休み時間に牛乳を飲む? 教室には必ず〇〇がある? 韓国の小学校のカルチャーショック

お隣の国・韓国の小学校で見られる、日本とはちょっと違った学校文化を取り上げます。ところ変われば学校も変わる、そんな話を読んで子育ての息抜きにしたり、視野を広げるきっかけにしたりしてくださいね。

学校教育の現場はある意味で閉鎖的な空間です。そのため独特の文化や習慣が生まれがちですよね。日本の小学校も海外から見れば驚きのポイントが幾つもあるはずで、逆もしかりです。

お隣の国・韓国の小学校で見られる(日本の小学校ではほとんど逆に見られない)学校文化の違いを今回は取り上げます。

休み時間に牛乳を飲む

日本の小学校で牛乳はいつ飲みますか?  恐らくほとんど全ての学校で昼の給食に飲みますよね?

しかし韓国の小学校はちょっと事情が違っています。河添恵子『韓国の小学生②』(学研教育出版)には、休み時間に注文した牛乳を飲む男の子の写真が掲載されています。

韓国の場合は、昼ごはんの給食で牛乳を飲むのではなく、午前10時ごろの休み時間に飲むスタイルが一般的なのだとか。

この制度はかつて、申し込みしてお金を振り込んだ家庭の生徒だけが飲める仕組みだったみたいです。

少し古い調査結果ながらKBS(韓国放送公社)の情報によると、2015年(平成27年)の段階で牛乳を注文して休み時間に飲んでいる小学生の割合は全体の78.2%だったと言います。

しかし飲みたくても飲めない低所得者層の子どもを救済するために、毎年60億~70億の予算を投入して牛乳の費用を韓国政府が支援し、牛乳給食が無料になる支援を現在は行っているそう。

要するに、学校給食と牛乳給食、2種類の給食が韓国の小学校にはあるのですね。お昼ごはんまでちょっと小腹を満たしたい子どもたちにとって(少なくとも牛乳が好きな子どもたちに限って言えば)すてきな仕組みかもしれませんね。

国旗が教室に飾られている

韓国の人たちは愛国心が強い印象がありませんか?  その理由はもしかすると小学校の教室にある掲示物もちょっとだけ関係しているのかもしれません。

日本の小学校の教室に見られる掲示物と言えば何を思い浮かべますか?  娘の小学校の授業参観に先日筆者も行ってきました。子どもたちの絵や工作のリース、算数のさくらんぼ計算のやり方などがにぎやかに飾られていました。皆さんのお子さんの学校も似たような感じではないでしょうか。

韓国の小学校の教室を写した写真を一方で見ると、似たような掲示物の中に1つだけ見慣れない掲示物があります。教室正面の黒板の上にある国旗です。

日本の小学校で国旗を見る場面は入学式や卒業式といった式典などに限られます。学習指導要領にも、

<入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする>(学習指導要領「生きる力」より引用)

とあります。しかし韓国の小学校では国旗を目にする機会が毎日あるのですね。

現地の小学校について書いたさまざまな文章にもこの国旗についての記述が見られます。先ほど参考にした河添恵子『韓国の小学生②』(学研教育出版)に掲載される市立小学校の教室写真にも国旗が見て取れます

ただしこの黒板の上に国旗を飾る習慣も、もとをただせば日本が朝鮮半島を占領していた時代の名残だと考える韓国人もいるそうです。つまり教室の国旗を撤去しろという声が韓国の中にあって、「それはやり過ぎだ」と反対する韓国人の声もさらにあるのですね。

いずれにせよ、それら真逆の意見が同じ愛国心から出ている点も韓国らしさと言えるかもしれません。

希望者に教室で課外授業がある

日本の小学生は授業後、学童保育を利用したり、習い事をどこか学校の外へ習いに行ったりしますよね。

しかし韓国の場合はちょっと異なる選択肢もあって、公立小学校・私立小学校に関係なく、学校の施設を使って放課後に外部から招いた講師の下で課外授業を受けられる仕組みがあります。

<目的のひとつは児童の多様性を養うため。もうひとつは、塾や習い事による保護者の経済的負担を減らすため>(河添恵子『韓国の小学生②』より引用)

課外授業のラインアップも多種多様で、各種のスポーツから美術や音楽などの活動、料理や理科系の課外活動など、それこそ上述の引用文のように多様性を養う選択肢が数多くあるみたいですね。

例えば、課外授業の1つである英語については1982年(昭和57年)に試験的に始まったとの話。しかし最近では英語に対する早期教育が親の間で過熱しすぎて、英語の課外活動が小学校1・2年生の場合、かえって中止になったとの報道もあります。

いずれにせよこうした放課後授業を「パンガフ」と呼び、多種多様なプログラムを民間の習い事よりも安い値段で受けられるみたいですね。

今回は韓国でしたが、HugKumでは中国の小学校についても取り上げています。今後も各国の小学校の様子を伝えていきます。視野を広げる1つの参考にしてみてくださいね。

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文・坂本正敬

【参考】
※ 河添恵子『韓国の小学生②』(学研教育出版)
※ 第426話 学校で牛乳を飲みなさい!? – KBS WORLD
※ 韓国における学校牛乳給食の意識調査
※ 低所得家庭の子ども支援する「牛乳代」、横領した企業を摘発…2年で15億ウォン(約1億5千万円)搾取=韓国
※ ソウルの風
※ Gyeonggi Office of Education designates the Taegeukgi in the classroom to be demolished, saying it is a remnant of the pro-Japanese – 朝鮮日報
※ 教室に掲げられた韓国国旗も「親日残滓」として撤去対象に、韓国京畿道の進める親日清算プロジェクトが物議 – Record China
※ 学習指導要領「生きる力」 – 文部科学省
※ 小学校で英語必修、その先は 韓国、指導する側の模索 – The Asahi Shimbun Globe+
※ 韓国の小学校英語教育導入の経緯 : 日本の場合と比較

 

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