼女たちのドキュメンタリー映画『BLACKPINK ~ライトアップ・ザ・スカイ~』によれば、本人たちは最初からいわゆる「ガーリー」な売り出し方をしたくなかったようで、従来の「女性らしさ」「可愛らしさ」とは違う、本来の「自分らしさ」「ありのまま」を表現したことがガールズクラッシュ(女性が憧れるようなカッコ良い女性)の代表格として不動の地位を獲得する一因となったのは間違いないでしょう。
くっきりとした目鼻立ちとフォトジェニックなスタイル、そして抜群のダンス〜ラップスキルによってカリスマ的な人気を誇るリサがやはりBLACKPINKの中では最も知名度が高いのですが、グループについて知れば知るほど4人それぞれの魅力に引き込まれてしまいます。先日2年ぶりに開催されたファッションの祭典「メットガラ」に、韓国の女性アーティストとして初めて出席し話題となったニュージーランド出身のロゼは、伸びやかで美しい歌声を持ちギターの腕前も相当なもの。今年3月にはアコギのサウンドをフィーチャーした『R』でソロデビューを果たしています。
グループの中で最初に(その名も『SORO』で)ソロデビューを果たしたのはジェニ。そのベビーフェイスからは想像もできないような、ソウルフルかつセクシーなボーカルとラップによってBLACKPINKの「顔」として存在感を放っています。そしてYGの練習生時代からエピック・ハイのMVに出演したり、イ・ミンホとCMで共演したり、競合であるSMエンターテインメント関係者からスカウトされたりと、その「美貌」で名を馳せていたのがジス。彼女もまた、そのルックスとは裏腹の特徴的なハスキーボイスの持ち主です。
バラバラな4人のありのままを認めて
生い立ちも、ルーツとなる音楽も、ルックスも声の質感も全くバラバラな4人。それをそのまま「BLACKPINK」というフォーマットの中で発揮しているところに彼女たちならではの魅力があります。自由奔放に振る舞いながら、それでも「BLACKPINK」たり得ているのは、実はそれぞれがエゴを捨て「グループとしてどうあるべきか?」を考えているからなのでしょう。前述のドキュメンタリー映画『BLACKPINK ~ライトアップ・ザ・スカイ~』では、そんな彼女たちの「覚悟」も伺えるので必見です。
さて、彼女たちの魅力を存分に味わえるのはやはりライブ! 筆者は2019年、Summer Sonicに出演した彼女たちのライブを見ましたが、BIGBANGなどを支えてきたバンドメンバー率いてのパフォーマンスは格別でした。コロナ禍によってなかなか海外アーティストのライブを見る機会がありませんが、近いうちに再び彼女たちが日本のステージを踏む日が訪れることを心より願っています。
文/黒田隆憲