親の代わりに祖父母が孫を育てる!? 学校で毎日踊る⁉ 中国の子育てカルチャーショック

日本での当たり前が世界では当たり前でない話ってよくありますよね?  もちろん子育てや教育の分野も一緒。そこで世界と日本の子育てや教育の価値観の違いを紹介します。お隣の国・中国と日本の違いを今回は幾つかまとめてみました。子育てのガス抜きや視野を広げる学びに役立ててくださいね。

中国では祖父母が孫を育てる!?

写真はイメージです。

子どもを日本で生んでほどなく仕事に復帰しよう・始めようと思った場合、わが子を誰に預けますか?  保育所の未満児クラスなど託児施設やサービスが真っ先に選択肢として思い浮かぶはずです。

祖父母に面倒を見てもらう、あるいはサポートしてもらう場面もあるかと思いますが、同居でない限り祖父母に頼りっぱなしという状況はなかなかないと思います。

「妊娠出産子育て基本情報」(ベネッセ教育総合研究所、2013)でも、子どもを定期的に祖父母に預ける家庭は全体の18%にすぎないとされていました。少し古い情報ですが10年近く経過した今でも実感として似たような数字なのではないでしょうか。

しかし中国の場合は違います。2021年(令和3年)の今年、1951年(昭和氏26年)以来初めて法定退職年齢が引き上げられましたが、男性60歳・女性幹部55歳・女性従業員50歳と定年退職の年齢が中国は日本と比べて早いです。

その影響もあって、かなり濃密に祖父母が育児に参加する、あるいは完全に祖父母が孫を育てる文化が中国には定着しているようです。

1歳児を持つ母親522名に対して中国・上海で2017年(平成29年)に実施した「祖父母の育児参加に関する調査」では、孫の面倒を祖父母が完全に見る、あるいは祖父母と両親が共同育児する家庭がほとんどだと明らかにされています。

『アジアの小学生 1 中国の小学生』(学研教育出版)にも中国の子どもの暮らしが写真付きで掲載されています。同書には、

<ぼくが勉強をしているとき、おばあさんが横で見はっているんだ!>(『アジアの小学生 1 中国の小学生』より引用)

と書かれています。土曜日の外食も祖父母と一緒。孫の育児に祖父母が濃密に関与している様子が伝わってきます。むしろ祖父母の活躍があるために、3歳未満の乳幼児向けの保育施設が中国は少ない状況になっているみたいですね。

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全校生徒で毎日踊る!?

写真はイメージです。

 

学校の何気ない行事にも中国と日本では違いがあります。日本の小学校にも全校朝礼&ラジオ体操のような機会がありますが、中国の公立小学校には全校体操が毎日あります

『アジアの小学生 1 中国の小学生』(学研教育出版)にも公立小学校の時間割例が示されていて、月曜日から金曜日まで必ずどこかのタイミングで、毎日30分の全校体操が組み込まれている様子が分かります。

何をするのかと言えばリズム体操・スポーツ体操・太極拳のような武術体操などが挙げられています。

今どきの学校では校長先生がイニシアティブをとってヒップホップダンスのような踊りを流行曲とともに楽しむケースもあります。

一糸乱れず踊る子どもたちと先生の映像がSouth China Morning Postなど複数のメディアや個人によってインターネット上にも投稿されています。その見事な動きは、日々の全校体操の練習量を物語っているようでした。

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目の体操が子どもたちの日課!?

似たような習慣として、中国の公立小学校には目の体操の時間が毎日1~2回・各10分程度確保されています。

北京在住で、40歳ちょっとの中国人ジャーナリストの知人に聞くと、知人が子どものころもやっていたし、小学校に通う知人の子どもも同じ曲に合わせて目の体操をしていると教えてくれました。

1982年(昭和57年)から全国の小中学校で取り入れられた習慣みたいで、「ラジオ体操第一」を日本の老若男女が踊れるように「目の体操(眼保健躁)」は中国人の一定の年齢層であれば誰もが知っているのだとか。

具体的な目の体操の内容は全5ステップに分かれています。

  1. 目を閉じて深呼吸
  2. 天応のツボ押し(目頭の上、眉根の下のくぼみを押す)
  3. 晴明のツボ押し(目と目の間、鼻の付け根をつまんで押す)
  4. 四白のツボ押し(両目の下、ほお骨のあたりを指の平で円を描くようにマッサージ)
  5. 太陽のツボを親指で押したまま折り曲げた人差し指の側面で目の上と下を交互にさする

 

実際にやってみると四白のマッサージが特に気持ち良かったです。注意点は、

  • 爪を短く切り手を清潔にする
  • 目を直接こすらない
  • 目の病気がある時は控える

 

だとか。人民網日本語版を読むと、新しい目の体操を取り入れる学校も最近は見られるみたいです。例えば、ツボ押しではなく眼球運動によって目の疲労を解消しようとする動きですね。

校医に学んだ先生が子どもにツボの位置を教えるそうですが、必ずしも子どもたちが自分で正確なツボの位置を押せるとは限らず、それほど効果が上がらないケースもあるのだとか。

逆を言えば正しくツボを押す限り効果があるとの話でしょうか。日本の小学校の子どもが夏休みにラジオ体操をするように、中国の子どもたちも夏休み前に目の体操のスケジュールをつくり、休み中も1日2回実施するみたいです。

スマホやパソコンで目の疲れがひどいと感じるパパ・ママは親子で一度試してみてはいかがですか?

中国と日本の育児や教育環境の違いを印象的な例を通じて幾つか紹介しました。

ちなみに中国ではない話ですが、日本の公立小学校に子どもを通わせるアメリカ人の保護者から「日本の給食文化は素晴らしい」と最近言われました。まさに食育の成果が最高度に表れていると感じるそう。

日本人が当たり前に思っている子育てが外国に行けばちょっと雰囲気が変わるといった話を引き続き紹介していきます。HugKumでの続編を楽しみにしてくださいね。

構成・文/坂本正敬

【参考/出典】
※ 河添恵子『中国の小学生①』(学研教育出版)
※ 中国式眼の保健体操 – 福地孝
※ 眼精疲労には中国伝来の「目の体操」を! – DIAMOND online
※ 杭州の小学校で新しい「目の体操」 – 人民網日本語版
※ 日本と中国の小学校について – 帯広市国際交流員ブログ
※ 家事分担は当たり前、祖父母の子育て参加も。中国のリアルな保育事情 – Forbes
※ 中国が定年年齢を引き上げへ 「4つの理由」とその方法とは? – AFP
※ 中国における定年退職年齢の確定方法 – 日本貿易振興機構
※ 祖父母育児参加が子どもの発達に及ぼす影響―日本と中国 – 立命館大学人間科学研究所

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