まぎらわしい度2<中級> プレーリードッグとミーアキャット
さて、下の画像の中のプレーリードッグは何匹? ミーアキャットは何匹?
【ヒント1】
口がとがっているのがミーアキャット、丸みを帯びているのがプレーリードッグ。
【ヒント2】
ミーアキャットの祖先はネコのなかま、プレーリードッグの祖先はネズミらしい。
【こたえあわせ】プレーリードッグが3匹、ミーアキャットは9匹、
プレーリードッグとミーアキャットは、ここがちがうんです。
口もと
昆虫やサソリを食べるミーアキャットの口はとがっている。草食のプレーリードッグは丸みのある口もと。
背中
ミーアキャットの背中はしま模様、プレーリードッグは模様なし。
尾
ミーアキャットは長め、プレーリードッグは短め
ミーアキャットはこんな動物
ミーアキャット【ネコ目マングース科】
分布/アフリカ南部 大きさ/25~35cm
プレーリードッグはこんな動物
プレーリードッグ【ネズミ目リス科】
分布/アメリカ合衆国中央部 大きさ/28~33cm
こんなふうにちがう、ミーアキャットとプレーリードッグ
ミーアキャットは口もとがとがっていますが、プレーリードッグは丸みを帯おびていますね。そのわけは食べるものがちがうからです。
ミーアキャットもプレーリードッグも同じようなポーズで、あたりを見張っていますが、ミーアキャットはネコ目のなかまで、昆虫やサソリを食べています。つまり肉食なので、前歯ばより牙(犬歯)が大きいんです。それで顔がとんがっているんですね。
プレーリードッグは、実はリスのなかま。食べているのは草原の草で、草をちぎる前歯ば (門歯)が大きいんです。
プレーリードッグは、地下にトンネルをほって定住しますが、ミーアキャットはアリ塚や岩のすき間でねています。食物の昆虫をさがしながら移動するので、定住はしません。
動物たちのサバイバル戦略が「まぎらわしい」結果に
動物クイズ、正解でしたか? このように、もともと別の種なのに、そっくりな外見や習性を持つ動物がいるなんて不思議ですね。でもそれは動物たちのサバイバル戦略の結果なんです。
動物たちにとって、自分の体こそが生き残るための道具です。どんな所に棲んで、何を食べているのかで、体の形は決まってきます。樹上や水中にはその環境に有利な体、また肉食・草食といった習性に適した歯、というものがあります。もともとが別の種であったとしても、同じようなものを食べ、同じような環境で生きていると、長い時間をかけて環境に適応していった結果、よく似た形(キャラクター)と、習性(ビヘイビア)を持つようになるのです。
こうした現象を、動物学の世界では「収斂進化(しゅうれんしんか)」と呼びます。この収斂進化に着目すると、進化の不思議をわかりやすく理解することができますよ。
ほかにもいる「まぎらわしい動物」について知り、進化の不思議を感じてみましょう。
『世界一まぎらわしい動物図鑑』で「まぎらわ動物博士」になる!
『ざんねんないきもの事典』『わけあって絶滅しました。』でお馴染みの今泉忠明先生の、児童向け動物学入門最新刊です。見た目や習性はそっくりでも、実はぜんぜん別種の動物=「まぎらわしい動物」にスポットを当て、進化の不思議を解き明かしていきます。ここでご紹介したプレーリードッグとミーアキャットのほか全20組ものまぎわらしい動物たちが収載されています。
【おまけ】まぎらわしい「プレーリードッグとミーアキャット」がいる主な動物園
※太字は両方いる動物園です。
※2021年11月22日現在。動物の飼育状況により展示されていない場合もあります。
■プレーリードッグ/円山動物園、弥生いこいの広場、大森山動物園、盛岡市動物公園、八木山動物公園、宇都宮動物園、那須どうぶつ王国、群馬サファリ、かみね動物園、埼玉こども動物公園、上野動物園、羽村市動物公園、江戸川区自然動物園、千葉市動物公園、市原ぞうの国、夢見ヶ崎動物公園、八景島シーパラダイス、富山ファミリーパーク、いしかわ動物園、須坂動物園、楽寿園、シャボテン動物公園、日本平動物園、東山動物園、岡崎動物園、王子動物園、神戸どうぶつ王国、淡路ファームパーク、池田動物園、とくしま動物園、のいち動物公園、徳山動物園、秋吉台サファリ、到津の森公園、海の中道動物の森、九十九島動植物園、長崎バイオパーク、熊本市動植物園、平川動物公園
■ミーアキャット/円山動物園、大森山動物園、盛岡市動物公園、宇都宮動物園、那須どうぶつ王国、桐生が岡動物園、群馬サファリ、埼玉こども動物公園、東武動物公園、狭山智光山動物園、上野動物園、井の頭文化園、羽村市動物公園、千葉市動物公園、市川市動植物園、夢見ヶ崎動物公園、よこはま動物園、富山ファミリーパーク、いしかわ動物園、飯田動物園、富士サファリ、伊豆アニマルキングダム、シャボテン動物公園、日本平動物園、浜松動物園、豊橋動物園、岡崎動物園、京都動物園、アドベンチャーワールド、神戸どうぶつ王国、姫路セントラルパーク、池田動物園、とくしま動物園、のいち動物公園、安佐動物公園、福山動物園、徳山動物園、秋吉台サファリ、ときわ動物園、到津の森公園、九十九島動植物園、長崎バイオパーク、九州サファリ、フェニックス動物園、平川動物公園、ネオパークオキナワ
構成/HugKum
協力/『世界一まぎらわしい動物図鑑』編集部